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Episode10 「私は大学を辞めた、友達のせいで」MV公開記念インタビュー

ー作詞するにあたって、曲に対する最初の印象を教えてください。

マリン:最初コンセプトを聞いてから作詞を始めたんですけど、作詞をするってなってから、チャンチーの体験がきちんと伝えられるかどうか自信はありませんでした。自分がチャンチーの事件を物語にするっていうこともあって、私自身の作詞の力として 上手く他の人の体験を歌詞にできるかどうかの不安は大きかったです。他の曲はコンセプトとしてもそこまで複雑じゃなかったし、チャンチーに対してしかない出来事だったりして、抽象的にすることも難しかったから、作詞するうえで、きちんと起こったことを伝えるために細かい情景描写や具体的な言葉を詰め込みました。それを詰め込んでいるけど、感情表現も伝わってほしいし、皆を感動させる表現を作ることも、私としては難しかったです。歌詞の中で会議室とか、匿名希望とかあるけど、そういったことで状況を把握しつつ、最後の方は感情表現で自分事じゃなくする・・・のを意識しました。

ー他人事じゃなくする、じゃなくて?


マリン:間違えました(笑)。他人事じゃなくして、物語の内容を伝えつつ、ちゃんと感動させるっていう、それを両立させることを意識しました。

ーにしても、結構今回の歌詞の内容も「これ、ホントなの!?」っていうような体験で、ファンに伝えるのが結構難易度高いと思うんですよね。

マリン:チャンチーは忙しい時もずっと寝ないで事務所に来て、本当に頑張ってて、それを見ていたので、チャンチーがこの出来事があったことで、心が折れてしまうんじゃないかっていうというか、爆発して限界を迎えちゃうんじゃないか、ってことがすごく心配でした。でも、アイドルを選んでくれるんじゃないかっていうのは思っていて、やっぱりアイドルに懸ける想いは普段の活動だったり、たまにご飯行く時だったり伝わってきていて、隣で頑張っている姿を見てきていたので。私だったらできないと思うし、どちらも100%頑張っていた姿を見てきていたから、だから、一緒にこれからも頑張れるっていうことに関しては、信頼をしていました。

ーチャンチー自身は、この体験を歌にすることはどうだった?

チャンチー:最初は嫌でした(笑)。私にとっては忘れたい過去だったし、出来た今でさえ、歌うたびにあの時の感情が蘇ってくるので(笑)。でも、覚悟を決めてアイドル一本で活動することにしたから、グループのためになるのであればいいのかなって思いました。でも、歌うことによって、自分が報われたなっていう瞬間は一回もないです。ファンの方にも、この曲の意味を伝えたことないし。MVが出てから、そういう気持ちになれるといいな、っていうか。
でも、この曲で伝えたいことは、「自分に向き合う」っていうことです。私はこれを自分で気づいたわけじゃなくて、周りの人たちの声で自覚したわけなんですけど、これが、大きかれ小さかれ(※多かれ少なかれ?)・・・?(笑)、すごく勇気がいることだよなと思って、私自身生きていく中で初めて自分の意志で決めたわけで、それを歌うたびに思い出せたのはいいことだと思っています。

ー・・・後悔とかは全くない?

チャンチー:うーん・・・後悔してるかもしれません(笑)。だからこそ、それを正解にしたくて、頑張っているというか、歌っているときも自分に言い聞かせながら歌ってます。親にも迷惑をかけてるし、普通の生活費以外にも、病院代だったりとか迷惑をかけてるから、それでお金をもらったりするときに、後ろめたい気持ちはあります・・・お母さんは直接そういうことを言ってきたりはしないけど・・・応援はしてくれていると思うけど、納得はしていないと思うので。

ーアイドルとして活動するということは、そういったジレンマと戦うことでもあるよね。

チャンチー:そうですね。。だからこそ、ファンの方に私たちの曲で少しでも勇気を持ってもらったりとか、それこそ売れることで解消できるのかなって思います。

ーまだ曲のバックグラウンドを明かしていない状態だけど、何か反応とか来たりする?

マリン:うーん、内容に期待してるっていうのは言われますね。あとは、歌詞に勇気をもらった、みたいな。それこそ、私も勇気をもらった側なので。

ーどういう勇気をもらったの?

マリン:私は自分のアイドル活動についても、家族にちゃんと向き合えたことがなくて。反対を押し切って無理やり東京に出て来た側の人間なので。アイドルいつまでやってるの?って聞かれた時も、いいじゃん!大丈夫だから!って跳ねのけたりとか。だから・・・ライブに来てもらったことがないから、大きいライブがあったときとか一回呼んでみたいと思います!

ー大きいライブなんだ(笑)。

マリン:(笑)。来年には招待してみたいです。

ー作詞自体は、どれくらい時間がかかった?

マリン:結構かかりました・・・内容も結構抽象的になったりして、何回も書き直しました。チャンチーと何回も電話して、会議室はどういう雰囲気だったのとか、こういうことを話したとか、そういうことを何度も聞いて、自分の中で段々と近づけていきました。サビは特に思いつかなくて、そういう話もチャンチーにして、サビは結構一緒に考えました。チャンチーがその時どう思ったか聞いたとき、ずっと「どうしようもない」って言ってて、それを取り入れたりとか。チャンチーの言葉をはっきり伝えて、ABメロでは、その時の情景を事細かく伝えることを意識しました。体験がめちゃくちゃ特殊だったから、特に気を付けました。

ーなるほど。「どうしようもない」っていう言葉は、どういうタイミングや心情で出たの?

チャンチー:正直、どちらも私としては全力で頑張っていたのに、大学の権力にはどう頑張っても勝てないよねっていうのと、あと、通報の内容的に、結構近い友達だと思うんですよね・・・詳しいところまで知ってたりとか。こんな理不尽なのに、当時は誰にも相談できなかったこともさらにつらかったです。友達もアイドルのこと分からないし、メンバーは、活動の邪魔になっちゃうかもだし。ベッドの中で、一人で抑え込んだ感情を爆発させたりとかしてました。それも踏まえて、どうしようもないって言葉が自然と出て来たんだと思います。

マリン:それで、電話で「一番大きい感情は何?」って聞いたとき、「どうしようもない」って言われました。

ーMVがもうすぐ出ますが、出るにあたって、どういう感情ですか?

チャンチー:怖さも結構あります。タイトルもそうだけど、賛否両論出ることは想像がついてるし、特に看護師の方とかは「お前が悪いだろ」みたいなこと言われそうだし・・・それで傷ついちゃうかもしれないです。拡散されるためには、賛否両論ある方がいいっていうのは分かるけど、そこに対する怖さはあります。

ーもう最後なのに、すごいネガティブだね(笑)。

チャンチー:(笑)。

ー最後に、MVの注目ポイントを教えてください。

マリン:チャンチーに事件が起こった後の、心の葛藤だったり意志が通るところを、感じ取ってもらいたいです。

チャンチー:この曲は、ある意味私が看護師になるってなっても同じようにできていた曲だと思っていて。何を選んでも、自分は自分のままで、変わらないっていうか。そうやって、自分みたいに親の目とか気にする人だったり、選択に迷っている人も、たとえどういう選択をしたとしても、自分という人間は変わらないんだよってことはあります。自分もまだ100%選択に自信を持っているわけじゃないけど・・・でも、そういう人に届くといいと思っています。振り付けもこだわっているから、ぜひライブでも見てほしいです!

(インタビュー:林田浩作)


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