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2021年11月15日のTOKYO854の放送内容です|Blooming Days -日々是好日-|倉嶋桃子

みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

先日、「『ハタハタ』の煮付けを食べた」との話を、番組Twitterのフォロワーさんが載せているのを目にし、いよいよ今年も年末が近づいてきているなぁと感じます。

人によってはあまり馴染みがないお魚で、食べたことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、我が家では毎年年末近くになると、秋田県に住む父の友人から、「ハタハタ寿司」という秋田の郷土料理が届くので、年末の恒例行事食のようになっています。

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「ハタハタ寿司」は、下処理して塩漬けにした「ハタハタ」を、塩出しした後、麹を混ぜたご飯・カブ・人参などの野菜、昆布など一緒に桶に詰めて漬けたもので、地元の農家では冬の保存食の一つとして作られてきたそうですが、現在は通年お店などで購入することもできるそうです。

「ハタハタ」ってどんなお魚?

この「ハタハタ」の寿命は5年で、体長は20㎝程度。生息域は北西太平洋で、特に日本海、オホーツク海、千島列島、カムチャッカ半島辺りの水深500m以浅の砂泥底に暮らしています。日中は砂泥に体を潜らせ目を出した状態で休み、夜間小さな動物を捕食し生息している深海魚です。

名前の由来は、雷の鳴る音を表す擬声語(ゴロゴロ)を古語で「ハタハタ」といい、晩秋から初冬の雷が多く鳴る季節に海岸へやってくることからそう言われるようになり、別名「雷魚(カミナリウオ)」とも言われています。

漢字では、魚偏に雷「鱩」と書いたり、冬の日本海の荒波の中漁に出ることから「波多波多」と書いたり、魚偏に神「鰰」と書くこともあります。なお、「鰰」の漢字については、江戸時代の随筆家である大田南畝(なんぽ)の『一話一言』に「鱗の中に富士山の模様生じ候段、めでたき魚と祝し、文字はいつごろからか魚へんに神と書くなり」と紹介されています。

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激減している「ハタハタ」の漁獲量

1970年代前半頃までは、秋田県において大量に獲られていて、とても安価なお魚だったこともあり、一般家庭でも箱単位で買うのが普通であったため、各家庭で塩漬けや味噌漬けにして冬のたんぱく源として食べられていたようです。

しかし、1976年以降、急激に漁獲量が減り、1979年には、最盛期には15,000tを越える漁獲量だったものが、1割未満の1386t、1991年には71tと減ってしまった為、1992年9月から1995年8月まで、全面禁漁が施行されました。

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1999年以降は、新潟県や青森県なども含め全長15cm未満の物は獲らない等資源保護策が講じられているなど、資源保護の取り組みもあってか、2001年には特に大量の産卵があったり、2002年以降も産卵のために浜に大量に押し寄せてくる「ハタハタ」の姿が見られるなど、日本海沿岸の各地の漁場は少しずつ量が増えてきているようですが、今もなお減少傾向で推移していることに変わりはないようです。

ちなみに、2019年の「ハタハタ」の全国漁獲量を見てみると、5,364tで、1位鳥取県、2位兵庫県、3位秋田県で、3つの県をあわせて、国内漁獲量の約61%を占めることになります。

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産地によって旬が違う?!

「ハタハタ」の旬は、冬と春、年に2回あると言われていて、産地によって旬が分かれています。

冬の時期に旬をむかえるのは、「ハタハタ」が県魚にもなっている秋田県、青森県、山形県、新潟県、北陸地方。

こちらの産地では、11月末頃から1月にかけて産卵のために海面近くまで寄って来た親魚を獲ります。
出産が近づくにつれだんだん身に脂が乗ってきて、卵を抱えているメスの「ハタハタ」は、特に美味しいとされ、晩秋から冬にかけて旬となります。

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「ハタハタ」を使った郷土料理も数多くありますが、秋田県でとくに有名なのが「しょっつる鍋」。「ハタハタ」を塩漬けにした塩汁である魚醤を「しょっつる」と呼び、「ハタハタ」やセリ、ネギ、えのきだけ、春菊などの野菜や豆腐を入れて煮込み、しょっつるで味付けされたものです。
また、「ハタハタ」の卵は、「ブリコ」とも呼ばれ、塩や味噌漬けしたものがよく知られています。

