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インターネット時代の旅行計画のコツ―小山ゼミのメンバーによる公開ゼミ

名古屋商科大学大学院(NUCB)小山ゼミのメンバーによる公開ゼミは、ゼミ生の専門知識やノウハウ、知見を社会に還元していく試みとしてスタートした。その第一弾として、旅行会社に勤務する西田芳大さんによる『インターネット時代の旅行計画のコツ』をお届けした。(文・写真 小山龍介)

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まず、旅行業界の業界構造を解説。従来のJTBや近畿日本ツーリストのような従来型の旅行会社に加えて、新たに出てきたオンライン旅行会社や、比較系販売サイトなどの複雑な競争環境を解説。

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そもそもトラベルという言葉時代が、骨折りや苦労という意味合いがあり、旅行会社は旅先のトラブル対応が、その成り立ちだった。ユーザー保護のため、さまざまなルールが存在している。

旅行には手配旅行企画旅行があり、手配旅行は予約などの手配を代行するものであり、何にどれくらいかかっているのかが明示される。一方、企画旅行はお客様に宿泊代金がいくらなのかは表示されない。さまざまな原価のうえに旅行代理店のマークアップが乗っているが、それがどれくらいなのかはわからないのである。マークアップから、人件費や一般管理費、マーケティング費用など各種営業費用が賄われる。価格競争が厳しいため、旅行会社の利益率は一般的に数%程度と低い。

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ホテルの価格は、1)オフラインレート、2)オンライン単品レート、3)オンライン包括レート(航空券などとの包括、いわゆるダイナミックパッケージ(DP))がある。オンライン単品レートでは、自社の会員向けのベストレートを保証するケースが増えており、海外などではベストレートよりも安い販売を通報する仕組みなどもある。そうなると、空室が多くあったとしても安く販売しづらい。

そのため、ホテルの価格を下げて販売しようとする場合には、航空券と併せた価格を提示できる(ホテル単品の価格を出さない)を使うことになる。そのため、ホテル単品よりもオンライン包括レートのほうが安いことが多く、特にセール時にはより顕著になる。旅行会社のマークアップも、セールスに合わせてパーセンテージが変更される。

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ここで不思議なのが、旅行会社のマークアップはGW、お盆、年末年始など三連休以上の特日と呼ばれる日のほうが低いということである。せっかく売れるのであれば利益ものせたほうがよいと考えがちだ。しかし特日のホテル予約は争奪戦となるため、早めに抑えたいという思惑もあり、あえてマークアップを下げるのである。特日の単価は高くなるのでパーセンテージを減らしても構わないという言い方もできる。その結果、売上は上がるが利益率は下がるということになる。また、オンライン旅行会社は人件費なども低くマークアップを下げる余力も大きく、戦略的に下げることができるのだ。

さらに、3ヶ月ごとなどに行われるスーパーセールでは、さらにマークアップを下げて販売される。このタイミングで使えるクーポンなども発行されるので、それを合わせて使うと相当安くチケットを購入することができる。このときはサイトへのアクセスが激増し、サイトがダウンすることもあるくらいだ。セールのタイミングまでに旅程を確定させておいて、セールのタイミングでクーポンを使って購入するのが、オンライン旅行会社との賢い付き合い方なのだ。

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講師:西田芳大

楽天に新卒入社、九州・東京に赴任し、宿泊施設のコンサルタントならびにマネージャーを経験、営業として日本一となり、また組織改革を行いハイ達成部署として仕組み化に成功する。その後、楽天とANAのJVに取締役として出向する。また2018年3月には名古屋商科大学大学院のMBAを修了。

未来のイノベーションを生み出す人に向けて、世界をInspireする人やできごとを取り上げてお届けしたいと思っています。 どうぞよろしくお願いします。