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チェイサーゲームWについて長々と書く(7話)

誰かと出会って影響を受けるのは人生の醍醐味やでなぁ

映画[his]

こんばんわ、チェイサーゲームW、7話感想のお時間です。見た??7話。今回僕ちょっと、真面目に感想書きたいです。ネタバレもすると思うので、ご承知おきください。

もうさ、言いたいこと1億個あるのよ。みんなもそうだよね?
「書きたいことのあるときのblue_skyってあんな感じ」って7話の樹のセリフが聞こえて来ますよほんと。だからちょっとね、書きますよ今回。文字数制限いっぱいに使ってやろうと思います。noteって何文字まで書けるの?1万字?知らんけど。

今回僕、映画hisも見たんですよ。アサダアツシ氏脚本の。なんなら7話の前にhis見て号泣し体力を使い果たしてしまい、チェイサーゲームWのリアタイを諦めて寝たくらいです。

hisは2020年公開で、公開初期からその存在を知っていたにも関わらず、長いこと自分にとっては「見れない映画」でした。なぜかというと、当事者的な位置の端くれにいるものとしては、あらすじを読んだだけで、ああこれはつらいことが起きそうだな、しんどそうな気持ちになりそうだなって、なんとなくわかってしまうんですよね。特に邦画は、どうしても自分の過去を重ねてしまうという特性もあり、すでに膿んでる傷口をまた晒して、同じ傷を丁寧になぞるような、そういう作業をしなきゃいけないことがあって、そういうのが予想されるとき、一度見るのを保留してしまうことがあります。実を言うとチェイサーゲームWも、初めはそうでした。
けど、あまりにもチェイサーゲームWが良いドラマで、主役2人があまりにも好きで、どうしても今後の展開を、ほんのちょっと微かな匂わせでもいいので知りたい、となったときに、ゲイの二人の話ではあっても「初恋の人が子供を連れて突然現れた」という似た構図を持つhisは、すごくヒントとして魅力的に見えてしまいました。そんな下心ありありで見たんですけど。

まー泣いた。しばらく何もできないくらい泣いた。

で、めちゃくちゃいつふゆだった。
いや、ごめんなさい。時系列的にはいつふゆが後なんですけどね。

服の交換、突然の別れ、酔った勢いからのキス、似ていく習慣、秘密の共有、子供と配偶者の問題、、、

なるほどね。たぶんだけど、愛情を言い換えると、こういうことになるよねってモチーフが、似てるんだよね。
そんな中、一番刺さったのが冒頭の引用で。これはhisの主人公2人が言われる言葉なんですけど。これ聞いて納得したんですよね。樹と冬雨について描かれてるの、まさにこれだよなって。

7話、2人がカフェで話すシーンから始まりました。樹はイライラをぶつけるようにストローを噛んでから、アイスティーを飲んでいます。そして同じく反対側に座る冬雨もストローをガジガジ。二人は5年も離れていたのに、同じような癖をまた共有してる。それは、たとえ離れた時間があろうとも、大学時代の4年間の絆がやっぱり、すごく深いものだったんだってことなんすよね。
ずっと同じ人と一緒にいると似てくるってありますけど、それくらい相手に影響を与えるとか、相手から影響を受けるって、ちょっとやそっとでは起きないことなんですよね。

そもそもあの頃の二人って、完璧に1つの姿をしてました。おそろいのイヤリング、合わせるとハートになるネックレス、同じマフラーを2人で巻いて、色違いの服を着る。すごいですよ。影響与え合うってレベル越してる。なんならちょっと固執してるなってくらい。
それが引き裂かれ、樹は白、冬雨が黒っていう対極の姿になってしまうわけですよ。もう分離してしまったと思ってたそれがなんと5話からまた少しずつ混ざりあってきている。運命みたいに。

というのにだよ!?また二人を引き裂こうっていうんですか????やめてください!!!!!