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一方、春の時期に旬を迎えるのは、国内漁獲量1位の鳥取県など山陰地方。

こちらの産地は、餌を求めて日本海深海を回遊している「ハタハタ」を9月から翌5月辺りまで、底引き網で漁を行いますが、この時期の「ハタハタ」は、卵がない代わりに脂がのっているのが特徴で、地元では「シロハタ」と呼び、特に3月から5月の春の時期が旬で美味しいとされています。
鳥取で水揚げされる「ハタハタ」は、人が「美味しい」と感じる脂質含有量10%以上と言われている基準を満たしているものが多いとされ、特に体長20センチ以上を越えるものは、「とろはた」として選定され、ブランドにもなっているそうです。

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一般的な食べ方としては、煮付けや塩焼き、唐揚げにして食べる他、鳥取では、塩漬けしたハタハタとおからを使って漬け込んだなれずしの一種、「しろはた寿司」といった食べ方もあります。ちなみに、この「しろはた寿司」は、4月に行われる「賀露大明神(かろだいみょうじん)」春祭りの行事食となっているそうです。

なお、食べ方の資料によっては、旬の新鮮な「ハタハタ」は、生のお刺身も食べられるというお話もありますが、鮮度落ちが早く、「旋尾線虫」というアニサキスに似た症状を引き起こす寄生虫がいる可能性が高いとのことなので、十分に気をつける必要があります。

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これからの冬の時期、秋田県を中心とした日本海側で旬を迎える「ハタハタ」。
うろこがなく下処理の手間もかからず調理もしやすいお魚です。また、味も淡白で熱を加えると骨と身が簡単に離れ、柔らかく、とても食べやすいお魚と言えます。

今年はどのくらいの漁獲量になるのか、また、地域にあるスーパーで手軽に購入できるのか、気になるところではありますが、まだ食べたことがないということはもちろん、食べ慣れている方もこれから旬を迎える「ハタハタ」をぜひ食べてみて下さい。

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2021年11月15日TOKYO854の放送内容について

さて、今回は、人口わずか5人の国、ワイ公国の建国記念日ということで、各国の政府や国際連合をはじめとする主要国際機関によって承認されていない「自称国家」、「ミクロネーション」をテーマにお送り致しました。

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番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。
従来のPodcastは、著作権の問題で音楽を除外したトークのみのものでしたが、クラウド音楽サービスを利用することによって、ラジオ放送と同じ構成で、トーク・番組内でかけた音楽、両方をお聞きいただくことが出来ます。

皆様からのメッセージお待ちしております

番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、皆さんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

それから、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない場合がございます。ご容赦くださいませ。

今週も皆様にとって素敵な1週間になりますように。

倉嶋桃子でした。

参考資料

秋田ハタハタ|秋田県|全国のプライドフィッシュ|プライドフィッシュ
https://blooming-days.njs.xyz/uhjd
ハタハタの旬は年に2回?ハタハタの美味しい時期を知ろう! | 食・料理 | オリーブオイルをひとまわし
https://blooming-days.njs.xyz/tcns
ハタハタ/鰰/はたはた : 旬の魚介百科
https://blooming-days.njs.xyz/r355
ハタハタとは?旬の時期やおすすめの調理方法・簡単レシピをご紹介! | 暮らし〜の
https://kurashi-no.jp/I0024103
日本の旬・魚のお話
https://blooming-days.njs.xyz/vlyw
ハタハタ寿司 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/r61h
しろはたずし – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/0d6t
ハタハタ寿司 | 日本の食べ物用語辞典
https://japan-word.com/hatahatazushi
【都道府県】ハタハタの産地・漁獲量ランキング
https://urahyoji.com/catch-hatahata-d/
ハタハタ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/4v2n
鳥取のハタハタ|鳥取県|全国のプライドフィッシュ|プライドフィッシュ
https://blooming-days.njs.xyz/rpb9
ハタハタ/鰰/はたはた – 語源由来辞典
https://gogen-yurai.jp/hatahata/

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