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【TOR】モレノ、グリエルを放出してバーショを獲得

カーク、ジャンセン、モレノと優れた捕手を3名も有するブルージェイズは捕手のトレードを画策するとオフシーズン当初から噂されていました。そしてついに、ブルージェイズはARIとの間でガブリエル・モレノルルデス・グリエルjrを放出する見返りとしてダルトン・バーショを獲得しました。

トレードの第一印象としては、ブルージェイズが捕手をトレードするとこれだけ噂され、捕手が補強ポイントであったチームはFAなりトレードなりで補強を済ませており、買い叩かれるリスクがあった割に上手にトレードをまとめたなあという感想です。

バーショは現在26歳の外野手で、向こう4年間保有でき、来期が調停1年目の選手。一方でブルージェイズの外野手はグリエル、先日獲得したキアマイヤー、そして外野も守れるメリフィールドが揃って2023年オフにFAでした。テオスカーのトレードの際にも触れましたが、継続的にコンテンドを志向するブルージェイズにとって来期以降も(出来れば比較的安価で)保有できる外野手の獲得は急務でした。右打者の多いブルージェイズ打線ということも考慮すると、バーショの獲得はまさに狙い通りの補強と言えます。
テオスカー、グリエルが抜けてバーショ、キアマイヤーが加入したことは打線の破壊力という観点でダウングレードした感は否めませんが、バーショは外野のいずれもポジションも守れることもあり、タピア、ジマーを重用した2022年シーズンと比べてもそこまで打力面でマイナスにならないと思われます。守備力においてはバーショ、キアマイヤーの加入により鉄壁の外野陣を構築できたので、トータルではむしろ強化されたと言って差し支えないでしょう。
テオスカーとグリエルが揃ってFAとなる前にバーショ、スワンソンと向こう3年以上保有できる選手を獲れたのはチームの将来としてもプラスで、向こう数年はまだまだコンテンド出来る体制を整えることができたと言えます。

反面、チームでも屈指のトッププロスペクトであるモレノを放出することは相応のリスクが伴うのも事実です。22歳で既にメジャーデビューしており、MLBクラスでも高いコンタクト能力を示している選手を手放すことは言うまでもなく惜しいです。守備面での評価も非常に高い選手です。一方で、今期のモレノはマイナーでISO.105とややパワー面で非力な印象は否めず、スタットキャストでも打球角度、バレル率、ハードヒット率の低さは気になるところ。来期も引き続きコンテンドするブルージェイズにとって、パワーでやや疑問符のつくモレノに賭けるよりも、トレードで戦力を整えるという選択肢をとることは一定の合理性があります。(ブルージェイズはこれまで、オースティン・マーティン、ジョーダン・グローシャンズのようにパワー面で物足りなさを感じる有望株を放出した経緯からしても) モレノ本人にとっても、カーク、ジャンセンらを競争することになるブルージェイズよりは、ARIに移籍したほうが出場機会を得られるので、本人にとっても良いトレードなのではないかと思います。

また、グリエルの移籍もファン目線からすると寂しいものです。テオスカー同様に、再建期のブルージェイズで不振によりマイナー落ちとなった経験もありながら這い上がって主力選手となった選手。再建を強いられたシャトキンス体制において、2016年オフに7年22Mの契約でグリエルを確保できたことはスムーズにコンテンドに移行できた要素のひとつです。オフにFAなので、移籍後もその打棒を発揮してくれることに期待したいです。

モレノ、グリエルの放出は本当に惜しいですが、1年しか保有できないグリエルと、トッププロスペクトとはいえMLBでの経験が少ないモレノを交換要員として、4年保有できて守備面にも優れた左のバーショを獲得できたことは大きな意義があると思われます。カーク、ジャンセンが健在の場合はバーショが捕手を務めることはないでしょうが、IL入りした場合はバーショが捕手を務めるというオプションがあるのもチームとしては強みになります。今回のトレードで、ブルージェイズは2023年シーズン以降もまだまだ戦えるチームになったと言えます。

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