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【不思議体験】通りすがりの占い師ですが

10年以上前に出会った通りすがりの占い師の話。

当時の私はコンビニに勤めていた。
コンビニの作業内容や量が大変であることは今では周知されているが、当時はまだ学生や主婦が働くような場所というイメージが定着していた。

商品の販売だけではない、チケットの発券や荷物配送の受付、コピーやファックスの送信方法などを説明しなければならないことも多かった。
当然だが、様々な業務を扱えばその分トラブルは増える。

多大な要求ばかりしてくるお客様、複雑化した業務内容についていけない従業員、楽な作業しかやらないことでバイトとパートが険悪な雰囲気になる・・・というような悩み事が絶えなかった。

私が勤めていたお店の経営者はとてもいい人だったが、その人の元同僚をバイトに誘ったことから全体を巻き込んだ大きな人間関係のトラブルが勃発してしまった。

経営者の元同僚S子さんは私の親くらいの歳だった。
コンビニで社員の経験があるということで経営者が期待をして声をかけたという話を耳にした。

ところが、問題はすぐに起きた。
S子さんは他の従業員としょっちゅう揉めるようになった。
私もかなりの回数揉めたことがあったが、一番揉めたのは一緒のシフトが多かった後輩だった。

後輩はS子さんをどつき倒したいと思うほどの恨みを抱えていたらしい。

後輩よ、あなたの気持ちはみんな分かってる。
だけど誰もS子さんを止めることが出来ないんだ、見捨てているわけじゃないんだ。

ごめんね、助けてあげられなくて。

後輩大丈夫だろうか、とみんなが心配していたが、ある日急に転職するからとコンビニのパートを辞めてしまったのだ。

抜けた枠がどうなったのかというと・・・S子さんの勤務時間が増えただけだった。
私とS子さんのシフトが一番被るようになってしまった。

今まで後輩が受けていたダメージを私が一手に引き受ける形となった。
私はストレスで胃腸炎にかかり、過敏性腸症候群で苦しむ羽目になる。

私もいっそのことコンビニ辞めて違う職種にしようかな・・・と思い悩んだ。
しかし、いざ転職するならば色々調べなければならないことが出てくる。

私はネットで色々検索をしていた。
転職サイトだけではなくて、人間関係の相談が出来そうな場所も探していた。
そんな時に仕事の愚痴を書いてもOKという掲示板を見つけた。

私はそこにコンビニでの出来事をフェイクを入れつつ書いていった。
同情してくれる人もいれば、コンビニ勤務だからと馬鹿にしてくる人もいた。

そんな中で一風変わった利用者が掲示板にやってきた。


???「私、通りすがりの占い師ですが・・・」


占い師と名乗る女性が現れた。

彼女の得意な占いはタロットだ。
頼んだわけではないが、彼女の厚意でタロットをしてもらえることになった。

結果は・・・今すぐに転職する必要はない。
いづれはS子さんの方が去っていくだろう、近ければ半年以内に。

また、こんなアドバイスも私にしてくれた。


占い師「生きていると辛いことはたくさんありますよ、ですが・・・」

占い師「どうしても合わない人というのは必ず出てきます」

占い師「そういう人が目の前に現れて苦しめられたとしても気にする必要はありません」

占い師「だって、その人はあなたの人生に必要のない相手ですから」

占い師「そういう風に割り切って生きていった方が楽になれますよ」


私は驚いた。
予想外の言葉に目から鱗だった。

その書き込みを見た他の利用者もびっくりしたようだった。
人間関係のアドバイスでよくあるのは「どこにでも変な人は居る」「こんなことくらいで悩んでいたらやっていけない」と言うものが多いだろう。

しかし、その占い師は「合わなければ必要ない」と言ってくれたわけだ。
この世の出会いは全て必然である、オカルト界隈ではよく言われている言葉だと思うが、必要ないものもある・・・その言葉が占い師の口から出てくるとは思ってもみなかった。

颯爽と登場し、さっとタロットで占ってくれた。
そして必要のないものには執着するなというアドバイスをした直後にどこかへ去って行ってしまった。

なんてカッコいい人だろう。
女性にカッコいいはないかもしれないが、私はさくさくと話を進めていく占い師の言動に心惹かれてしまった。

私も、あんな素敵な行動を取ってみたいものである。

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