「逃走中アルティメットとは何だったのか」とは何なのか

※この記事には「Run for the Money 逃走中 Battle Royal」に関する記述が重大なネタバレにならない程度に含まれています。

2022年大晦日に逃走中大晦日スペシャルが放送される。
当初のリリースでは18時から21時までの3時間スペシャルであり、「まあ妥当だよねぇ」「紅白見たり裏の鬼タイジも見る分にはちょうどいい塩梅」かと思っていたらまさかの17時から23時45分という6時間45分スペシャルという超超超長丁場が実現することになった。
普段3時間スペシャルですら視聴後にぐったりするほどの熱量で見ている上、逃走中予想レース、参戦プレイヤーwikiへの執筆など様々な仕事を抱えている(もちろんリアルの仕事も)私が果たして生きて2023年を迎えられるか非常に心配である。

そんな中、今回の発表やNetflix「Run for the Money 逃走中 Battle Royal」を視聴した逃走中ファンの方の感想でよく目にするフレーズがある。

「逃走中アルティメット」とはなんだったのか

2013年に開催された「逃走中アルティメット」。逃走中が構成する5大要素「逃走者」「エリア」「ゲーム時間」「賞金」、そして「ハンター」を最大限に高めた「究極のゲーム」。その激闘は2週にわたって放送され、それは間違いなく「逃走中史上最大のゲーム」と言えるものだった。

が、その「逃走中史上最大のゲーム」という立ち位置を脅かす事案が様々出ている中で上記のフレーズをつぶやく人も多く見られた。

これに対して自分はやや釈然としないが「うーん」という感情を抱き、この記事を書くに至っている。

そこでこの記事ではどうしても「保守的視聴者」が多い中「極左暴力視聴者」と呼べるぐらい「革新派視聴者」となってしまった自分の立場から逃走中の歴史を振り返りつつ、改めて「アルティメットとは何だったのか」を振り返りたい。

「あの時が一番輝いていた」と思っていた私たち

2013年東京・お台場
フジテレビにカリスマ爆走族…ではなく我々の仲間たちが20人規模で集まり、フジテレビ夏休みイベント「お台場合衆国」での逃走中イベントで遊んでいた。

この年の正月に開催されたアルティメットで「逃走中最大規模のゲーム」が開催されたとともに、前年2012年には番組初の公式イベントとして「リアル脱出ゲーム」でお馴染みSCRAPとの謎解きコラボイベント「攻略中」が開催。
そして2013年から2016年まで毎年フジテレビの夏のイベントに出展。特に2014年からは2016年までは3年連続でフジテレビ球体展望室「はちたま」を盛大に使ってイベントが行われるという「特番なのに最上級待遇を受けている」という事に感動していた。
また、2015年にはイベントが開催されアンガールズ田中さん、ダレノガレ明美さん、篠崎愛さんが登壇された。
そしていずれの回でも「クロノス社界隈」と呼ばれる30人前後の「常軌を逸した集団」が「マジで迷惑にならない程度の迷惑」をいろいろとおかけした。改めてフジテレビさんに感謝である。

そんな中で2013年に開催された「逃走中アルティメット」。
逃走者は逃走成功者・自首成立者・優秀成績者を中心に過去最多数となる30人。
エリアは東京ドーム30個分となる「エリア21(東京競馬場)」
ゲーム時間は130分+アルティメットルールによる実質無制限。
賞金はアルティメットプレイヤーに138万円×2の276万円と過去最高額。
そしてハンターはスタート4体(+ミッションで2体だったが封印成功)+100体の104体とこれも「実際に戦わなければならないハンター数」では過去最多を記録した。

これほどまでの規模感のあるゲームをするには当然莫大な準備等が必要であり、その後もそういったゲームが開催されない事もさることながら、自分の中では「逃走中が目指すべき頂点はもう制覇した」「これ以上の頂点はもう知らん」と思っていた。

実際、2016年以降、逃走中は「苦難の時代」を迎える。
2016年に高月ハンゾウ役の高知東生さんが芸能界を引退、2017年には逃走中創始者であり編成企画として携わっていた高瀬敦也さんが異動し逃走中から離れることとなり、2017年の逃走中は「海賊ルフィと恐怖のハンター」の1回しか放送されなかった。
ただ、その回から3回にわたり我々の間では「観戦オフ」と題してカラオケボックスでみんなで集まり逃走中を視聴するというまさに逃走中が目指した「スポーツ観戦のようなゲーム」の極致まで到達していた。もっと人が多かったら渋谷のスクランブル交差点で騒いでいたかもしれない。

その後は「ドラマ対抗目利き王決定戦」のエキシビジョンを挟みつつも年2回ペースでの放送がメインとなり、2019年には15周年ゲーム、初の一般逃走者の参戦までこぎつけた。
この時は「逃走中も新たなステージに入ったなぁ」とは思ったが放送枠も2時間であり「アルティメットを超す」とまでは思わなかった。

