極東軍事裁判に付随する裁判について

今日は終戦の日が近い事もあり、自分なりに調査、精査した敗戦後の極東軍事裁判(俗に言う東京裁判)それに付随する裁判について語ろうと思う。

まず、よく勘違いされやすいのはA級B級C級戦犯は罪の重さの順に捉えている方が結構いる。
これは間違いだ。

A級は『平和に対する罪』
B級は『通常の戦争犯罪』
C級は『人道に対する犯罪』

が正しい。
極東国際軍事裁判所条例第五条により定義され、それぞれ先の条文により詳細項A~C級に分類され有罪判決を受けた。

まず大前提として話さなければならないのが、A級C級戦犯についてである。
実際に戦争犯罪に該当するかは置いておいて、近代法によりA級C級は本来裁かれるべきでは無かった。
というのも該当憲章において平和への罪、人道に対する罪が定義されたのは1946年である。
近代法律において絶対に遵守しなければならないものが一つある。

そう『法の不遡及』である。
法律の制定の際、その法律を遡及して過去の事由に適用させてはならない。

だが、極東軍事裁判に付随する一連の裁判はこの近代法を無視した蛮行に過ぎないのである。
そして、日本が日中戦争、太平洋戦争(大東亜戦争)をせざるを得なかった背景についても忘れてはならない。

今回はA級戦犯として有名な東條英機について語ろうと思う。
彼は第二次、第三次近衛内閣組閣において陸軍大臣に就任。
当時の日米間の緊張状態が激化し、なんとか外交において戦争回避路線をとろうとした。
だが、近衛の交渉案はアメリカに相当な譲歩をする内容であり、東條はこれに激怒した。
翌々日外交交渉の道を失った近衛内閣は総辞職した。
そしてついに東條は首相の座に推挙され、天皇の承認も得る事になった。
実はこの時適任者として東久邇宮稔彦王を次期首相に推す声もあったが、東條以外に強硬派の陸軍を抑え込める者はいないと判断されての結果だった。
東條自体は天皇の意向を絶対視する人物だったため、戦争回避の任を与えるに適任とされたためである。
だが東條は先述の通り、交渉の折譲歩案に否定的な立場であった。
当時の昭和天皇はこう述べている

『虎穴に入らずんば虎子を得ず』

組閣後、東條は天皇より日米戦争回避の道を模索するように指示されるのであった。
近衛内閣時代に譲歩案に否定的な立場であった東條は、天皇直々の意思表示によりこの考えを転換、かねてからアメリカから要求されていた日本軍の中国撤兵において、中国国内の治安確保とともに長期的、段階的に撤兵するという妥協案を準備した。
そう東條は天皇の意向を遂行しようとしたのである。
しかし、これは例の如くアレにより日米戦争回避路線論者も日米開戦やむ無しに切り替わる。

それはルーズベルト大統領から出された案、俗に言うハル・ノートである。

よく東條内閣は軍事政権として批判されがちだが、これは間違いである。
実際に組閣人事に幕僚を起用しなかった。
本人の兼務はあれど軍出身者は最低限であった。
そして1941年12月8日、日英のマレー開戦を機に太平洋戦争へと突入していく。
東條は開戦日の未明に皇居を向いて号泣した姿を目撃されている。
そう、天皇の意思を守れなかった事を泣いて詫びたのだ。

今回の雑記のキーになる出来事がある。
パールハーバー、俗に言う真珠湾攻撃である。

実は極東軍事裁判において、東條の罪状はパールハーバーへの指示、つまりハワイの軍港真珠湾を不法攻撃し米国軍人と民間人を殺害した罪による絞首刑だった。
だが、ここで忘れてはならない事が一つある。
そう当時の東條は参謀総長ではなく、統帥部の方針に口を出す権利は無かったのだ。
彼が参謀総長になるのは1944年になってからである。
つまり東條は冤罪により絞首刑に処された事になる。

勝てば官軍、負ければ賊軍という言葉もあるが近代法を完全に無視した裁判に起訴された挙句に冤罪で絞首刑に処された東條は最後まで天皇には罪は一切無いと最後まで語った。
自分は絞首刑になるにも関わらず、己の保身に走らず最後まで天皇を守ろうとした事を忘れてはならない。
個人的な見解ではあるが、東條は日本男児ではあったが悲運に見舞われた人物でもあると感じている。
俺は歴史を学ぶ上で遵守しなければならない事があると考えている。

正と負の両面から情報を精査し総合的に判断する事である。

日本が負けたから悪い
アメリカが勝ったから正しい

これは暴論であると思うし、偏向した見解とも言える。
これでは歴史から何も学べず、また同じ繰り返しをするだけだ。
今の世界情勢は第二次世界大戦直前の情勢に非常に酷似している。
中国インドの軍事衝突、北朝鮮の暴挙等多数の火種が燻った状態だ。
いつそれが発火点になり、戦争に突入してもおかしくない情勢とも言える。

長々と書いてきたが、個人的にはこのまま平和が続いて欲しいと願ってる。
でも、日本人はいい加減平和ボケから目を覚ます時期に来ていると感じている。
アメリカがいつも守ってくれると勘違いしていたら、いつか日本そのものが消滅するかもしれない。
別に軍備拡張しろ、とは言わない。
だが、自衛隊をいつまでも曖昧な立場にするなと言いたい。
彼等は必死に我々の生活を守ってくれている影の大黒柱でもあるからだ。
せめて合法的な立場に処してあげる事は問題ないだろう、と思う。

また気が向いたら書こうと思う。
それではまた。