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米農家による稲作解説

この記事は「cluster Advent Calender 2023(2ページ目)」の23日目の記事です。
昨日はUnityエンジニアのRDAG(@paldynojosh)による虚無をクリックできるようにするという記事でした。右クリック後の虚無クリック、めっちゃしてるなぁと気づかされました……


自己紹介

お久しぶりです。クラスターで3DCGデザイナーをさせてもらっている荊棘そら(いばらそら)です。実家が米農家で、そちらを回しながら京都芸術大学でイラストを学んでいる大学生です。なんと先月でクラスターで働き始めて1年経ったようです。1年は早いですね。これからもスキルを高めていけるように努力していきます。


1 はじめに

この記事では、クラスターで3DCGデザイナーとして働かせていただきながら米農家をしている僕が簡単に稲作について解説をする記事となっています。どのくらいお米を作っているかというと今年の出荷量が約50トン、面積にすると約17ha(東京ドーム約3.6個分)らしいです。まだ、3年目が終わったところなので、備忘録的な意味合いも込めて書いていきたいと思います。

2 稲作とは

稲作には、どういった工程があるのかを今年うちがやった時期も参考に下記に示します。

  • 畔塗り(3月中旬~3月下旬)

  • 田起こし・基肥(4月上旬~4月下旬)

  • 種まき・苗管理(4月上旬~5月下旬)

  • 代掻き(4月下旬~5月下旬)

  • 田植え(4月下旬~5月下旬)

  • 水位管理・除草(4月下旬~8月下旬)

  • 追肥(5月中旬~8月中旬)

  • 中干し・溝堀(6月下旬~7月下旬)

  • 稲刈り(8月下旬~9月下旬)

  • 乾燥(8月下旬~9月下旬)

  • もみすり(8月下旬~10月上旬)

  • 稲わら回収(10月上旬~10月中旬)

  • 秋起こし(8月下旬~10月下旬)

僕が働いてて普通に写真がない工程があるので、いくつかの工程についてダイジェストで解説していきます。

2.1 畔塗り(3月中旬~3月下旬)

畔塗りとは、田んぼを囲んでいる畔に土を塗り付けることで、水を漏れにくくすることです。トラクターに畔塗機と呼ばれる機械を取り付けて行います。

畦塗りしてピースする僕

畦塗りを行う時期がうちの場合は少し早く3月中旬からでした。幸い今年は雪が少なく、畦塗りをする時期にはもう雪が残っていませんでした。しかし、田んぼは思った以上に湿っており、ラフに畔を塗っていたらドナドナされました。皆さんも田んぼのぬかるみにはくれぐれもご注意ください。

ユニックでドナドナされるトラクター

2.2 田起こし・基肥(4月上旬~4月下旬)

田起こしは、前の年の秋から水を抜いて乾いた田んぼを春に深く耕すことです。田んぼを深く耕すことで通常では空気が入っていかないところまで空気が入ります。それにより土が乾き、微生物による分解が起こります。これを乾土効果といいます。

田起こしの様子


基肥は、稲を植える前に散布する稲の成長に必要な栄養分のことです。うちでは、土を耕すロータリーと呼ばれる機械に肥料散布機を取り付けることで1回で終わらせています。

ロータリーと肥料散布機を装備したトラクター

2.3 代掻き(4月下旬~5月下旬)

代掻きとは、田起こしを行った田んぼに水をため、土を砕いて平らにしていくことです。代掻きを行う前の田んぼは凸凹で場所によっては昨年の藁や稲株が残ってしまっているところもあります。特に藁が表層にあると、田植え後に水を入れたときに浮いてしまい、稲の成長を妨げてしまいます。そういったことを回避するために、うちでは代掻きを荒代と本代の2回行っています。田起こしで使ったロータリーでもできますが、うちでは展開することで幅が3.5mくらいになるドライブハローという機械を使っています。

格納状態のドライブハローを装備したトラクター

代掻きをした田んぼは餌が多いようで、よく鳥が群がってきます。今年は特にサギが多かった印象です。

ちなみに、この段階で水を入れすぎると湖みたいになって大変なことになります。

水位が下がらない田んぼ

2.4 田植え(4月下旬~5月下旬)

田植えは、種まき後に成長した苗を田んぼに移植するものが現在は主流になっています。他に、種もみをそのまま田んぼに撒く直播栽培というものがあります。
苗箱に種まきをし、ハウスで1か月弱成長させるとこれくらいになります。これを田植え機にセットすることで、田植えを行うことができます。

田植え前の苗の様子

うちで使っているものは8畳植えの田植え機です。後ろに16枚、前に8枚の苗を載せることができます。

田植えの様子

2.5 水位管理・除草(4月下旬~8月下旬)

田植えが終わると、田んぼに水を入れます。水面から土が出てしまうとそこから雑草が生えてしまうため、水面の高さの見回りを行います。水漏れが少なければ、2、3日に1回ほどでいいのですが、今年はモグラとオケラに穴を掘られ、毎日のように田んぼを回り、穴がないか畔を歩きまわっていました。

見回りの相棒スーパーカブ50STD

3月に畔塗りを行って土を塗った畔も田植えが終わる5月下旬になってくると徐々に元気な雑草が生えてきます。そのため、畦道の除草を行います。

除草剤の入った背負い式動噴

2.6 稲刈り(8月下旬~9月下旬)

稲刈りは、穂が実って熟した稲を収穫することです。まず、田んぼにたまっていた水を落とし、田んぼを乾かします。そして、田んぼが乾いたらコンバインを使って刈り取りを行います。刈り取ったお米は脱穀され、タンクにたまります。タンクがいっぱいになれば、軽トラなどで乾燥機まで運び、乾燥させます。一般的に流通しているお米の水分値は、14.5%程になっています。しかし、収穫したてのお米の水分値は、20%以上あります。そのため、乾燥を行います。

刈り取ったお米を軽トラに移す様子

2.7 もみすり(8月下旬~10月上旬)

乾燥が終わったお米はまだ、籾殻が付いた状態です。籾殻をはがして、玄米にする工程がもみすりになります。数年前までは30kgの紙袋に玄米を入れてパレットに重ねていましたが、労力が半端じゃないので1トンパックを導入しました。40分くらいで満タンになるのですごい楽です。

もみすりした玄米を1トンパックに入れている様子

2.8 稲わら回収(10月上旬~10月中旬)

稲刈りの際にコンバインから排出された稲わらを集めて、知り合いの果物農家の人へ渡すためにロールにしています。トラクターの後ろにロールベーラーと呼ばれる機械を取り付け、田んぼを走ることで稲わらをロールにすることができます。

ロールベーラーを装備したトラクター

田んぼの中に運搬車で入り、ロールにした稲わらを回収します。乾燥した状態であれば、両肩に担げるくらいの重さですが、雨が降ったりすると終わりです。僕は筋肉痛になりました。

稲藁ロールを運搬車で回収している様子

最後に

実際の写真を交えた本当に簡単な稲作解説でしたが、流れはなんとなくわかってもらえたかと思います。案外写真を撮っていなくて解説できなかった工程もありますが、それはまた機会があればどこかでやりたいと思います。ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。

明日は、@y_sanotchさんのなにかです。お楽しみに!

P.S. お父さんからクリスマスプレゼントに籾殻散布機をもらいました。来年使うのが楽しみです。

熊谷農機「まい太郎」


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