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0.02日本に上陸したトラッド・アロマセラピー

このノートには1990年代後半のイギリスで学んだプロフェッショナルアロマセラピストのトレーニング内容を主観や考察、雑談も交えながら分かりやすく解説しつつ残しておきます。

・前回のノートを読んでいただいてありがとうございました。前回の0.01と今回の0.02更に次回の内容でもまだトラッド・アロマセラピーのトレーニング内容に入っていません。イギリスから日本に入ってきたトラッド・アロマセラピーの流れを私の視点から記しています。誤解を招かないように、お伝えしておきます。

イギリスから日本へやってきたトラッド・アロマセラピー

2000年代になり、イギリスで設立されたアロマセラピーの協会認定校が東京でスタート。日本で初めてコースを開講しました。偶然にもその認定校は私の母校で、恩師が来日することになり、運命を感じつつアシスタントとしてそのプロフェッショナルコースに参加しました。

これからの日本のアロマセラピーの礎となるアロマセラピストを育成するコースに期待は大きかったと思いますが、心配もありました。ヨーロッパの文化の中で育ったトラッド・アロマセラピーが文化背景の違う日本人にどこまで理解を得れるのか。精油の名前や作用など、通訳を介してどこまで伝わるのか。

実際、授業の中では日本の辞書では説明不足な英語表現を使うこともありました。ヨーロッパの宗教的な背景があるからこそ理解できる、イギリスでは当たり前だけれど、日本人には日常にはない表現や言葉。

たとえば「ホリスティック」は全体的なという意味です。今でこそご存知の方も多いですが、当時の一般的な日本人にはなじみのない言葉でした。通訳を通してトレーナーが語源を含めて最初から説明するのが難しい言葉の一つでした。

”ホリスティック(Holistic)という言葉は、ギリシャ語で「全体性」を意味する「ホロス(holos)」を語源としています。 そこから派生した言葉には、whole(全体)、heal(癒す)、health(健康)、holy(聖なる)…などがあり、健康-health-という言葉自体が、もともと「全体」に根ざしています。” ホリスティック医学協会ウェブサイトより引用

だからこそイギリスで辞書を片手に授業を受けた自分がアシスタントとしてサポートすることで、受講者の理解を深めることができたのかも。と、おこがましくも今はそう思います。

授業を通して体感するアロマセラピーの本質

最初、コースは受講生が受け身なスタイルで始まりました。まずは日本人の生真面目さと、繊細さで、授業内容を一言一句聞き逃すまいと皆、ノートを取ることに必死になります。英語に対しての見えない壁のようなものもあり、質問は少なめでした。

しかし、イギリスから来日した経験豊かな講師は、日本とヨーロッパの文化の違いを感じ取り、うまく微調整しながら、あっという間に受講生の心を緩めました。彼らの豊かな知識と経験、考え方は当時の日本人には新鮮であり、自分たちが興味を持つ「アロマセラピーとは?」という疑問に答えを与えてくれると感じたに違いありません。そしてまた、彼らの言動そのものがアロマセラピストを体現していたからです。

考えてみれば、それまで日本にはアロマセラピストという職業というか立場の人はいなかったわけです。日本で始めてのアロマセラピストになりたい受講生にとって、目の前にいる講師はアロマセラピストと自ら名乗り、それを仕事としている第一人者です。彼らの言動=アロマセラピストの言動です。そう考えると、その影響力はとても強いものだったと思います。

講師は授業の中で精油をはじめとする基材の使い方、クライアントへの接し方など、プロフェッショナルであることを常に感じさせる方法を教えてくれました。清潔を配慮してロールペーパーと私たちが呼ぶ、使い捨ての紙を使用し、スマートな立ち振る舞いで先を読んで常にクライアントが清潔で快適な環境を作るための工夫をします。

更に、精油の香りとアロママッサージの実技の授業で受講者と講師、受講者同士の距離がぐっと近くなります。私はその後、講師として様々な現場でアロマセラピーを教えることになりますが、授業の中で実技の時間を少しでも持つことで、クラスの雰囲気が良くなるという魔法のような現象をずっと見てきました。

実はこれがアロマセラピーを体感するということです。香りを嗅ぐことで感情を表現し易くなったり、香りを共有し触れ合うことで信頼関係を作っていく。嗅覚を刺激する精油成分、触覚を刺激するマッサージ、の相乗的な自律神経への刺激がポジティブな反応として現れる。これがアロマセラピーの本質です。授業の中ではその体験を重ねますが、重ねるほどに私自身は学びの限界を感じていました。それについてはまたどこかに記していきます。

個性のあるパワフルな精油

アロマセラピーといっしょに授業に持ち込まれたのは質の良い精油です。当時、日本に入っている、精油のブランドは今ほど多くはなかったですし、手軽に購入できるものでもありませんでした。講師がイギリスから精油や植物油を持参し、授業で使用していました。

悲しいことですが、私の経験では年々日本で入手できる精油にはパワフルさや個性がなくなってきています。香りを嗅いだ時の複雑なノートであったり、ブレンドした時のまとまりなど、微妙な個性がなくなってきています。精油については私もまだまだ勉強中ですが、このノートには当時のデータを改めて記すつもりです。

トラッド・アロマセラピーと日本のアロマセラピストの活躍を期待する

その後、コースは回を重ねるごとに洗練されていきます。私はトラッド・アロマセラピーのトレーニングコースが日本人にも響く素晴らしい状態で日本に導入されたこと、そこに関われたことに誇りを感じました。そして、自分も含めたプロフェッショナルアロマセラピストの将来の活躍に期待を感じました。私は尊敬するイギリス人講師の元で何年もアシスタントを勤め、やがて自ら開校します。

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まとめ

☆イギリスで設立された協会の認定校が日本でプロフェッショナルアロマセラピストコースを開講します。
☆知識と経験豊かな講師により授業そのものでアロマセラピーを体感する。
☆パワフルな精油の香りを体験する。

次回は日本のアロマセラピーについて

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