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小さな青空

今宵は月が綺麗だ。よく晴れていた日の夜、雲一つない空に浮かぶ真ん丸な月は格別だ。ベランダからぼーっと月を眺めながら、静かに深呼吸をした。何だか気持ちが落ち着いた。空って何故こんなに魅力的なのだろう?

夜明けの空。オレンジと黄色の中間色の太陽の光に照らされて、少しずつ街が目覚めていく様子を眺めているのは気持ちがいい。「今日も一日が始まるんだな。今日もよろしくお願いします。」と思わず呟いてしまうくらい、美しいと思う。

朝の空。もちろん、その日の天気によって空の色も雲の量も違うけれど、一番好きなのは、やっぱり雲一つない水色の空だ。学生時代に化学の授業で先生が教えてくれた「何故、空は青いのか?」の話を思い出す。あの時、先生は、私達の目の前で「小さな青空」を創ってくれた。とても綺麗な「青空」だった。その時の光景が印象深く残っているから、晴れた日の透き通った水色の空が今でも大好きだ。

昼の空。大抵は会社の窓から見るのが常なのだけど。オフィスの窓は大きなガラス張りになっているから、空の天気の移り変わりが良く見える。あちらから、こちらへ、そして、あちらへと雲の流れていく様を、雨の降る様を眺めているのは結構好きだ(ちゃんと仕事はしています!)。

夜の空。最寄駅からの帰り道。夜空を見上げ、月と星を探す。星はなかなか見えないけれど、月は見つけられる。月の満ち欠けが時の経過を教えてくれる。「……あれ?もうそんな感じ?」って。満月はだるくなって身体が重たくて動きがもさっとするし、新月での変化は今のところ理解できていないけれど、満月と新月の間に現れる、か細い三日月は何か見ているときゅんとする。三日月の少し下にちょこんと明るい星が見える時、ピアス(ピアスが好きなもので)にしたいな……って思う。それくらい、心惹かれる景色なんだ。

夜中の空。少しずつ街が眠りにつく頃、私のいるところから、月は見えない。星が見えるときもあるけれど、見えないことの方が多い。黒とも紺色とも何色とも言い切れない色の空と街灯とその他の少しの街明かり。生活音が消えつつある、そういう静かな時間の空も好きだ。

空の色も風の匂いも目の前に広がる季節の移り変わりも全部が教えてくれる。時間は確実に過ぎていて、もう二度と戻らなくて、一瞬一瞬がかけがえのないものなんだってことを。

やり残したことはないか?伝えたいことは伝えられたか?人に優しくできた?自分に優しくできた?ちゃんと「ありがとう」を言えたか?「ごめんなさい」を言えたか?今日という日に、全力を尽くしたか?と、自分に問う。

そして、ふう……と、深呼吸。

また明日もこの空、そしてあなたに会えるように。

今日も明日も明後日も、善き日でありますように。

おやすみなさい。

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