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Dancing☆Star プリキュアで2.5次元を初体験してみた

11月1日 東京・品川 ステラボール 13時公演回。
自身初めての2.5次元舞台「Dancing☆Starプリキュア」を観劇してきた。

今でもプリキュアウエハースは全種揃えているし先日の第8弾も3箱買いしながらも近隣で買い占めしない程度に買っているほどのプリキュア好きだが、「キュアウイング」発表とほぼ同時だった男の子のプリキュアの発表は「待ってました!」と思った。
なんせ「東京ミュウミュウ」が男子高校生主人公版になった「東京ミュウミュウオーレ!」を全巻揃えたぐらいだ。
「マッシブな男がメカメカしくてかっこいい正義のヒーローになる」のはもう十分摂取した。「男の子がかっこかわいく戦う」のが何故今まで出てこなかったのか。
スタッフ陣も初期プリキュアの鷲尾氏、デザインにプリキュア5の川村氏が携わってハズレる訳がない。

チケットを予約し「スケジュール的にも資金的にも一発勝負だから当たれ!」と祈って無事当たり当日。やはり男女比は2:98ぐらいだがこれでも「初日よりは男性が増えた」というお話を聞いた。やっぱり女性の方の熱意は凄い。
そして席は前から3列目のど真ん中。もうステージ真ん前。顔が間近。なので大興奮で見ることが出来た。
とはいえ逃走中THE STAGEの時同様やはりステージ上方の投影による特殊効果が見ずらかったので「じっくり舞台を楽しみたい方」用の2階席当日券もある。ようやく舞台の楽しみ方が分かってきた。

以降、まだ公演中のためネタバレにならない程度の厳戒注意をしながら書くが、それでも気になる方はここで見るのを止めてぜひ公演を見ていただきたい。当日券もあるし東京千秋楽は配信もある。BD・DVDも予約受付中だ。

キャストの感想

キュアトップ/星河楽(田村升吾)

もう王道の「熱血バカ」。
過去のプリキュアシリーズだとプリキュア5ののぞみとかスマプリのみゆきとか「ドジばっかり踏むけれど皆を引っ張るカリスマ性がある」というタイプ。これを女の子がやると「アホの子」という言葉で称されるが、男の子がやると「熱血バカ」なんだなぁというのを実感した。

でもやっぱ、困難なことも辛いことも楽しんで取り組む。それが次第に周りを巻き込んでいく。熱さの中にカリスマ性があるからこそ主人公たるヒーロー。ずっとカッコ良かった。

キュアロック/夏目颯斗(瀧澤諒)

自分がキービジュアルを最初に見て一目惚れして、それがキャスト陣の写真に変わって確信を持ったのがキュアロックだった。同担は認める派。

例によって楽と幼馴染という立場によって楽に振り回される立ち位置である。もちろん彼自身にも抱える問題はあるにはあるのだが、彼自身の問題2:楽に振り回される8ぐらいで振り回される苦労人である。

改めて自分はこういう苦労人タイプのキャラが好きなのかもしれないと癖を認識した。プリキュア5の推しはキュアルージュである。髪型も似ているし。
一方で彼のロックダンスは真似したいって思えた。やっぱりこうビシッと決めるやつが好きみたいだ。

キュアカグラ/天弦滉雅(寺坂頼我)

ダンス部の副部長であり、指導に一切の容赦や妥協を許さない。後輩からすると近寄りがたい存在の威圧感ある先輩。見てるだけで自分の胃がキリキリしてしまった。
過去のプリキュアシリーズあるいはその他の魔法少女物でも先輩格で近寄りがたい人はいなくはない(プリアラのゆかり先輩とか)が、最終的に「チームワークの絆」が大事になる中で、後述するキュアブレイクとは別ベクトルの「孤高」感を感じた。

だがその分変身した時の雅さはやっぱけた違いだった。「華麗」につきる。
プリキュアシリーズだとドキプリのキュアハートが和服をイメージしたり、ハピプリのフォームチェンジの「あんみつこまち」などがあるが、レギュラーではいない。こういうのを取り入れてもいいんじゃないかなと思った。

あと、前述の通り厳しい役だが、パンフを見ると「リハで笑い過ぎて注意された」と言われたり、ハロウィン限定写真で「一番はしゃいでいた」ってぶっこまれるなど、素は楽しそうな人ってのを感じた。

キュアソウル/月宮爽々奈(森田桐矢)

