佐野元春 Sweet Soul , Blue Beat 神奈川県民ホール 2008.02.17.
バッグに『佐野元春語録1980-1999』を入れ、家を出た。電車の中で数行のリズム感がある小気味良い発言を読みながら横浜へ向かう。
さて、今年2008年の個人的なテーマのひとつがGET BACKだ。これは、僕自身が十代後半から二十代前半にかけて聴いていた…いや、どっぷりとはまっていたアーティストのライヴへ、どれだけ観られるかはわからないのだけれど、再び足を運ぼうということなのです。もちろんアーティスト達は休まずに活動を続けていたわけで、GET BACKというのはあくまでも自分側の気持ちであります。
正直、90年代あたりからは、ライヴに行くと言えばチャボと清志郎中心になった。ハッキリとその理由を説明できないのだけれど、他のアーティスト、バンドのライヴはご無沙汰になってしまった。簡単に言えば、当時の自分には必要が無かったということなのだろう。しかし昨年、ROOSTERZ以来となる花田&下山タッグのライヴを観たことが大きかった。あれだけのめり込んでいたバンドにいた二人である。これで火が点いた。更に、Eventであったが、これまたARB以来となった石橋凌。そして、そのARB繋がりでは田中一郎と斉藤光浩のライヴも観たことにより、忘れていた何かを思い出したのです。
その個人的GET BACK TOURの第一弾が、佐野元春。白状すると、佐野元春のライヴは98年の『THE BARN TOUR』…いや、翌99年の『STONE and EGGS TOUR』も行っているから、それ以来になる。
ところで僕が今回のツアーのチケットを取ったとき、丁度『カウントダウン・ジャパン07/08』のTHE HOBO KING BANDのギタリストを、何と藤井一彦(THE GROOVERS)が務めるということがあったので、おおっ!これはツアーもそのまま藤井が弾くのか! と狂喜したのだけれど、やっぱりあのときだけでしたね。
さて、事前に多少はツアー・メニューの情報をキャッチしてしまった。何だかあの曲やあの歌を聴かせてくれるみたいなので、本当なら嬉しくてドキドキのはずだが、自分でも驚くほどの冷静な気持ちで会場入りできた。
メニューを簡単にまとめちゃえば、80年代の代表曲で最近作のナンバーを挟むというもの。二部構成。休憩を15分入れての三時間。構成も演奏も素晴らしく、実に感動的で、ロックン・ロールなライヴだった。
事前に多少のセット・リストがわかっていたが、それでも前半はとんでもなかった。だってアタマから4曲が1stから3rd期のナンバーである。もし、何も知らない状態だったとしたら…。考えただけでも恐ろしい。その前半。「マンハッタンブリッジにたたずんで」「Sugartime」「HEARTBEAT」の流れでいきなりキテしまった。そして、実はなめてかかっていたのだけれど、「SOMEDAY」には心が揺さぶられてしまった。泣かなかったけれど、目に涙が浮かんでしまったよ。
さて、横浜は、MCでもさかんに言っていたが、佐野元春にとっては思い入れがある場所。有名な1stアルバムのジャケットのほか、TV神奈川のファイティング80’sもあるしね。そのためか、ライヴ中は終始機嫌も良く、ノッていたように思う。もちろん横浜が特別という事ではないだろう。ここまで良いツアーをやっているんだなぁということが十分に感じられる演奏であった。ツアー千秋楽のNHKホールは、凄いことになりそうである。
演奏がすべて終わった後、ステージから客席に向けて元春がこんなことを話した。
子供達に僕達が残していかなきゃならないもの。それは希望だ。
家やお金なんて残したってしょうがないだろ。
希望を残していけばいいんだ。
清志郎からは、夢。そして佐野元春からは、希望。普段は照れくさくてまっすぐに言えないような言葉だが、もう大丈夫。とても大切なものを二人からもらうことができました。
ライヴの後半、赤いストラトを抱えて歌う佐野元春。その姿が、約30年前のファイティング80’sでロックン・ロールする姿と重なって見えた。<2008-02-18 記>
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