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Episode9 8thSingle公開記念インタビュー「親にずっと隠していたことを話した日の夜、私が書いた歌」

デビューから1年を迎え、東阪ツアーの東京公演を11月12日に開催するアイドルグループ・BLUEGOATS。そこで発表する新曲の作詞を担当したほんま・かいなに、詞に込めた想いを伺いました。

ーもうすぐ新曲発表ですが、作詞をした時の心境について教えてください。

自分のやりたいことが親に言えなかったのが元になっていて、それを言えたよ、っていうのが、自分としてすごく人生で一大事でした。簡単に言える人も多いと思うけど、私はそうじゃなかったから・・・

ーどうして言えてこなかった?

今までそもそもやりたいことがなかったのも大きいかもしれません。昔は習い事もたくさんやっていたけど、それも全部自分がやりたいって言ったやつじゃなくて、親に勧められたやつだったし。しかもそれがほとんど続いたこともなかったから、親からも、あんたは中途半端ね、って言われることが多かったです。だから、ああ、私は中途半端なんだ、だからやりたいことができても中途半端に終わるんだろうし、親も期待していないんだろうなって思っていて。だからこそそうなるくらいなら、何も言わずに成功した方がカッコよくない?みたいな(笑)。いうのが怖かったです。。初めて自分からやりたいと思ったからこそ、否定されたら怖いなっていう思いがありました。

ー親御さんから誉められたこともあまりなかったんだっけ。

そうですね・・・親もそういう性格だからっていうのと、推測ですけど、向上心のある子に育てたかったのかな?テストで99点取ったことがあって、私は99点取ったことを褒めてほしいのに、親は取れなかった1点の話をすごいしてくるんですよ(笑)。なんか、それがすごいやだったかもしれないです・・・

ー今のところ、親御さんがすごく悪者みたいになってるけど(笑)。

仲はいいんですけどね(笑)。最近は優しくなったけど、昔は教科書をベランダに投げ捨てられたりとか、ゲームを壊したり、友達の前で怒鳴ったり・・・父親はその分優しかったですけど。今考えるとそういう方針も違くない?って思うこともあるけど、その当時は受け入れるしかなかった。褒められたい、認められたいみたいな気持ちがだから、人よりも強いのかなと思います。
この前ライブ来てくれた時も、帰ってからも、ライブの内容には触れてこずに、衣装かわいいね~みたいな。

ーお母さん、おもしろいね。お母さんからも話を聞いてみたいね(笑)。

(笑)。

ー前身グループから活動してきたわけだけど、その時は打ち明けられていませんでした。打ち明けるきっかけはある?

えーっと・・・たしか、編集とか撮影とかが忙しすぎて1週間くらい家に帰れなかった時があって。それまでも2年くらいアイドル活動をしていたから、私の帰る時間が遅かったり泊りが増えたりして、何してるんだろうなーみたいなことはぼんやりと思っていたと思うんですけど。でもそういった話も親から言われることはなかったです。1週間帰らなかった時に、さすがに怒られました(笑)。最初ははぐらかしたりしてたけど、言い逃れできないな、みたいな。

ー親は、彼氏ができたとか思ってたのかな(笑)。

いや、多分勘づいていたと思うんですよね・・・母親は結構鞄の中身とか見てくるタイプなので(笑)。なんとなくわかってたけど、聞けなかったんだと思う。ちゃんと今までお金をかけて育ててきてもらって、安定した人生を歩ませてくれたはずだから、絶対怒られると思ってたけど、「何となくわかってたけどね」って言われて。結果的にはよかったけど、アイドル活動を認めてくれたのはうれしかったです。私が自分から初めてやりたいって言ったし、決めたことだったからかな?

ー書いていて感じた心境だったり、書き始めて変わった想いはありますか?

今まではずっと、親に認められるためにアイドルをやっている、と自分では思っていて。でも、書いていくうちに、それは親だけじゃなくて、誰かに認められたい欲求が強いんだと思うようになりました。でもそれを表に出すのは恥ずかしいというか、よくないことだと思っていて、だから、「これすごいでしょ!」っていうのができなかった。でも、そういう自分がいることを受け入れる。そうしないと、そもそも愛されるということに気づけないと思うようになりました。親も多分私を愛していると思うんですけど、それを否定していたのは自分自身だったんだと思います。愛されることがだせぇ、みたいな(笑)。でもそれじゃだめだと書き始めてから実感したから、それを受け入れて、私って愛されてもいいんだよね?っていうところから始めようかなって。

ー深いですね・・・この曲を書いて、これから届けるんだけど、視聴者へのメッセージはある?