一方、ダンス部の部長を務めるのがこの方。「褒めて個性を伸ばす」という育成方針で天弦のなだめ役みたいな優しい部長だが、本気で言う時は言う。普段は明るくチャラいからこそ、その本気で言う時がすっごい刺さる。
天弦が「常時出力の怒り」というのなら月宮は「斬れ味の怒り」みたいな感じ。

そして変身して戦う時の「スタァ」感。「スター」じゃなくって「スタァ」感。
自分が毎週見ている「逃走中グレートミッション」のシド・フェニックスのように「スタァ」が1人いるだけでまたチームが華やかになり、アクセントになる。

キュアブレイク/黒瀬舞人(小辻庵)

最初の登場シーンのブレイクダンスで一発で心を持ってかれた。
やっぱりブレイクダンスはカッコ良すぎるし、その技術が凄かった。
他のメンバーとのやり取りがちょっとぎこちないのがだんだん打ち解けていくのがいい。

メンバー内でもコスチューム的には一番かわいいというか幼さ(と言っても全員高校生なんだけれども)が見える感じなんだけれどやっぱりカッコイイ。
(ストーリー的にここで来るんだよな…)って分かっていてもやっぱ登場シーンがカッコイイ。
どんだけ言うんだ。

パパドゥ(和合真一)

この手の作品には当然お決まりの妖精枠。が、妖精でいるより人間体の時間のほうが長い。
ハロウィン翌日なのでかなり執拗に「ハロウィン終わってますけど…」イジりされてた。逆に言えば現実世界でもハロウィン近くだったら妖精が人間体で出てきてもワンチャンある…ってこと!?
妖精体の時は黒子さんが操演するのかなと思ってたらそのまま妖精の人形持ったままやってたのがおかしかったけれどこれも大人向けの舞台だから出来る力技だなと思った。ちょいちょいプニプニされてた。
プリキュアシリーズとしての「お約束」的なことを出しつつ、最後まで無能なのか有能なのか分からなかった…実は一番怖い存在なのかもしれない…

その他に…

プリキュア以外で主軸となるのは鈴ノ木蛍(平松來馬)内海充(TAISEI)の2人。プリキュアのストーリーも面白いが彼らのストーリーも面白い。
見ているのが痛々しくてやっぱり自分の心が痛んだ。

そしてダンス部顧問を務める室井一帆(伊藤裕一)
あんまり多くは言えないが終始「圧巻」だった。改めて振り返って「凄かったなぁ…」という感想しか言えない。

衣装の感想

ストーリーに行く前にやっぱりプリキュアの衣装を語りたい。

こういう作品の最大手というとやはりミュージカル「セーラームーン」なのだが、あの舞台では衣装にキラキラしたスパンコールをつけている。
もちろん光の当たり具合とかで派手に見せられるのでそれを否定はしない。
ただ自分はドラマ版「セーラームーン」で育った世代なのでやっぱりああいう「ゴテゴテ」というか「『戦闘服』感の無い」感じはどうしても苦手だ。
ドラマ版は基本のセーラー戦士の衣装をベースにしつつもアクセサリーが違ったり装備がちょっと違ったりと「シンプルイズベスト」を基本にしているのでやっぱり好きだ。
とはいえそもそもセーラー服で戦うのが「戦闘服じゃないだろ」というのと後年のキャストの皆さんのインタビューで「夏は暑く冬は寒い」と言われるほどの機能性の無さが露呈されたのを見て納得はしている。

一方、プリキュア、特に初期のプリキュアの「戦闘服」感が自分にとっては好みだ。
初代プリキュアで徹底されていた「肘や膝は守る」という理由からつけられたアームカバーやブーツカバーといった感じや、プリキュア5GoGoのようなセーラームーン同様の統一感がありつつも「燕尾服をベースにした騎士感」ある衣装とかが好みだ。「へそ出しだから」という理由でプリキュア5時代の方が好きな人が多い中で少数派のような気がする。

そんな中で今回のプリキュアたちの衣装。他の方の感想を引用させていただくなら
「実際にプリキュアに変身したらこんな感じ」
というまさにいい感じだった。
舞台映えを重視したゴテゴテ感を押さえつつ、かわいさもありながらカッコいい。実際に戦っても動きやすそうな所もいい(まあ、ダンスするわけだし…)
キュアトップやキュアソウルはマントを付けているのもポイントだ。

