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【ライブレポート】横浜アリーナを埋めるという目標に向かって――涙で語った決意と覚悟、BLUEGOATS 1st ワンマンライブ『君はどうせ君だし』

「これからBLUEGOATSの4人で、横浜アリーナを埋めるという目標に向かってがんばっていきますので、応援よろしくお願いします」

グループとして最初のパフォーマンスを終えた後、緊張が一瞬途切れ、感極まる。あふれる涙をぐっとこらえると、ほんま・かいなは客席を真っ直ぐ見つめ、そう言い放った。

こうしてBLUEGOATSという新グループは、力強いスタートを切ったのだった。

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11月7日、BLUEGOATSが下北沢WAVERでデビューワンマンライブ「君はどうせ君だし」を開催した。チケットは発売と同時に即完売。追加販売分もすぐに売り切れるなど、期待の高さがうかがえた。

この公演のちょうど3カ月前となる8月7日、同グループのメンバーである、ほんま・かいな、ダイナマイト・マリン、チャンチーの3人が所属していたTHE BANANA MONKEYS(バナモン)は、無期限の活動休止となった。コロナ禍で思うようにライブができない中での突然の発表。ファンだけでなく、メンバーも大きな戸惑いを感じていた。

しかし彼女たちは、バナモンが目標として掲げていた「横浜アリーナでワンマンを行う」という夢を諦めることはできなかった。その道のりを再び切り拓くため、新たなメンバーまゆたを加えた4人で、「BLUEGOATS」として進むことを決めた。

お披露目までわずか3カ月。その中で必死に準備を進め、迎えたライブ当日。会場には彼女たちの最初の一歩を見届けようと、制限ギリギリとなる70人ものファンが集っていた。

開演予定時刻を過ぎ、観客の期待が高まりきった17時7分頃に場内が暗転。「蒼い山羊」を模した「BLUEGOATS」のロゴが背面に青く光る中、ステージにメンバー4人が登場した。

センターに立ったかいなが手を伸ばし歌い出すと、場内を青いサイリウムの光が包み、一気に熱気が上昇。1曲目に選ばれたのは「ありのまま生きればいいんだ」という楽曲だ。バナモンの名曲たちを彷彿させる疾走感あふれるロックサウンドに、エモーショナルな歌が重なっていった。

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4人が背中を合わせて始まった「ブルースター」、それまでの青から一転した赤い照明の中で噛みしめるように歌われた「夢が壊れる音がした」の2曲を続けて披露すると、この日初めてのMC。かいな、まりん、チャンチー、まゆたの順に自己紹介した後、「BLUEGOATSです!よろしくお願いします!」と一礼した。

かいなが「バナモンが8月7日に無期限活動休止してから、BLUEGOATSのデビュー日まで3カ月ちょうどですね。この3カ月、きょうのために準備してきたわけですけど、みんなどうでしたか?」と問いかけると、4人が口々に多忙を極めた準備期間について話していった。

「人生で一番忙しかった」とかいなが回顧すると、チャンチーは「気づいたら事務所に1カ月くらい泊まってたよね」と明かす。そんな事務所生活の中で「まゆたが寝ながら歌ってた」とまりんが暴露。まゆたは「めっちゃ追い込まれてて、夢の中で歌を失敗したら床が落ちて、5回くらい下に落とされた」と、壮絶な3カ月の一端を語った。

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会場を包んでいた緊張が解けると、次の曲紹介へ。この曲は、かいなが人生で初めて作詞に挑戦し、1カ月かかって書き上げたという。

「私がアイドルになるきっかけになったアイドルがいるんですけど、その方とのギャップに苦しみながら、なんとかがんばってきたバナモンの2年間を元にして書いた曲です」と、かいな自身が説明。まりんが「普段のかいなとのギャップを感じて、ネガティブな言葉とかも多くてびっくりした」と曲の印象を語ると、かいなは「その分みなさんに共感してもらえるかなと思うので、聞いてください」と呼びかけ、「死にたい夜」と題された曲が披露された。

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「いつかは僕もって 夢見てばかり」「もう逃げ出してしまいたい」と、思い通りに輝けないもどかしさや苦悩がつづられた楽曲。かいなを中心とした絞り出すような歌声に、客席はじっと耳を傾けていた。

