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阪神・スアレスの支配的投球への変化

こんにちは!
ここ最近noteを投稿してないなと思ったら、最後の投稿から1か月が経過していました。すっかり秋になってしまいましたね。
ところで一人暮らしの秋ってより一層謎の切なさを感じませんかね?
阪神タイガースのコロナ禍による悲しみが相まってるせいですかね?

ところで(唐突)、阪神タイガースの守護神、ロベルト・スアレス投手は8月下旬以降圧倒的な投球に磨きがかかってきたと思いませんか?
今回は投球内容にどのような変化があったのかを見ていきたいと思います。


1. 支配的投球はいつから?

表:スアレスの全投球成績

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今季より阪神に加入したスアレスは、開幕当初セットアッパーを任されていたものの、クローザー藤川球児の離脱に伴い代役的に抑えの位置に収まり、ここまで継続して守護神のポジションを担っています。
MAX160km/hオーバーのストレートや高速ツーシーム、スプリットやスライダーを武器としているスアレスですが、8月半ば頃までは失点こそ許さないもののコースヒットや四球で走者をためるシーンが多く見られ、1イニングあたりに許した走者数を表すWHIPも8/12時点で1.53と、クローザーを任される選手としてはかなり高い水準にありました。

ところが、2試合に1個以上のペースで許していた四球による出塁が、8/25以降激減しています(上表参照)。
その日以降、巨人を追いかけるチーム状況の中でイニング跨ぎを命じられる場面も4度ありながら、素晴らしい成績を収めていることが分かるかと思います。

表:12球団抑え投手の今季成績

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8月下旬以降の好投もあり、12球団の抑え投手の中で防御率・被OPSともにトップクラスの成績を残していることが確認できます。

では、8/25以降の支配的な投球の裏にどのような変化があったのか、詳細に見ていきましょう。


2. 球種別投球割合・球速帯分布

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図:スアレスの球種別投球割合(上:8/24以前・下:8/25以降)

上の図は、スアレスの8/24以前および8/25以降の球種別投球割合を示しています。
右打者への投球割合に大きな変化は見られませんが、左打者にストレートを大幅に増やしている様子が確認できます。


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図:球速帯分布(上:8/24以前・下:8/25以降)

一方、球速帯の分布を確認すると、(少し見にくいですが)ツーシームの球速帯が上昇している様子が見受けられます。
ストレートの球速帯に大きな変化はないため、全体的な出力向上というよりは、意図してツーシームを高速化し、球速をストレートに近づけている可能性があります


3. 球種別投球成績

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図:球種別空振り・結果球チャート(上:8/24以前・下:8/25以降)

球種別の成績を確認するため、空振りもしくは結果球となった投球を抽出したチャートが上図になります。

左打者に対して投球割合を増やしたストレートについて、8/24以前は高めのゾーンを弾き返されていましたが、8/25以降は前に飛ばさせない、もしくはインコースを詰まらせるといったことに成功しています。
一方、右打者にはツーシームで凡打を重ねているようです。

表:球種別成績(上:8/24以前・中:8/25以降・下:変化)

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球種別の詳細な成績を見ると、被打率やPitch Valueといった項目の全体的な向上が見て取れます。
ストレートのSwStr%も向上しており、ストレートの質自体が向上しているものと考えられます。
特に左打者に対してのストレートの成績は、SwStr%:13.8%→20.8%、被打率:.389→.053と大幅に良化しています。

また、注目すべき項目について3つ目の表にまとめました。
前項で確認した通りストレートの平均球速に大きな変化はないものの、ツーシームの平均球速を1km/hほど上昇させています。
また、全球種通じてゾーン内への投球割合(Zone%)を上昇させるとともに、Swing%の上昇に見られるよう打者のスイングを誘発し、ストライク先行の投球となるよう意識している可能性が高いです。
実際、一人の打者に対して3球以上投じた場合に、3球目までに打者を追い込んだ割合は60%(8/24以前)から69%(8/25以降)へと向上させています。

打者が攻略することが難しい良質なストレートおよびツーシームを活かすため、積極的にゾーン内に投じて四球リスクを低減させるとともに打者のスイングを誘い、圧倒的な球威で押し切るピッチングを実現させていることが分かりました。


4. まとめ

今回は支配的なピッチングに変化した阪神・スアレスの投球内容を見てきましたが、以下のような変化を確認することができました。

① 8/25以降、四球による許走者が激減したこと
② 良化したストレートの投球割合を左打者に対して大幅に増やしたこと
③ ツーシームの高速化を図っていること
④ ゾーン内への投球を増やし、ストライク先行の投球で四球のリスクを低減させていること

投げるボールの質自体の向上と併せて、無駄なボール球を投げないようにという意識が現在の支配的投球に寄与しているものと考えられます。

コロナ禍により苦しい戦いが予想される阪神タイガース。
終盤までリードを保って絶対的守護神のスアレスにつなぐ展開をどれくらい作れるかに注目したいですね!


データ参考
スポーツナビ:https://baseball.yahoo.co.jp/npb/
NPB:https://npb.jp/

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