学部ブームの流れ

メモ

1950年代、日本経済発展とともに技術者が不足し大学で工学部ブームが発生。
1960年代、国民所得倍増系計画達成に向けた理工系学生増募計画。国立大学を中心に理工系学生の定員増、学科増、学部増設。ベビーブームによる学生増を当てにして工学部の新設増設増員

『日本の条件』15,日本放送出版協会,1985.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11927596 (参照 2024-05-12)
メディア教育開発センター [編]『研究報告』(91),メディア教育開発センター,1996-03. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2282021 (参照 2024-05-12)

1970年頃まで
成績の良い理科系学生は工学理学医学歯学
1976の時点では医学部ブーム。無医大県解消の行政政策が影響。

三木健二 著『現代医療の最前線 : アメリカの医療の現場報告』,医事薬業新報社,波書房 ,1976. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12135867 (参照 2024-05-12)

1974年以降経済学部が人気
1975年農学系が大きく伸びた。歯学部は高倍率を維持文学系外国語学部も人気に。
1976からは教員養成系統の増加

1981年出版。高校生の時ちょっとした医学部ブームであった。(自治医科大卒27歳)
今も医学部人気は高い。進路指導で医師過剰時代を警告。基礎医学志望の医学部卒業生が少なく臨床医になりたいという考えが支配的であった。理学部の方が基礎医学では有利であると思われていた。

1981年大分医科大学の事例
しかし最近では大学院進学者が目立ちはじめた。医師急増で病院が飽和状態になることをキャッチしていると分析されている。
毎日新聞大分支局 著『病める地域医療 : 大分からの報告』,葦書房,1981.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12135343 (参照 2024-05-12)

1982年以降農学系の志願者が増加。バイオブームが原因
工学部では工業化学科の人気増加
医学部歯学部が過剰時代を迎え人気薄。私立歯学部は高額な学費とも相まって志願者数大幅減。文系学部はさらに人気低下。法学部の志願者減少。経済系や文学系のシェアが下降傾向。教員養成系は志願者が大幅減少。採用難や校内暴力いじめが原因。1984年頃から国際、情報系学部学科が脚光を浴びる。

『青少年問題』35(4),青少年問題研究会,1988-04. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2745241 (参照 2024-05-12)

1984年 医学部ブーム去りつつある。5年前と比べて医学部歯学部の受験者が半減。私立歯学部の減少が激しい。
理由
医師過剰時代 収入面でのうまみが減少。私立だと学費が高い。ニューメディア、コンピュータ電子工学などエレクトロニクス関係が人気に

『商工ジャーナル』10(3)(108),商工中金経済研究所,1984-03. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2831049 (参照 2024-05-12)

1985
土木の人気が低下
華やかなエレクトロニクスへ進む学生が多い
農学部ブーム
バイオテクノロジーが花形へ

『土木施工』26(3),オフィス・スペース,1985-03. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3308472 (参照 2024-05-12)

1987年以降受験生が理工系離れ。経済学部への入学希望者が大幅増
理工系大学生の製造業離れと金融保険業志向が同時期に現れる。

科学技術と経済の会編集部 編『技術と経済 = Technology and economy』(12)(286),科学技術と経済の会,1990-12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3301103 (参照 2024-05-12)

1995年 根強い国公立人気。就職難で地方公務員などに有利と判断。また学費が安い等。
資格、職業に直結した学部の人気継続
教育、生活科学、理、医、歯、薬、看護、衛生、農

経済経営商学国際系の志願者減。一時期人気の高かった国際系学部は受験者の実学志向資格志向の高まりにより、各大学が語学教育に力を入れたため差がつかなくなり人気急落。

『大学時報 = University current review』44(243)(256),日本私立大学連盟,1995-07. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/7884191 (参照 2024-05-12)

1998年保険衛生学系学部が国公立大学看護学科を中心に新増設が続く。志願者が増加。経学系統を中心とした文系学部の不人気文系学部よりは人気の理系学部。景気低迷の影響で法学部は公務員ルートに優位であるとみられて堅調に推移

『大学時報 = University current review』47(261)(274),日本私立大学連盟,1998-07. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/7884209 (参照 2024-05-12)




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