そして繰り返される「聞こえますか」の問いかけと切実な歌声が響くミディアムテンポの楽曲「聞こえますか」を歌い切ると、本編は終了した。

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アンコールに応えて再び4人がステージに戻る。チャンチーが「私たちがBLUEGOATSとして、メンバー4人全員でこのステージに立てたことを本当に嬉しく思います」と、これまで関わってくれた人たちや集まったファンに改めて感謝すると、「私ごとなのですが、少しお話しさせてください」と切り出し、話し始めた。

「私は中学生の頃にアイドルを始めて、世間の厳しさとか汚さとかを何も知らないまま、ただ純粋な気持ちで、大きなステージに立つという夢を追い続けてきて、気づいたらもう6年も経ってしまいました。ずっと両親とかに守られてきた自分が、アイドルになって初めて世間の厳しさに触れて、汚い大人もたくさん見てきて。その中で自分は、気づいたら周りの目ばかり気にするようになっていて、自分が何をしたいとか、何を目指してるかもよく分からなくなっていました」

ここで言葉に詰まり、込み上げる思いを堪えるように沈黙する。そして言葉を選ぶように、再びゆっくりと口を開く。

「6年間夢を追いかけてきたはずなのに、気づいたら何も結果を残せていませんでした。そんな空っぽな私に、明日ももう少しがんばってみようかなと思わせてくれたのが、音楽とアイドルでした。その2つが、私をいつも救ってくれました」

だからこそ自分もアイドルとして、ファンに音楽を届けたい。そう思っていた矢先に、バナモンは活動休止となってしまった。

それ以降の3カ月は「自分との戦い」だったという。それは自分自身と向き合う時間でもあった。その中で見つかったのは、「今の私は何もないから、努力することでしか夢を叶えられない」という答えだった。

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「またたくさん努力をして、6年間を無駄じゃなかったと証明したい。何よりも私と同じように、自分には何もないって思っている人たちが、ありのままの自分を受け入れて、もう少しがんばってみようと思ってもらえるように、精一杯がんばっていきたいと思います」

「そのために私たちBLUEGOATSは、3年で横浜アリーナを満員にするという目標・夢を立てました。正直、運営もメンバー4人も全員、最後のチャンスだと思っています。だからすべてを賭けて、バナモンが叶えられなかった夢を、絶対にBLUEGOATSとして叶えたいと思います」

時折自分に言い聞かせるように「うん」とうなづきながら、決意を語っていった。

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そんな独白のようなMCを経て、「ありのままを受入れて、前を向いていけるように、等身大の私たちを届けたいと思います」という紹介から始まったのは、1曲目を飾った彼女たちのデビュー曲「ありのまま生きればいいんだ」。

「ありのまま生きればいいんだ そんな綺麗事を言うな」という歌詞が、最初に歌われた時よりも一層響く。そして最後に「聞こえますか」をもう一度歌い、アンコールを締めくくった。

すべてを出し尽くし、息を切らす4人。そして冒頭に記したMCへと繋がり、かいなが涙ながらに改めて「横浜アリーナを埋める」という夢を語った。

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最後に4人が並び、「BLUEGOATSでした。ありがとうございました!」と晴れやかな笑顔で挨拶すると、客席に向けて10秒近く、深く頭を下げる。時間にして40分強のグループ初公演は、こうして幕を閉じた。

バナモン時代は、歌入りの音源と生歌をかぶせながらライブを行っていたという。しかしこの日は「全部生歌でやりました」と、終演後に運営の三川陸が明かしていた。

生歌だからこそ伝えられるメッセージ。そんな剥き出しの思いは、あの公演を目撃した者には、きっと届いていたことだろう。もうひたすら前に進んでいくしかないという覚悟、そして絶対に夢を叶えてやるという決意が、ヒシヒシと伝わるお披露目公演だった。ここからBLUEGOATSの4人のストーリーが始まっていく。

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2021年11月7日(日) 東京都・下北沢WAVER
<BLUEGOATS 1st ワンマンライブ「君はどうせ君だし」>

1. ありのまま生きればいいんだ
2. ブルースター
3. 夢が壊れる音がした
4. 死にたい夜
5. 聞こえますか
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6. ありのまま生きればいいんだ
7. 聞こえますか






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