そして2020年、新型コロナウイルスの流行により自分の中では「まあ1年ぐらいは逃走中は無理だろうなぁ」と覚悟していた。

と思ったら「真夏のハンターランド」でのキッズ逃走者参入から火が付き、「ハンターと鋼鉄の魔神」での未来ドラマ復活、戦闘中新シーズンと堰を切ったかのように怒涛のラッシュが始まった。
本来「放送前後にまったり仕上げる予定」だったクロノス参戦プレイヤーwikiも最早「編集オフの期間が無い」ぐらいまで追い込まれた。ファンメイドなので勝手なのだがマジで「うちを過労死させようとしてない?」とまで思うほどである。

そして2021年に入り番組初の4時間ぶち抜きとなる「新ゲームを攻略せよ」が開催。かつての「アルティメット」と同じ競馬場(川崎競馬場)、逃走者29人という規模はまさに「アルティメット」を彷彿とさせた。
ただ「彷彿とさせた」であって「超えた」とは思わなかった。

2022年。
怒涛の元日決戦から始まり5月に収録情報が出るも音沙汰の無い話に「お蔵入りになったのか?」「というかそもそも逃走中ではなかったのでは?」と考える中で出てきた情報はまさかの「Netflix版逃走中」だった。
逃走者の数は「新ゲームを攻略せよ」同様29人、エリアもエリア封鎖の無いハウステンボスとはいえ最高賞金504万円、ハンターも最大120体と「賞金」「ハンター」に関してはついにアルティメットを超えた。

「これがNetflixの力か」

この時私はようやく「アルティメットを超えた」と思った。

そして大晦日。当初の報道では18時~21時の3時間枠。先に発表された裏の「THE鬼タイジ」が5時間45分放送というのを聞いて「やっぱ逃走中はいつも『お求めやすい量』を提供してくれるよね」と自分はコメントした。
人間食える限界はあるので誰もがメガ盛りを食えるわけではない。アタマの大盛ぐらいがやっぱ程よいんだよこれがと思っていた矢先のまさかの「ペタ盛り」だった。

ここまで来るともう自分の中では「逃走中バブル」である。
昔「かくし芸」をやっていた時間帯に「かくれ芸」を披露し、マーク・ハントとミルコ・クロコップが戦った時間帯に逃走者とハンターが戦うのである。
思わずフジテレビに「社運賭けすぎてない?」と言いたくなるほどだ。
個人的にはいつ総量規制がかかってバブル崩壊するか心配でもある。

もちろん裏付けもある。
「子ども達からの人気が異常なほど高い」というのは2013年の時にはまったく思わなかった事だった。
Netflix版もキッズランキング(レーティングが全年齢もしくは7歳以上対象の番組のみ)ではクレヨンしんちゃん・ポケットモンスターを抑え1位をキープしている。アニメ作品が並ぶ中で1位にハンターが出ている姿は予想だに出来なかった。
願わくばキッズの感想を直聞きしたいところだがやったらやったでまたしても不審者ムーブになってしまうので自重したい。

結局「アルティメット」って何だったのか

本題に戻ると、結局あの時の「アルティメット」は

「今(2013年時点)逃走中が持てる全力を出したゲーム」

と呼ぶに他ならない。

そして今の逃走中は人気、資本、知名度、バックアップ、その全てにおいて2013年の時の「全力」を遥かに超える力を持っている。

例えば資本金数百万円の小さな町工場がある。生産能力にも限りがある。当然「全力を出せる限界」がある。
が、時を取って発展し資本金が億を超え大工場も作れるようになった。その時の「全力を出せる限界」はかつての何倍にもなるだろう。
だからといって町工場時代の「全力」を「あの時の『全力』って何だったんですか」と揶揄する人はいないだろう。

自分も含め、あの時の逃走中はまさに「最高到達点」であり「これ以上どう発展するかはわからん」と思っていた。だが現実は思わぬ形でそれを超えてしまった。
「アルティメット」が「究極のゲーム」というのならばいつか「究極完全体のゲーム」が出てもおかしくはないし、さらにそこから「究極完全超越体のゲーム」が出てもおかしくはない。未来とは不確定だからこそやっぱり面白い。

改めてここまででかいのが連発すると「今後大丈夫なの?」という心配はどうしても生まれてしまうが、未来を心配しても悲観してもただ自分がつらいだけである。最低でも未来のことは考えないで「今目の前にある祭りを全力で楽しむ」のが一番楽しいことだしそれが作品に対する「礼儀」ではないだろうか。

ただ今私は「出演者発表が出たとしてwikiも予想レースもプレイヤーの執筆間に合うのかな…」ということだけが心配である。

12月31日 大晦日決戦まで残り273万秒。

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