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Bloom Notebook

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#女性

「魔女の時間」講演記録 河西瑛里子(文化人類学者)2022.5.5 @ギャラリー・パリオ(東京都町田市)

〇はじめに 私は2005年から、魔女と名乗ったり、女神を崇拝したりしている人たちを調査している文化人類学者だ。初めはイギリスで、その後ヨーロッパ各地へ。そして、ここ数年は日本でも。そんなわけで、アーティスト安田早苗さんの個展「黄色い魔女が咲く」のトーク・イベントにお招きいただいた。本エッセイは、その講演とワークショップの記録である。  男女合わせて13名の参加者。自己紹介をしあった後、各自が持ち寄った「地」に関連するものを置いて、会場の魔女の祭壇を完成させる。 魔女たち

魔女が開く扉 安田早苗論 アライ=ヒロユキ (美術・文化社会批評) 2022.5.3-15 黄色い魔女が咲く @ギャラリーパリオ

 「魔女」という、アニメや映画以外では耳慣れない概念を作品テーマに取り組んでいるのが、アーティストの安田早苗だ。なぜ魔女か問う前に、まずはこれまでの作品を概括してみよう。彼女の作品を縦貫するモチーフはふたつある。自然とコミュニケーションだ。  まず安田の代表的な表現は「芽が出るプロジェクト」だ。これは作家サイトから引用しよう。  幾つかの論点が読み取れる。「メールアート」の一種。風という偶然性が伴う。媒介物は植物。「返信」は受け取った人の「植物画」という解釈、あるいは自然