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【TOR】「想定通り」のテオスカーのトレード

オフシーズン開幕直後からいきなり大きな動きがありました。ブルージェイズはテオスカー・ヘルナンデスをマリナーズに放出し、見返りとしてエリック・スワンソンアダム・マッコを獲得しました。
ブレイクした2020年シーズンからここ3年は主力打者としてチームを牽引してきたテオスカーの移籍は言うまでもなく大変惜しいです。一方で、現在のブルージェイズの置かれている状況を鑑みると、テオスカーのトレードの蓋然性が非常に高かったことから、トレードされたこと自体は個人的に驚きませんでした。以下では今回のトレードの背景についてまとめてみました。

意外と逼迫しているペイロール

DFAされたタピア、ジマーを除いた調停持ちの選手のサラリーを考慮した2023年ブルージェイズのペイロールは、既に190M弱に達しています。2022年シーズンのペイロールが過去最大の170Mなので、オフの補強に動く前から過去最大となった前年度のペイロールを20Mほど超過しています。200~220Mくらいまでペイロールを引き上げる余地は恐らくあるかと思いますが、いずれにしてもペイロールを意識した動きをせざるを得ません。
そうなると比較的年俸の高い選手をトレードして、年俸を浮かせつつ補強することが検討されますが、来期20MながらTJ手術の柳はもちろんトレード要員にできず、契約が半分以上残っているベリオス、ゴーズマン、スプリンガーのトレードも非現実的。来期の調停で15Mと比較的高給で、トレードバリューもあり、代替しやすいポジションのテオスカーがトレード要員となることは妥当と言えます。獲得したスワンソンは来期1.6Mほどで保有できますので、ブルージェイズはこのトレードで13Mほど浮かせられたことになります。ペイロール事情を考えると、テオスカーはトレード候補筆頭であったと言えます。

2023年オフ問題

2023年には今回トレードされたテオスカーに加えて、グリエル、チャップマンもFAとなります。(相互オプションのメリフィールドもほぼFA確定) 継続的なコンテンドを志向するシャパイロ/アトキンス体制にとってレギュラー3人が同時にFAとなるハードランディングは避けたかったのだろうと推察されます。3年間保有可能なスワンソンを獲得したのも、少なくともゲレーロがFAとなる2024年シーズンくらいまでコンテンドしたいと考えているのではないでしょうか。

控えとしては高額過ぎるメリフィールド

夏場のトレードでも少し触れましたが、2023年シーズンも7Mほどのサラリーが発生するメリフィールドは控えとしてはあまりにも高額です。夏場のメリフィールド獲得時点で、フロント陣の間ではオフに絶対的なレギュラーであるテオスカーを放出して、メリフィールドらでレギュラーポジションを競争させようという構想が既にあったのかもしれません。そうだとすれば、オフシーズンが始まったばかりの11月にテオスカーのトレードが決まっても不思議ではありません。

オフは地味な動きに終始する?

上記の通り、テオスカーのトレードはペイロール圧縮的な側面も強いので、オフは地味な動きに終始する可能性が高いのではないかと思えてしまいます。テオスカーの後釜としてブランドン・ニモに興味を示しているという記事がありますがソースはブルージェイズの興味芸のツイートばっかりするジョン・モロシだし、ペイロールやメリフィールドの出場機会を増やしたいであろう事情を考えると、絶対的なレギュラークラスの獲得の可能性はそんなに高くないというのが個人的な予想です。ニモのようなレギュラークラスよりは、バウンスバック候補でメリフィールドらとのレギュラー争いの競争力を高められそうなリーズナブル価格の選手を狙いそうな気がします。
中継ぎはスワンソン獲得で厚みを増したので、後は先発候補2人をFA(ストリップリングやヒーニー等のそこまで高額にはならない投手)と捕手をトレード要員として獲得することが予想されます。この通りのオフシーズンになると、過去2年と比べると何とも地味なオフになってしまいそうです。オフシーズン開始直後にこんな予想をするのは少し悲観的過ぎるでしょうか…?

テオスカーの移籍はやはり残念

再建に舵を切った2017年シーズンから加入して苦しんだ時期も長く、自身のブレイクと共にチームも浮上したテオスカーは三振かホームランかという打撃スタイルも相まって近年のブルージェイズを象徴する選手であり、その象徴的な選手が移籍することはとても残念です。チームメイトがホームランを放つと大喜びで祝福する姿も印象的なナイスガイでもあります。本人もブルージェイズとの契約延長を望んでいたようで、FA依存の先発ローテを改善できていれば契約延長という可能性もあったのかなという意味でも惜しいですね。移籍先でも元気な姿を見せて欲しいものです。

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