川村氏も「装飾がアクションの邪魔になってはいけない」「シンプルでは面白みがない」と悩んだそうだが、もうその狭間のストラックアウトの5番を射貫いてくれた。流石川村氏。

ストーリーの感想

一番最初に言いたいのは

「あ~これを1年かけて50話で消化してほしい…」

だった。

それぐらいプリキュアの1シリーズ1年を2時間半にギュッと凝縮されている。
1話ごとに「ここがいいよね…」「ここが面白いね」とちびちびお茶を飲みながら楽しむ胃弱野郎にとってはこれを2時間半で消化するには凄まじいボリュームの圧だった。

先程も言ったような「プリキュアのお約束」的展開もありつつも、しっかりと「ダンス」が縦軸として機能していた。
自分が好きな「フレッシュプリキュア」もダンスを取り入れた作品だったが、改めて振り返ると「メインテーマではなかったよな」「縦軸はなんだったんだろう」とたまに考えることがある。「『幸せ』と『不幸』」かなとも考えたことがあるが初期のプリキュアは全体的に割と統一感の無いシリーズが多かった。プリキュア達のネーミングも全体的にテーマが統一されてないし。
もちろん本作はちゃんとダンスに向き合っているし、それを生かしたアクションも見ごたえあり。5者5様の「戦い方」は目が離せない。

本作の大テーマとしては「『希望』と『絶望』」がある。
高校生という一番希望に溢れやすく、そして一番身近で多くの人と競い合い、時に負けたり、自分の未熟さに気づいてしまうという挫折を知る時代。その中で起きる事をオブラートなしに出してくる。
だが一番刺さるのは大人だろう。最早挫折を味わいまくり「『絶望』しか残っていない」と思いながら生きる我々に「希望」はあるのだろうか?

もう1つのテーマは「『個性』と『協調性』の共存」である。
ここ20年ぐらいでいろいろ世界も変化していき、様々な個性も認められるようになってきた。一方で最高のパフォーマンスを出すためには、極論を言えば生きるためには協調性が無くてはいけない。
「個性を出すべきなのか?協調性を優先すべきなのか?」「個性を出しながら協調性を出すことは可能なのか?」という難しい問題も提示されている。

この2つの問題に「『プリキュア』なりの答え」を出しているからこそ、自分は「看板で敬遠しないでもっと見て欲しい」と思った。
子どもじゃなく大人が見るからこそ、忘れかけていた、見えなくなっていた「答え」を教えてくれる。
プリキュアが「希望」を教えてくれるはずだ。

最後に

かつて2011年に「魔法少女まどかマギカ」にハマった私はそこからセカイ系やデスゲーム漫画にハマり自分の思考までデスゲーム脳化していた。(これ自体は現在の友人を作ってくれたおかげでもあるので多少は良かったとは思っている。)

だが、2017年に心身を崩してしまい「絶望」を味わった。今も完璧には戻っていないし多分一生戻らないと思う。
その中で自分の中での希望の光だったのはプリキュアだった。
やっぱり自分の好きな物を楽しむことを原点に帰って教えてくれたプリキュアのおかげでより視野が広がった。思いがけずちょっとした「夢」も叶えた。

何のシリーズであれ、どんな形であれ、「伝説の戦士 プリキュア」は私たちの心まで救ってくれる。
この作品を見た人たちも、明日を頑張ろうと思える力が沸いたはずだ。

脚本・演出を務めているほさかよう氏のパンフでの言葉をちょっとだけ借りるなら「『キレイ事で収まるか』という所を意地でもおさめる所」にプリキュアの強さがある。
「現実はそんな優しくない」って言う人もいるだろう。それは分かってる。でもそんな言葉はやっぱ無粋だ。
水戸黄門は印籠を出せば万事解決する。
日向坂46は「誰よりも高く跳べ!」と「JOYFUL LOVE」をやれば感動で終わる。
キレイ事だろうか多少強引だろうが、やっぱ最後は「笑って終わる」。それでいいじゃないか。

最後に
私が見た回のカーテンコールで、キュアトップが小さい子を見つけて

「いつか一緒にプリキュアになろうな」

と声をかけた時、会場が盛大な拍手に包まれた。

「希望」を捨てなければ、いや、「希望」を見つければ、いつだって、誰だって「プリキュア」になれる。そんな気がした。


あ、爆買いまでとは行かないけれどちゃんと推しは買いました。

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