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「日本論」

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日本人が大好きな「日本」とはというテーマ。国際化が進み「日本」の存在感は薄くなってきているように思いますが、今まで気づかれてきた長い「日本」社会の影響は日本人の心の中に少なからず…
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#日本史がすき

ドラマ「大奥」から、家格について

ドラマ「大奥」のちょっとしたネタバレになるかもしれません。引用は話の一部分を切り取っているだけですが気になる人がいれば読まないでください。 以前、江戸時代と家格について、こんなつぶやきをしたけれど、 今NHKで放送されている、大奥2を見てて、井伊直弼が阿部正弘に「阿部ごときが自分の家格をわきまえろ」みたいなことを言っていて、やっぱり、江戸時代という時代を語るのに「家格」というものはついてくるのだなと感じてしまった。 ちょっと調べたところ、阿部家と井伊家は関ヶ原以前から従

[江戸幕府]将軍というポストの決まり方(「能力」か「おさまり」か)

江戸時代は将軍が一番偉いとされた時代だ。そして、その将軍は世襲だった。基本的には嫡男から嫡男へ地位が引き継がれていくわけだが、実際はそういはうまくいかない。実は何回も世継ぎがいない事態が発生する。ここではそのような場合、どのようにして将軍が決まっていったかを見ていきたい。 一番初めは5代将軍、徳川綱吉の時だ。4代将軍家綱は子供がいなかった。そのため、聡明であった家綱の弟綱吉が病床の家綱に指名されて将軍になった。このとき綱吉の後継のライバルだった家宣も、綱吉に子が残されなかっ

「将軍」になるには徳川家であること、「老中」には譜代の家であること、「奉行」になるのは旗本の家であること。江戸時代、政治的に有力な役職につくには相応な「家格」が原則的に必要だった。200年以上続いたこの仕組みが、現代日本において政治家の世襲に寛容な一因になっている様に思える。