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1.06 アロマセラピーの歴史①

このノートには1990年代後半のイギリスで学んだプロフェッショナルアロマセラピストのトレーニング内容を主観や考察、雑談も交えながら解説します。

人類と香りの利用

アロマセラピーは比較的新しいセラピーといえることができます。「アロマテラピー」という言葉は1920年に新語として登場しましたが、そのルーツは古代の習慣と深く関係しています。
しかし、情報拡散のスピードが加速していく現代においては、ある程度産業として熟成してきており、その役割を明確にしていく段階にあると言えます。

アロマテラピーの可能性や役割を考察するためには歴史を学ぶことも必要です。また、精油だけでなくハーブや香料も含めた植物療法の歴史、さらに健康管理に対する人々の姿勢やあり方の変化について知る必要があります。

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上記の図は歴史の参考書を見ながら作成した太古の年表です。参考にしてください。

人とハーブの出会い

先史時代、人類は食物を森や川で採取していました。しかし、食物を保存したり、運んだりすることはなく、それらをその場で食していたと想像できます。しかし、人々は食物を求めて移動しながらの生活から家を持ち、集団で特定の場所に定住する生活をするようになると、ある者は木の葉っぱを使って、食物を運んだり、泥を乾かして作った器を使用して、持ち帰るようになります。  

① 芳香植物の利用
人々が森の中を歩き、植物を踏んだりちぎったりするうちに植物に香りがあることに気づきました。良い香りのものは口の中に入れて効果を感じたり、毒を体験することもあったでしょう。また、人々はたくさんの食物をみつけると、それらを貯えるということを学んだと考えられます。

② 火と油の発見
その日その日で食物を食べきっていた生活が、集団で食物を採取したり、栽培を始めると一度で食物を食べきれなくなり、2日分、3日分、一週間分と保存する必要が出てきます。人は倉庫のような保存場所をつくりますが、そこで保存した植物が乾燥しそれを処分するのに火に投じます。乾燥した植物から立ち上がる香りと煙。人々は煙は天に続きそれは神へ続くものと考えていました。そして、香りと煙をもたらす植物は人間にとって特別な意味を持ち始めました。

100万年以上も遡った遥かなる太古、大自然から火を得た人類の先祖たちは、貴重な火の持続のため、草木を集めて燃やし続けました。あるとき突然、炎の中から煙と共に立ち上る芳香。火にくべられた何かが発する未知の香りに、驚嘆の声が響きます。その香りは、人の神経を研ぎ澄まし、魂をゆさぶり、時として鎮静とやすらぎを、時としては陶酔とときめきをもたらしました。

人類は人知を超えるその香りに、神秘の力を感じたに違いありません。現に、香りは祈りと一体になり、当初より宗教的な儀式に結びついて使用されていたと考えられています。

良い香りのする植物は水や湯にいれても香りが出ることを知ると、それらはお茶になり、煎じ薬となりました。
そして、動物の肉の脂に香りがつくことも発見されたと考えられます。油の中で植物を煎じたり、芳香成分を浸出させたりしたと考えられます。

☆ 薬も医者もない時代、人々は病気や怪我の治療を災いの一つとして信仰によって払拭しようとします。たとえば、アメリカの先住民族が治療に石や薬草を利用していましたし、オーストラリアの原住民、アボリジニもやはり植物油や薬草を利用してきた長い歴史があります。そうした一見、非科学的な視点と自らの心身で体験したことを受け継いで病気や傷を癒した時代がありました。その時代を経て、薬草から物質を単離する技術により薬学が研究され、更に大きな流れとして西洋医学へと発展します。しかし、元々の非科学的で体験額的な療法は無くなったわけではなく、補完療法、民間療法、代替療法などとして受け継がれていきます。

③ 芳香物質の抽出と蒸留技術

正確に人々が香りを「いつ」から使い始めたのか刃不明です。現存する資料のなかでは「エジプト:第五王朝期(BC25~24)」には香炉なるものが存在していて,「第十一王朝期(同21~20)」の王の石櫃には『香料を火に投じ・・・云々』という記述があることから,少なくともこの時期ぐらいには香料というものは存在していたと考えることができるでしょう。芳香成分を抽出するための蒸留の技術が獲得されてから精油やフローラルウォーターが利用されるようになったのです。

④ 成分の分析
現在では、各植物の成分が分析され、それらの成分が体内でどのように代謝され、生理的、生化学的、また電気的な活性がおこっているのかが研究されていますが、多様な有機化合物の混合物である精油の分析に基づいた効果はまだまだ研究がすすんでいませんが、これから研究がすすむ分野だと期待しています。

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次回は古代エジプトやギリシャ時代の香りの歴史についてお伝えしていきます。古典的ですが、学ぶ=歴史を知る。ってとこは大事なので、またしばらくお付き合いください。

まとめ

☆ 人類と植物の出会いから香りの歴史は始まっていた。香りと煙を宗教儀式などに利用していた。 ハーブ→香料→精油



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