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今だから話せる、BLOCK.FESTIVAL Vol.2の裏側

Written by ☆Taku Takahashi(m-flo)

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オンライン音楽フェス『BLOCK.FESTIVAL』。

コロナ渦のなか「アーティストと音楽ファンとの繋がりを止めちゃ絶対いけない」そう想って、何をすればいいかわからないまま「オンラインフェスをやるぞ!」と初期衝動だけで動き始めたこのプロジェクト。

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友人や仕事仲間、そしてアーティストのみんなに集まってもらって、家からライブを配信するという形でスタートした。アーティストが演奏する日本でおそらく最初のオンラインフェス。ひょっとしたら世界でも初だったかもしれない。

時間との戦いや、初めての試みで生まれる機材トラブル、そもそもフェスなんて主催もしたことがない。とにかく手探りでガムシャラにやった。それでも4月18日に開催した『BLOCK.FESTIVAL Vol.0』はみんなの力と音楽ファンの皆さまのおかげで素晴らしい1日となった。

その後、5月5日に2回目の『Vol.1』を開催。『Vol.0』の経験を活かしてこちらも大成功に終わった。

そして8月1日に配信した3回目の『Vol.2』。これがね、今までやってきたなかで、いちばん大変なことだらけで。

会場選び

『Vol.1』までの”部屋から繋げる”というテーマで配信したライブは、アーティストたちの部屋や作業現場が見られてとても新鮮だったと思う。だってさ、普通見られないよね、アーティストたちが自分の曲を書いてる場所。

ただね、すでに2回やったし『Vol.2』では何かもうちょっと違うものを見せたい。初夏のタイミングだし、まだあまり外に出られない音楽ファンに映像から少しでも夏を感じてもらいたい。

4カ所くらいロケハン(会場視察)をしたなか、以下の条件をクリアした場所を見つけないといけなかった。

1)海など夏を感じる風景のある場所
2)できる限り密にならないこと
3)風通しが良い場所
4)アーティストが準備できる控え室があること
5)金額が予算におさまること

あちこち回って、全て揃っていたのが葉山の『アンダー・ザ・パルモ』だった。お店のスタッフもすごく応援してくれて、最後までサポートしてくれた。

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場所が決まって「よし!やれるぞ」となったタイミングくらいにもう一つの課題が生まれた。いま考えると怖いもの知らず過ぎだと思っている。

花火

『BLOCK.FESTIVAL』の運営チームの中には、お祭り好きが何人かいる。いや、考えてみるとみんなそうなのかも(笑)。誰がこんな無謀なアイデアを思いついたのかは置いておこう。今年は花火大会が行われないことが、そのタイミングではすでにわかっていた。

生で見る花火には敵わないのはわかっている。でもアーティストみんなで花火を打ち上げて、観てくれる人たちを笑顔にしたい。いや、大切なのはみんなで打ち上げること。そういう思いで決めた。ただ、ひとつ大きな問題があった。

それは、運営メンバーのなかに花火を打ち上げた経験のある人が誰一人いないこと。うん。そりゃそうだ。花火なんて僕らが打ち上げるものではないし。普通は観るものだ。

まずはインターネットで花火を打ち上げる業者を調べていく。でも葉山で花火をあげるには色々なハードルがあった。そもそも安全面を考えないといけない。天候の心配もしないといけない。船を出さないといけない。さらに国の許可を取らないといけない。

「そんなの、どうやったらいいかわかんないよ。でもなんとか打ち上げたい」。

その気持ちひとつだった。世の中、とてもありがたいことに、想いが強ければ強いほど、その想いが人に伝染していく。「グレートスカイアート」というアート花火のチームが助け舟を出してくれた。しかも僕らの志や強い気持ちを伝えたら、このチームも男気(女気)がある集団で、僕らの持ってる予算のなかで「なんとかする」と言ってくださった。花火の打ち上げだけではなく、国への許可申請までしてくれた。さらに助け舟だけでなく、文字通り必要な船まで準備してくれた。彼らにここでもう一度、感謝の意を示したい。いつか彼らの作品でも僕の音楽とコラボができたらな。

近隣への対応

いくら国の許可が降りたとはいえ、花火を打ち上げる場合、近隣の人たちに伝えないといけない。さらに音楽のフェスティバル。大きな音をガンガン夜まで出すことになる。しかも密対策として窓は開けておかないといけない。

ということで、町のキーマンとなる町内会の長の方に挨拶をしにいった。この人に嫌われたら大問題。最悪の場合、会場が使えなくなるリスクもあった。しかも、この町内会の長が怒らせると怖い人という噂もあった。

バッチリスーツを着て参戦。見た目「気難しそうな人だなぁ」って思った。でも、こういうときは絶対ビビっちゃダメ。誠意を持って気持ちをぶつけることにした。多分喋ってるときの僕は噛み噛みだったと思う(失笑)。それでもスタッフみんなの誠意が伝わったのか、長も「よしわかった!」という感じで町の他のキーパーソンたちの家へ案内してくれた。お名前をしっかりと覚えてないのは本当に失礼なんだけど、この方にもすごく助けられた。

