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冨樫義博展大阪に行った。

冨樫義博展に行ってきました。

言わずと知れた『幽☆遊☆白書』や『レベルE』、現在は『HUNTER×HUNTER』を連載中の大人気作家。

とても哲学的なテーマを盛り込んだ物語を描かれる方だと思っています。

個人的に『幽☆遊☆白書』の仙水が出てくる頃からずっと好きだし、樹の気持ちが良く分かる人間だったので。

と、これを少年誌で出来たのが時代だな。と思いつつも、非常に現実的な表現で描かれているのが衝撃的でした。

そんな所から現在もHUNTER×HUNTERの続きが生きる理由になっている人間が観に行って来たわけです。

最初から『幽☆遊☆白書』でかなりテンションが上がりました。

印象的なシーンの原画が並んでいてとても面白かったし、またベタの濃淡などがあって、これ本当にペンで描いてるんだな…となりました。

長い連載作品だったので、タッチも変わっててキャラクターの感じがどんどんブラッシュアップされて行ってるんですけど、リテイクすると別物になるようなバランスで描かれている感じがとても印象的でした。

そして、物語にも各エピソード毎に大きなテーマがあり、そこに主人公たちが答えを出して行くのですが、その答えが決して思い通りには進まないという事を赤裸々に描かれてもいて、初期の幽☆遊☆白書ではその代償を敵役が払う事が多かったが後半は主人公側が後味の悪さを引き受けるような描写が多く、善悪って何なのか?という事を問う内容が多かったです。

その原画はとても精緻に描かれたものでした。

その緻密さと相反するように、バトルシーンではキャラクターの躍動感や技のアイデア、どうすれば敵の強大さを表現できるのか、その中での登場人物の心理描写や台詞の意味合いなどがとても計算されている事がよく分かりました。

しかも後半は自分一人で原稿に向かわれて完成させられていたという事もあったらしく、これを週刊連載で1話作られていたというのはとても信じられませんでした。

ただ、連載終了時の事はのちに画集のコメントとしてご本人が語られております。

しかし、かなりの無理をして描かれていたとは思えない位の物語の中盤〜後編だったと今でも思っています。

そして、時が経ち描かれた作品が『レベルE』だそうです。

『レベルE』はとても好きな作品です。

月一連載になった事によって作品の精度が高くなり、1話の密度も遥かに濃くなった。

当初から『人気作品にならない作品を描く』というコンセプトだったらしいですが、今でも大人気作品なのはまぁ皮肉なものですね。

この作品、絶対『HUNTER×HUNTER』を読む前に読んで欲しい作品です。

読者には知識として必要であれど、わざわざ説明しなきゃいけないのか?という所まで説明する所謂、冨樫義博の物語の中の冨樫義博の物語を作り出す起源になった作品だと思っています。

大きなタイトルの中で別物の物語をやるHUNTER×HUNTERでいう所のグリードアイランド編みたいな物語の作り方。

それが培われた作品だと思うのですが、とても興味深いルールもありつつ、ミステリー的な心理戦があったりと面白いし、何よりキャラクターが立ちすぎている。

今作は身近な感じがするものでもあったので、原画を見ても迫力はあれどかなりリラックスして描かれていた事が伝わりました。

コメディとして読んでも面白いですが、自分が全く違う価値観を持つ種に出会った際にどうするのか?というふうに考えるととても興味深い。

そして、やはり圧巻だったのは『HUNTER×HUNTER』でした。

現在連載中のこの作品が冨樫義博という人の最高傑作であるという事がとてもよく分かりました。

今までの要素を全て踏襲しつつ展開される物語はやはりとんでもないと思わされた。

それもほぼ最近のものまでペンで描かれている事には本当に驚きました。

しかもその書き込み方が恐ろしい…

え?こここんな風に表現してるの?とかいうのは勿論のこと、全く無駄な線がない。

大体こういうのって下書きの線とかが残ってたり、失敗の痕のような物が見受けられるんですがそれが殆ど見当たらない。

ホワイトで消したような所も殆ど見当たらない綺麗な原画。

完成された一枚の絵画を見ているようで、その構図がジャンプ本誌の大きさで見る事を意識して作られている事がとても良く分かりました。

本当に無駄がなく、本来ならばもう少しコマを埋めるのではないか?と思えるものにでもその絵の迫力が強すぎて成立させられている。

あと、今までのエピソードを考えるととても恐ろしいのですが最新の暗黒大陸編のコンセプトの一つが『一つのエピソードに登場人物を何人登場させられるか?』だそうで、その一人一人の動向を常に意識されながら描かれているのだそうです。

ちなみに現在で大凡200人を超える登場人物が物語を構成しています。

あと、『HUNTER×HUNTER』の根本的なコンセプトが

『マンネリを打破するためにはいつでも主人公を殺す準備がある』

というものであるというのも納得しました。

だって、主人公であるはずのゴンがこちらの世界では既に8年近く出てきていないし、寧ろ瀕死の状態というのも生温い位の状況にまで追い込まれましたからね。

本当にこのまま出てこないんじゃないのか?と現在進行形で思わされていますから。

現在までで漫画の一つの作品としての常識を打ち破り続けている同作品ですが、これからどうなるのか続きが知りたくなるものでした。

オタクで冨樫義博の作品に触れていない人は居ないでしょう。

『HUNTER×HUNTER』はテレビアニメ化も二度にわたって行われましたし、連載再開となれば大きな話題になる。

しかし、現在は難解すぎてそれに付いていくのにも労力が必要となるので敬遠されている方も数多いでしょう。

しかし、この展覧会を観れば絶対に彼の描く物語に魅了されるでしょうし、それ以上にこのエッセンスが至る所に他の作家の作品に用いられている事を実感するでしょう。

そして、共にHUNTER×HUNTERの連載再開を今か今かと待ち焦がれてキーーーーーーーー!!!!!ってなる気持ちを味わおうではありませんか。

追伸…

物販で画集買えば良かったかな?とちょっと後悔してる。

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