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「どんぐり姉妹」/よしもと ばなな 読書徒然vol.12


2017.1.22
どん子ちゃんとぐり子ちゃん姉妹の物語
姉妹で色んな人達の相談にメールで答える
ボランティアをしていた
姉は姉の、妹は妹の
強み・得意なことをいかして答えていく
ただし、どんなに同じ人から同じ日に
何通もメールがきたとしても
どんぐり姉妹は1日1通しか返さない


2人はすごくすごく大切な存在を失うという
体験を何度かしていて
2人の名前の由来のシーン
文章を読んでると映像が鮮明に浮かんで
ふふってなって、すごく愛しい想いが
込められていて、泣いてしまった
妹の視点で物語は進んでいくのだけど、
姉の視点の物語も読んでみたいって感じた

よしもとばななさんの作品、辛い時や
どうしようもない時に感じた感情は
まさにこれだとびっくりするくらい
寄り添ってくれる文章
少しフラッシュバックしてしんどくなる時も
あるけど
随所にふふってなる場面や優しい文章
痛みを受け入れて前を向いていく登場人物の
姿に励まされる
よしもとさんは痛みを知ってる人なんだろうなあ
優しいしすごく心強い文章
随所にある写真も、物語の世界観にぴったりとはまっていて素敵な1冊 

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(本文より)
『今は身を低く、力をためて。そう思っていないと、やられてしまう。だれに攻撃されるでもない、自分の中の時間がずれてくるのだ。』

『その一連の流れをよく見ていると、実際の世界は全て私の内面が反映されて作られているというのは、あながち嘘ではないと思う。』

『合わないところで、少しずつ心の中のものをすり減らしていくと、人は病気になるんだ、と思って、人の強さそして弱さに驚いた。』

『人間ってそんなにわかりやすくできていて、ごはん以外のものも毎日食べているんだ。
雰囲気とか、考え方とかそういうものまで』

『こんなたわいもない返事を返していると、だんだん、先方のお返事もたわいのないものになってくる。ずらすでもない、まっこうから受け止めるわけでもない、その人たちの生活にたわいのない会話が足りなすぎることだけをおぎなう役割。』

『みんなたわいのない会話を交わしたくてしかたないのに、一人暮らしでできなかったり、家族の生活時間帯がばらばらだったり、意味あることだけを話そうとして疲れていたり。人々はたわいない会話がどんなに命を支えているかに無自覚すぎるのだ。』

『だれもが人々の心でできた大きな海のどこかに確かにぽつんと存在している、その度合いもきっと同じ。
それでも私たちは人それぞれの個別の色を持った悲しみをおぼえる。』

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