あれから6年

 私はかつて別のブログで「腐女子のマナーを考える」というテーマを掲げて、色々書いてきた。

・腐女子のこんなところを直すべきだ
・同性愛について
・差別について …etc

 しかし、最初は「女キャラへのヘイトをやめるべき」程度だった内容も、最後に記事をアップした2016年には、「同性愛やセクマイ界隈への差別」だの、今で言う所謂「ツイフェミ」についてだの、話のテーマが大きく重くなり過ぎ、自分が扱うにはあまりに勉強不足だったり、それ故、事実とは異なること、自分の憶測だけでとりあえず文章を書いてしまうなど、段々ネットにありがちな「当初掲げたテーマからどんどん離れていき、内容が過激化する」現象に陥ってるんじゃないか、そう感じるようになっていた。

 それに、その頃になると「セクマイ」や「LGBT」という言葉は世間的に認知され、価値観も時代に合わせて少しずつ変わっていき、「もう自分が書くことなんかない」と思うようになり、更新をやめてしまった。プライベートで色々ありすぎて、更新する気力を失くしていたというのもあるけど…

 あれから6年、元々何か書くこと自体は嫌いではなかったし、「腐女子はこんなマナーを守るべきだ」みたいな変な使命感がなければ、もう少し肩の力を抜いて文章が書けるのではないか?そんな風に思い、場所を移して何か書いてみたくなったわけです。

オタク界隈も変化している

 これはあくまで腐女子である私目線から見て感じたことなので、偏ってるかもしれませんが、一昔前(10~15年ほど前)に比べると、堂々と自分のカプ嗜好を言える人が増えたということ。

 これは少なくとも10年ほど前までは考えられなかった事のように感じる。まだ「姫女子」や「3L」なんて言葉もなかった(浸透してなかった?)頃、特に女性は「『女なのに』百合が好き」とか「『女なのに』美少女キャラが好き」など、枕詞のように「女なのに」と付ける人が多かった印象がある。

 当時からギャルゲーを嗜む女性ユーザーや、百合が好きな女性も珍しい存在ではなかったけど、それ以上に「女ならBL」「腐女子は女キャラが嫌い」みたいな主張が幅を利かせていた。実際、客観的な腐女子のイメージは、そんな考えの集団という風に見られていたように思う。

 もちろん腐女子だからと言って一括りに皆がこんな考えを持ってるわけではなく、女の子キャラが好きな腐女子もいたし、男女カプや百合も嗜む腐女子も当然いた。だが、そんな人たちの存在が霞むほど、一部の人目も憚らずヘイトを撒き散らす腐女子が悪目立ちしていた。「腐女子は自重しろ」「どうして腐女子だけ自重を強要されるの」そんな相反する意見が、ぶつかり合っていた。

 確かに腐女子を一括りにされて批判された側からすれば、自重しろと言われるのは、たまったものじゃなかっただろうし、でも感情論・偏見まみれのヘイトを書き殴ってる腐女子も少なくなかったのは事実。

 今でも忘れられないのが、ある腐女子のブログ(TwitterなどのSNSが流行り始める前)で、そのブログの管理人は当時ジャンプで人気だった「家庭教師ヒットマンREBORN!」界隈の腐女子だったわけだけど、BL妄想を書き散らす一方で、京子やハル、クロームなどのメインの女の子キャラを片っ端から貶す典型的な「外から見たイメージの腐女子」だった。一番ぽかーんとしてしまったのは、「そもそも女キャラは男の読者に媚びてるだけの存在」「リボーンはもはや女性向け作品」「だから女キャラなんか必要ない」という書き込み。今ならステレオタイプ過ぎて、晒されて、ネタにされて、適当にあしらわれて終わるだろう。だけど当時は、こういう腐女子が腐女子どころかBLというジャンルそのもののイメージを悪化させていたわけで、同じ腐女子界隈ですら迷惑がる声もあったほどである。

 その他にもゲームのイベントで、男性声優には女性ファンの物凄い歓声が上がったのに、女性声優の時はシーンとしてるという映像が流出し、やっぱり腐女子は…と槍玉に上げられた事もある。(この件は腐女子は関係ないと思うけど、当時女性のオタクは腐女子に一括りにされていた)

 だから某掲示板や某知恵袋などでも「腐女子キモい」とか「BLなんて悪趣味」というような書き込みが多く見受けられたわけだけど、その頃から見れば、オタク界隈も大きく「変わった」と感じる。それは、昔より更にオタクが一般化したことや、「LGBT」などの言葉が徐々に浸透し、世間的な同性愛やマイノリティに関する考え方や価値観が変わったことも大きいと思う。(あまりオタクとイデオロギーを結び付けたくはないけど)

 これは私個人の感覚に過ぎないが、昔に比べると「BLは悪趣味」というような意見は少なくなったように思えるし、男女の恋愛を「ノマカプ」「NL」と表記する文化が廃れつつあるのも、「3L」や「姫女子」といった新たな言葉が生まれ、以前より抵抗なく自分の趣味を語れる風潮になりつつあるのも、少なくとも10年ほど前までは考えられなかったことだと思う。

私はこの風潮、少なくとも悪くはない、そう感じている。