私が天才!
あんまりこの人みたいになりたい!と強く思う事はないのですが、
ちょっとだけこの人みたいになりたいな!と思っている方がいらっしゃいます。
それが上岡龍太郎さんです。
既に2000年に引退をされておられる方なので、恐らく25歳位までの方には馴染みがないでしょう。
『私が天才、上岡龍太郎です』
この自己紹介で一つも笑いがなく拍手が起こる人というだけでどれだけ凄い人か分かるでしょう?
元々、この方は吉本興行所属の漫才師でした。
相方は大阪府知事にまでなられた横山ノック氏。
その横山ノック氏が参議院議員選挙に出馬される事から、トリオが活動停止になってしまった事によって、関西で多くの番組の司会をされるようになります。
今もなお、関西でも大人気の『探偵ナイトスクープ』の初代局長であったと言えばその名前の偉大さが分かるでしょう。
上岡氏が素晴らしかったのは、非常に知性的であった事です。
様々な事に精通し、その知識を基本としてその場を面白おかしく盛り上げるという事に非常に長けていらっしゃいました。
『パペポTV』という笑福亭鶴瓶氏と二人で30分間のフリートークをされる番組がありました。
当初関西ローカルの深夜番組でしたが、その面白さが話題となり全国的に放送され、爆発的な人気を博します。
当時、頑なに東京進出を拒んでいた上岡氏ではありましたがこの番組の影響で一気に知名度は全国区に。
実はこの番組、ダウンタウンが当時『ガキの使いやあらへんで』でフリートークをするとなった時に、パペポTVのトークをどうやって越えるか?が命題だったそうです。
あと、島田紳助氏が心の師と仰ぐ人でもありまして、島田紳助氏は上岡龍太郎氏の作った道を歩いたとさえ仰っております。
その切り口は鋭く、それでいて爽快。
今も毒舌とか世相を斬っているみたいなタレントさんはいらっしゃいますが、そのどなたも敵わない程にズバズバと仰います。
過激すぎてピーが入りすぎて何言ってるのか分からないと言う事もしょっちゅうありました。
しかし、それが観ている人に一番伝わって的確な言葉であるという選び方が今聞いていても凄いんです。
それでもオンエア上そうなる事が分かるから、その後に視聴者に分かりやすくフォローを入れていたりする手法は素晴らしく思います。
多くの言葉の中から適切に面白い言葉を選び取られる手法は語彙の多さの裏付け。
そして、どんな場面であっても多くの人が触れない所に堂々と触れていく。
しかし、それで観客を引かせることなく笑いに確実に変えていく。
皮肉と批判のギリギリのラインを攻めているのに、決してそこを踏み越えない手腕がありました。
芸人というのは頭が良くなければなれない。というイメージを作り出した第一人者なのではないでしょうか?
この話術は今聞いていても非常に魅力的なものです。
YouTubeにもありますので、是非検索して一度見てみて下さい。
今だったらこの論は怖くて展開できないだろうとも思いますが…
この人芸能界引退したら絶対政治家になってるんじゃないのか?と思っていましたが、今の今まで全く音沙汰がありません。
唯一、2007年に相方であった横山ノック氏のお別れの会でスピーチをなさったのが最後です。
そして、このスピーチがまた素晴らしく、現役を退いて7年も経っているとは思えない快活なもので、当時の人達は驚愕したそうです。
物事の本質を見抜き、明確で刺さる言葉で相手に意見を求めるという姿勢は本当に素晴らしいものです。
何気なく言った言葉にも皮肉が混じっていたり、人の積み上げてきたものを即ブチ壊しに掛かったりもしますが、そうやって応酬することの楽しさを教えてくれた方でもあります。
ちゃんと受け答え出来ないんだったらせめて笑いで説得力を出してみろ!と。
この方と話してみたかったなーと未だに僕は思います。
だからちょっとだけ憧れている人でもあります。
因みにこの方、漫才コンビ『ミキ』の叔父さんにあたる方です。
ミキのお二人は頑なに叔父さんの話は出してほしくないという意向のようで、語られる事はないのですが…
是非、どなたかが上岡氏のような舌技で聞き出してほしいものです。
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