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ハゴロモ/よしもと ばなな 読書徒然vol.11

2016.12.21
ある【別れ】をきっかけに都会からふるさとへ
戻った女性の物語


日常の中にある、ふっと見逃してしまうような
出来事とか優しいコトバ
随所におりこまれていて
だけど通り過ぎる感じではなく
ふわあっと染み込んでくるような
辛さや苦しみを知ったからこその綺麗な
物語に感じた
そしてすごくすごく優しい

著者のよしもとばななさん
すごく辛く苦しい体験をされたのでは
ないかなあって感じた
実際に体験したからこそ
書ける文章なのではないかなあって

今読めてよかったって感慨深い1冊になった
自分にとって、あとがきに書かれていた
言葉通りの1冊になったから
よしもとさん、すごい...!ってゾクゾクした
読み終わった後に全てを受け止めて
受け入れて
前を向けるような物語

物語の核になる真相がわかった時
すごく不思議な真相で
だけど、こんなことがあってくれたら 
いいなあってすごくすごく思った

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(本文より)
『人の、感じる心の芯のところは、
決して変わることがないようだ。』

『「同じような気持ちでそばにいるだけで、
語り合う言葉がないほうがかえって
通じ合えるということのすばらしさを
私はその歳にしてもう知っていたみたい。」』

『人の、意図しない優しさは、
さりげない言葉の数々は、
羽衣なのだと私は思った。
いつのまにかふわっと包まれ、
今まで自分をしばっていた
重く苦しい重力からふいに解き放たれ、
魂が宙に気持ちよく浮いている。』

『「でも私だって、実のところ、
もしもみんなが等しく鳩を愛するだけの 
世界だとしたら、私はそこに住んで
幸せだろうか?っていつでも考えてしまうもの。
別の考えに触れたときの感じは、
やっぱりいつでも衝撃的で、
自分の世界が広がっていく気がするから。」』

『いやしかし、
そのどちらも誰かの考えた方法論だ、
と私は思った。
何かで見た決まり事や、
誰かがよしとした考えだ。
私は、時間をかけて、
自分がちゃんと流れ着くようなところへ
行こう。』  
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