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可愛いコート。(工房ハルカ・1)

※この記事は投げ銭制です


サンクトペテルブルグの自宅に戻ってきた。

先日、わたしの可愛いコートのファスナーが全壊した。

もともと怪しかったのだけど、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所の事故跡の見学ツアーに行った時、森の中でスライダーがふっとんだ。

日本に一時期出店していた、幻のフランス生まれ。

この寒い町、サンクトペテルブルグでコートの前が閉まらないなんて冗談抜きに「死にかねない」。

本日多少暖かかったので前の閉まらないコートを着て出かけ、70センチのファスナーと黒糸をまた近所で500円で買って来た。

黒地に金か銀のファスナーが欲しかったけれど、わざわざほかの店まで探しに行って作業を先延ばしにすると、同じくこれも「死にかねない」。

長さと色をいったら、売り子のおばさんが一生懸命探してくれた。同じ長さの材料が1件目で見つかっただけありがたいと思わねば。

服の修理屋に出して綺麗に直したい気もするけれどこれも預けた復路で凍死しかねない。

コートのファスナーって生死に関わるものだったなんて知らなかった。

ファスナー買って、黒糸買って、スタローバヤ(食堂)によって、教会にちょっと寄る。

道行く人たちのコートをじっと観察する。自分で縫い直して変になったらどうしよう。

やっぱり変に思われるのかな。って。どうしよう。どうしよう。

このあいだ携帯買って出費だしたし(ロシアのシティモールで買った、SONYのスマートフォン。中国製。)、コートかうお金ないよ。

もとはといえば地元の秋のバザーで買った、ダウン&フェザー。実家に帰ればコートはまだある、ロシアでライオンコート(フードにモフモフがついている)を買うと東京で暑すぎる。なにより可愛い可愛いこの子をファスナーだけの理由で捨てたくない。

新品の服屋って小さいころから苦手で、良いダウンを買いなおすお金があったらオスロにいきたい。
(ここからなら2、3万円で行ける。)

いかにして銀色の古いファスナーを外すか、キエフからの帰りの飛行機でずうっと悩んでいたのだけれど、ミシン目を外す道具もってないなあ、鋏と針しかないなああ、って悩んでいたら、大家さんのかしてくれたアイロンが役に立った。

ロシアにおいて他人にコートを預ける場合、ファスナーよりも

劇場のガルジェロープ(クローク)で、フックにひっかける首のうしろの紐がないほうが大問題である。

そういうわけで、これを紅の豚(ロシア語)を見ながら半日かけて縫う。ミシンなくてもなんとかする自分の裁縫の腕に泣ける(縫物歴4歳から)。

これでまた着られる。わーん。

抜糸してできあがり。

コートが可愛くて可愛くて仕方がない。

※参考 Solo East Travel (チェルノブイリ原発見学バスツアー)  



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