えと、なんだっけ、なんか話が盛大にそれました。
すみませんね。発作ですわ。すごく情緒がジェットコースターなんです。

今回は10年前のまだ冬雨に出会う前の陸上部時代の樹と、青山くんのエピソードが出てきました。青山くんも、不憫な男でしたね。。(前回キレていたんでは・・・?)
それにしても「雀荘」ってでかでかと書いてある雀荘と上品に立って待つ樹との対比の絵、良すぎたね。そのあとあっさり樹に捕まって観念するまでが鬼早いチョロ山くんこと青山、低い声で「待って」と言う珍しくちょっと怒りモードの樹、ここ良かったですね。
わりと同性愛者って、異性に対して嫌悪を持つ人が多くて、(まぁ自分もそう)なので、青山くんアレルギーの人、多いですよね。僕はわりと嫌いじゃないんですよねぇ。だって考えてもみてよ。俺が青山くんだったら絶対、ぜええええったいに樹に恋しますよ。青山くんがゲイじゃない限り。そりゃそう。そんなのしゃーない。あまりにも自然の摂理。だって見てくれよ、17才の樹を、あの全身から発される陽のエネルギー、明るさの全て、優しい笑顔、青春のきらめき、無邪気なときめき。菅井友香さんは本当に樹という役柄と完全にマッチしてる。これ多分陸上部時代先輩後輩同級生問わず、死ぬほどモテただろうな。リアコってやつですわねこれが。そんな人と仲良くなったらね、恋せずにはいられないでしょ!いられますか?無理だね!
ただまぁいくら好きな気持ちをどうにかしたいがためとはいえ、裏切りはよくない。樹もサイテーって言ってた。
いいかい、青山くん。異性愛者が同性愛者に恋するの、つれーと思うけど、世の中にはその何倍も散っていった同性愛者の異性愛者への恋があるのよ…!みんなそれでもちゃんと生きてるんだ。その痛みを糧にして、大人になって、ギャンブルはやめなさい。樹が褒めるくらいの文才があんだから、少数者に手を差し伸べるような立派なジャーナリストに、なれよな!応援してっから!(誰??)

ここのシーンで青山くんが「俺、高校の時からお前にずっと片想いしてたの知ってた?」って言ったあとになにかの終わりを告げるように一斉に鳩が飛び立つ絵、ここもよかったね。なんか7話、ドラマとしての絵面がずっと良かった。
樹はずっと知ってたと思うよ。でも知らないフリをすることで、続けたかったんだと思うよ。青山くん、君のことは愛することはできないけど、友人として、大切に思ってたと思うよ。描かれたのはほんの一部だけど。誰にも言ってない冬雨との関係をなんで青山くんには言って、協力してもらったかとか。電話に出なかったのに、雀荘の居場所がなんでわかったのかとか。そういう端々から、樹の友人としての青山くんを信頼してた気持ち、伝わって来るよ。青山くんも、本当はわかってたんだよね。諦めなきゃって、言ってたもんな。友人でいようって思ってたんだもんな。スマホの画面ずっと樹との写真を待受にしてたもんな。借金がヤバくても樹に金借りようとはしなかったの、俺わかってるぜ…。せつねええええな青山…幸せになってくれ…呂部長とかどう?空いてるけど???

さて、もう一人の嫌われ男、浩宇と冬雨のシーンについても書きたいんですけど。どっちかというと浩宇の嫌われ度のが高いですよね。やっぱり、10年来の友人より夫という立場のほうがヘイトが向きやすいんでしょうか。冬雨の肩を掴んで「話がある」って言ってるシーンなんて視聴者の悲鳴が聞こえてくるようでしたよ。それにしてもちょっと嫌われ方が度が過ぎてて、やや可哀相でもある。でも冬雨と結婚して月ちゃん産まれてんだよね、樹の知らない冬雨の顔とか知ってんだろな。やっぱりちっとも可哀相ではないや。
でも冬雨も冬雨なりに、いないと生きていけないって思ったくらいぞっこんLOVE(?)だった樹を失って、母国に帰って、なんとか生き抜く道を見つけなきゃいけなかったんじゃないかな。母親には全部バレてるわけだから、バレてることを冬雨は知らないとしても、今まで以上にいろんな監視やプレッシャーはきつくなるだろうし。相談できる相手もいないときに、浩宇に出会って、ああこういう道もあるのかもなって、こうしたら楽になれるのかもなって、魔が差す気持ちもめちゃくちゃわかる。浩宇ってどちらかというと草食系な雰囲気で、優しそうだし知的な感じもして、自分もこういう人がもし職場とかにいたら無意識に頼って甘えてしまうかもなって思うので、まじで冬雨の気持ちがわからんでもないって思う。なんなら恋人に裏切られて死のうと思って帰国したのに、生きていてくれてほんとありがとなって思った。復讐って悪いことだけど、相当エネルギーがないとできないことだし、そこまで回復したのは、ある意味浩宇のおかげでもあると思うんだよね。だから、そういう意味では冬雨は冬雨なりに、夫のこと大事に思ってたと思うのよ。
またhisの話になりますけど、hisで、自分はゲイなんだと打ち明けられた妻が「親に孫の顔を見せたいとか、一人前の男として見られたいとか、そういうあなたの願望に、私が利用されたんでしょ」と責めるシーンがありました。
違うけど、違くないよなぁ、てか多分、そうなんだよね。そうなんだけど、それだけで結婚して出産はなかなかできないよ。だからそこには、心からの愛ではないかもしれないけど、誰でもよかったわけではなくて、ちゃんと夫との絆があって、描かれてない5年があるんよな。

