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置いていけ

金木犀の香りが、至るところで漂う日々。

リビングのソファーで横になってダラダラするわたしに、柔らかな風が、庭の金木犀の香りを運んでくれる。

散歩途中にも不意に香りが漂ってくるから、誰かのお庭の金木犀をつい、ジロジロと探してしまう。


香りの記憶は、目や耳で記憶した出来事とは比べものにならないくらい、正確で、鮮明だ。

わたしにとって金木犀は、豊かな自然の中を駆け回っていた幼い日々が蘇り、とっても幸せな気持ちになる、大切な香りだ。


金木犀の香りに安らぐ日々の中でも、気持ち的にしんどいことが、いろいろあった。

でも、それも、優しい誰かのひとことに救われたり、美しい自然に癒されたり、食いしん坊のわたしは、美味しい食べ物にも随分と助けられた(笑)。


歌の歌詞にまで救われたりした。



♪晴れの日にも  病める時も

側にいてよ baby

駄目な時も 悪い人も

置いていけ

笑う君も 怒る声も

側で舞うbaby

間違う隙間に 愛は流れてる♪

(星野源・Pair Dancer)



ラブソングのようだけれど、わたしは勝手に自分へのラブソングに置き換えた。


そっか、悪い人、置いていけばいいんだ。

自分を変えようとしたり

相手を変えようとなんて、しなくていいんだ。

実際、そのどちらも簡単に変えることなんて、できないしね。

怒る声も、笑うわたしと同じように、空に舞い上がるごとく、自由に踊らせておけばいい。


それが、わたしの好き勝手な、自由すぎる解釈♪


でもおかげで、随分、心は軽くなった。

心が軽くなったころ、金木犀の木から、離れ落ちる花が目立ってきた。

香りを楽しめるのも、きっとあと数日なんだろうなって、少し、しんみりしたりする、とある秋の日。











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