無題の文集

灰色の世界で歌を歌う。
冷たい世界で歌を歌う。詩を書く。
せめて私が作る世界は暖かくあるように。
きっとこの世界は私が思うほど冷たくはないけれど、
人の世は冷たく暗くあって欲しい。私が光になりたい熱になりたい。


幸せというものは、何か特別な機会に感じるようなものだと思っていた。
サプライズをしてもらった時、好きだと言われた時、手を繋ぐ時、抱きしめる時、それから。

最寄り駅から、築40年のボロっちいが家賃は安い。そんなアパートまでの道、緩やかな坂をクタクタの足で歩く。むくんだ足が私に金曜日を教えてくれた。明日は昼まで寝よう。寝て起きて、ご飯食べて。そうだ、あの人と昼寝しよう。ダメ人間の理想の土曜日を思い浮かべながら少し歩くスピードを上げた。
今、幸せかもしれない。
あの人が家で待っている。それが何よりも私をニヤつかせる。
気持ち悪いかもしれない。でも、幸せってそんなもんだ。
「だだいま」
私がそう言い終わる前に飛んでくるおかえり。そしてのんきな顔をした彼。
この人とこの先ずっと一緒に居たい。

本当は、いつだって幸せに気づくのは唐突なもの。



私は月より太陽が好き、
小説よりエッセイが好きだし、
夜より朝が好きで、
天使よりはあなたが好き。

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