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今はもうない風景たち その1

 写真データを整理していると、懐かしい風景が出てくる。
 その中には、今ではもう失われた風景というものがいくつかあって、懐かしさと寂しさを感じたりする。
 今回から数回に渡って、そんな風景について書いてみようと思う。

 最初に取り上げるのは、神奈川県逗子市、国道134号線沿いにあったホッドドックの店だ。
 葉山にドライブに行った帰り道、鎌倉方面に抜ける手前にあって、いつか行ってみたいと思いつつも、その手前で食事を済ませてしまうことが多く、立ち寄れないまま、いつの間にかなくなっていた。

 海岸に突き出した崖の上、ヤシの木の隣に停められた黄色くて古いバスがよく似合っていて、とにかく絵になる風景だった。
 車窓から眺めては、どんな人がやっている見せなんだろう?
 どんな人が通っているんだろう?
 そんなことを想像するのが楽しかった。

 いつまでも変わらない風景なんて、そうはない。
 それは分かっているが、やはりなくなってしまうと寂しい。
 このコロナ禍で外出していない間にも、失われてしまった風景があるかもしれない。いや、おそらくたくさんあるはずだ。
 出掛けられるようになったら、またカメラを持って気になる風景を写したい。
 今は気軽にそういうことが出来る日が一日でも早く来ることを祈ろう。

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