アーティストのブッキングもでき、映像チーム、機材チーム、箱、花火、国の認可、町の了承。全てが揃った。

「よしここからが本番だ!がんばろう」そういう気持ちで挑むことになった。

メンタル面

『Vol.2』は密を避けるため、半分は生放送、半分は前日収録をすることになった。早朝から夜遅くまで炎天下の中での作業、僕だけでなく、スタッフみんな疲弊してたはず。そして僕もBLOCK.FESの準備の忙しさだったり、他にも大変なことが重なっているタイミングで、体力的だけでなくメンタル的にも絶頂にキツかった。「それでも絶対、自分に負けたくないんだ!」そう思いながら、なるべくそれは見せないように頑張っていた。

でも感受性が高いのがアーティスト。この日、アーティストたちみんなが僕のことを気遣ってくれた。本当は主催者の僕が彼らを気遣わないといけないのに。感謝の気持ちでいっぱい。志が一緒の仲間たちと、大好きな音楽で、それを大好きと思ってくれる人たちと、一緒に作り上げたフェスだと改めて実感した。

その気持ちが花火へと繋がる。この花火は、観てくれている人たちにサポートとして『花火応援アイテム』をLINE LIVEで購入してもらい、リアルな花火を打ち上げるという仕組み。応援アイテムが一定の数までいかないと上げられないというお題もあって、そのタイミングまで待たないといけなかった。見てくれていたみなさまのおかげで、その目標もクリア。いよいよ花火の打ち上げの瞬間。

ただ、ここで私はとてつもない大きなミスを犯してしまう。

花火の打ち上げ

アーティストたちの素晴らしい演奏と共に、みんなで打ち上げる花火。この花火は音楽とシンクロする花火で、僕のMacBookから音楽が流れると同時に、無線経由で花火のスタートの信号を送る仕組みだった。これはどういう意味かと言うと、僕のMacのキーボードの『スペース・バー』が点火スイッチだということ。

正直、仕組みのことで頭がいっぱいで、本番まで点火スイッチを僕が押すという自覚はあまりなかった。しかも一人でMCをしていたため、片手はマイク、片手はMac。しかも携帯電話で船の打ち上げチームと連絡をしないといけないという、かなりマルチなタスキングな瞬間だった。

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人の癖とは怖いもの。普段音楽を作るときにしょっちゅう無意識に押してしまうキーボードの『スペース・バー』。花火チームと最終確認の電話をしている時(これはアーカイブでも見られる)、無意識に『スペース・バー』を押してしまったのだ。今までのみんなの頑張りが、カウントダウンも無し、音楽のない状況でいきなり花火が打ち上がってしまう。頭が真っ白になった。

でも、ここも僕はしっかりと支えられていた。音響と花火チームが僕が間違ってフライングしてボタンを押してしまう可能性を考慮し、点火しないようにしてくれていたのだ。そしてm-flo loves Charaの『Love to Live By』にシンクロした花火が無事に打ち上がった。

花火が上がったとき、私がドヤ顔をしたと思っていた人もいたみたいだけど、あの笑顔は安堵の笑顔だった。そして、アーティストたちの笑顔も見られて、すごく幸せな気持ちになった。「観てくれてる人たちにもこの幸せが届きますように」そう願いながら花火に見惚れていた。

かくして、素晴らしい演奏と共に、最高な花火が打ち上がった。本当にみんなで打ち上げた花火だ。今年の夏に行われたのにもうすでにだいぶ昔に感じる。それはきっと、ほんのちょこっとだけ、自分が成長できたのかな。そう思いたいな。辛かったけど、本当に最高な思い出。みんなと一緒に共有できたら嬉しいです。アーカイブチェックしてね。

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期間限定 BLOCK.FESTIVAL Vol.2アーカイブ配信中

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BLOCK.FES vol.3 HALLOWEENの開催を記念し、8月に開催したVol.2のアーカイブ映像を2週間限定で配信!

Vol.2から厳選した内容を、2時間20分ほどにまとめたダイジェスト版となっています。見逃した方も、また見たいという方もぜひチェックしてみてください。

10月31日開催 BLOCK.FESTIVAL Vol.3

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配信日時:10月31日(土)

配信方法:LINE LIVE

視聴料金:無料

【出演アーティスト】

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Awich、おかもとえみ、JP THE WAVY、showmore、野宮真貴、PUSHIM with HOME GROWN

and more!!

【NAVIGATOR】

☆Taku Takahashi(m-flo)、三原勇希

BLOCK.FESTIVAL公式サイト

BLOCK.FESTIVAL 公式Twitter:https://twitter.com/blockfes

BLOCK.FESTIVAL 公式LINEアカウント:https://lin.ee/Db0Uhiq

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