そんな感情表現が中村ゆりかさんにかかるとめちゃくちゃ天才に演じられているんですよね。浩宇から「僕ではない誰かほかに好きな人がいるんじゃないかと思って」と問い詰められたときです。雷鳴というはっきりとした場面の「荒れ」が表現される中、あまりに繊細な表情が描かれてる。2回のまばたき、ほんの少し寄せられた眉、鼻からかすかに漏れる息、「そんなのいるわけないじゃん」、中国語に切り替わってやや怒気の強まった浩宇の「本当のことを言ってほしい」に対する、嘲笑から困惑に切り替わるようなため息、「本当だよ」の目のやさしさに僕は一瞬騙されて、ああ自分の思い過ごしだったか、そうだよな、冬雨はまだ僕のことを愛してくれてるはずーーと思いたいのもつかの間、証拠の写真があるんですわ。完璧なアングルの、否定のしようのないキスシーン。こんな顔僕には見せたことないのにーー。「君は春本さんのことを愛しているの」嘘でも、何か言い訳をしてほしい。一時の気の迷いだと。重苦しい沈黙とさまよう視線、諦めるように、覚悟を決めるように一瞬吐かれる空気、重く、はっきりとした「はい」「私は、レズビアンです」

ひときわ大きな雷とともに降り出した雨は旦那の涙だよね。
つら。

でもやっぱり嫌だ冬雨はずっと樹のものでいてほしかったおばさん「でも嫌なものは嫌」
ワイ「わかる」

なんなら浩宇との5年を思うと余計に旦那が憎くなるおばさん「ほんと無理」
ワイ「それな」

しかし中村ゆりかさんの演技はすごい。毎回言ってるけど。説得力がありすぎる。カムアウトする時に「私はレズビアンです」っていう人、マジでゼロだと思うけど、説得力あるから、なるほどね…ってなる。すごい。や、でもやっぱりちょっとだけなんその台詞…って思っちゃったごめんね。それだけ。7話ひっかかったとこ。

てかね、これもう一兆回くらい言ってますけど、樹が手を離さなければよかったんですよ。冬雨ママに何言われても、諦めなきゃよかったんよ。
見返すと、冬雨の母親に会った時、樹は赤いマフラーをしてます。6話で再登場するあれ。その後、ずっと取っておいたんですね。もともと冬雨がしてたのを、樹にあげたのかな。それとも、カジュアルに共有してたんだけど、返しそびれちゃったのかな。色々想像が膨らみますけど、いずれにせよ、捨てることもできたはずなのに、残して置いた。そもそもイヤリングもネックレスもいまだにつけてる。再会して、目の前でイヤリングを粉々に踏み潰された後ですら、樹は構わずイヤリングをつけてます。
これすっごくない?めちゃくちゃ重たい愛。自分で振ったんですよ、樹は。わざわざ青山くんに頼んで一芝居打ってまで。
完全にもう腹決めてますよね。私は一生この恋を抱えて1人で生きるって決めちゃってますよね!
バカっもう!そんな強い覚悟があるならなぁ、その手を離しちゃダメなんだよ!いいか!人にはなぁ、どんな風に周りに何を言われても、手放しちゃいけないものがあんだよ!!!

今回はそのエネルギーと決意を、冬雨と一緒にいる方向に向けてくれと思わざるを得ない。

てかなんなんすかね、ほんとこのドラマは。現実の絶望的な部分に対する解像度が高すぎて体調悪くなりますよ。
まぁだからこそ、「見えないものを見せるドラマにしよう」と掲げたこのドラマが伝えたいことが、たくさんの視聴者に届いてほしいなーって思うんすよね。
コンテンツ的に消費されたくないんですよ。しっかり作られたドラマだからこそ、いい影響を与えられる側面もあると信じてるので。

でももう来週最終回ですね。つらいわ…無理だわ…これはあれだね…パシフィック・ムリだね。

さすがに長すぎて読む方もパシフィック・ムリだと思うのでまとまらないですけどこの辺で。
hisもいい映画だったのでオススメです。ちょっとチェイサーゲームWのラストの参考にはできないけど。

また書きます。


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