BLUEGOATSの「寄り添う」「救う」っていう言葉もそうだけど、それ自身は傲慢だと思う部分もあります。だから「私はここに曲を残しておくから、救われてくれたらいいかな?」みたいな・・・私も救われてほしいな。書いているときはそういうことは思わなかったけど、書いていくうちに、整理されたところはあるかもしれないです。

ー今その思考が整理された状態で、自分のアイドル人生を振り返ってどうでしょうか

今思うと、承認欲求があるからアイドルになったんですけど(笑)。でもそれを言葉にするのは、ダセえなって思ってたから。でも書いているとき、そういう思いは誰でもそうなんだって思えるようになりました。昔はあるあるだったと思うし複雑な事情ってほどでもないんですけど、母親は近所に出された養子の子で。その母親が子供のころ、育ての親がひそひそ話で「私たちにも子供がいればねえ」って話していたらしくて。

ー義理とはいえど家族なはずなのに、お母さんも家族として認められていなかったんだ。

それを聞いてかわいそうだなっていうのと、自分の居場所が欲しかったのかなっていうのを思い出して、だから、皆そうなのかなと思えるようになりました。あ、あと、マンガも読んで、ワンピースの白ひげも「家族が欲しい」って言ってて(笑)。こんなに強いやつでもそう思ってるんだ!っていう発見はありました。キャラが思ってるってことは、作者も・・・

ー尾田栄一郎氏でも思ってたら、まあそうだね(笑)。

そうですね(笑)。これを見ると、私がこれで悩んでることが違うなとは思いました。最初はきれいごとを言うのをやめようって思って、だからカッコつけないことが大事なのかなって思うようになりました。あとは、カッコつけた自分で愛されても、それは自分じゃないから、意味なくない?っていう気持ちもあって。でも、カッコつけないと生きていけなかったんですよね・・・ほんとの自分を見てほしいけど、着飾っちゃうし、優しいと思われたかった。

ーどうしてもアイドルっていう職業柄そうなるよね・・・

そうですね・・・

ーそうやって自分をさらけ出した曲は、どんな人に聞いてほしいですか?

愛されてないと思っている人かな・・・あとはそれを口に出せない人とか。歌詞も結構抽象的にしたんですよ。浮気だったり恋愛だったりにも、重ねて聴いていただけると思います。結構2-3か月くらいかかってやっと答えが出たので、沢山聞いてほしい。

ーめちゃくちゃ時間かけてますね(笑)。自分の中で、書く上で苦労したポイントは?

徹夜とかかな・・・フレーズが出てこなさ過ぎて。あと、愛されたいって気づいてから、でも愛がわからなかったから、Googleで愛って調べたりとか(笑)。でもいろんな人がいろんなこと言ってたからわかんなくて、本屋に行って「愛するということ」って本も買いました。

ー絶対ゴミ本でしょ(笑)。

(笑)。まあ、方法論みたいなことしか書いてなかったのもあって、序盤しか読んでないです。こうじゃないんだよね・・・
あと、最初は歌詞が具体的なものが流行っているということもあって、最初は「ファミチキ」みたいな固有名詞を入れようとしたこともあったけど、抽象的な方が、共感してくれる人が多いかなっていうのでそうしました。親が吸うたばこの銘柄のメビウスとか(笑)。
そういえばヨルシカの歌詞を写経したこともありました・・・

ーそんなことまで!

マリンと一緒に書いたのも思い出でしたね・・・

ーマリンは、作詞っていう意味だと経験豊富だからね。参考にしたりした?

いや・・・(笑)。同じ空間で一緒に作業してる、みたいな?マリンって、めっちゃ書くの遅いんですよね(笑)。私の方が遅く曲のデモをもらったけど、私の方が先に終わってました。でも、マリンの曲の方が書くの難しそうでしたね・・・

ー皆めちゃくちゃ苦労してるんだね。

そうですね・・・ほんとに大変でした。

ー今日のインタビューを聞いていて、この歌に込められた「愛されたい」という感情が大きなキーワードであるように聞こえました。

今までは愛されるために、その時の自分以上のものを見せるためにカッコつけたりしてたけど、今はそういうことのために頑張りたくないです。だから、もっと素のままでいようと思っています。Twitterとかで動画も出し始めたけど、あれは自分が楽しいからって言うのももちろんあるけど、等身大の私を見てほしかったんです。カメラの前でも人前でも、どこかから拾ってきたような「っぽいこと」でまとめちゃうことが多いから、力はない。でも、今までの私とは違うと思うから、もし受け入れられなかったら、元に戻します(笑)。

ー(笑)。最後に、この曲を聴いてくださる方にメッセージをお願いします。

この新曲は、作曲段階で「BGMとして使えるようにしたい」というお願いをしていました。いつか、公演終了のアナウンスのBGMとして使ってほしいかも(笑)。歌詞としても、サビで繰り返しが入っていたりとサラッと聴けることを意識したので、そういうところも注目ポイントです!

ーこのインタビューのドロドロさと曲のギャップがすごいね(笑)。

(笑)。いっぱい聞いてください!

(インタビュー:林田浩作)


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