「お金」の不安に対して

マネーセミナー3

お金に対する不安というのは、資産が多ければ多いなりに、少なければ少ないなりに、だれでも多少は持っているものです。ここでは、「足りないかもしれない」と不安を感じている人に向けてお話していきましょう。

前回、不安を解消するのは具体的な行動であると言いました。
では、お金の不安に対する具体的な行動とは何でしょう?
不安なあなたに、ぜひやってもらいたいことは次の4つです。

⇒ 現状を把握する

⇒ いざという時の資金を確保する

⇒ 必要額を見積もる

⇒ 足りない場合はどうするか、考える

どういうことか、ひとつずつ見ていきましょう。

⇒ 現状を把握する

何かを始めるときやどこかへ向かうとき、まずは自分の現在位置・現在の状況を正確に知っておくことが重要になります。
例えば、初めての大きなショッピングセンターで買い物をしていて、ちょっと喉が渇いたのでカフェを探そうと館内の案内版を見たところ、なぜか「現在位置」の表示が見当たらなかったら……。どちらの方向に歩けばいいか途方に暮れてしまいますよね。 

お金の問題も基本は同じです。まず自分の現状をはっきりさせることから始めましょう。
なんといっても「お金の基本は整理整頓」なのです。

毎月いくらくらい収入があるのか? 支出はどのくらいなのか?
月々、赤字なのか黒字なのか? 黒字ならばそのお金はどこに行っているのか? 赤字なら足りない分はどこから補っているのか?
貯金はいくらあるのか? その他の資産はどういうものがどのくらいあるのか? 逆に借金やローンはどういう種類のものがいくら残っているのか? どのように返済していくのか? 加入している保険はどのような種類で、どういうときにいくらもらえるのか?etc.…

会社等が毎年決算書を作るように、あなたも【自分株式会社】の経営者なのですから、休日に半日ぐらいかけて全部書き出し、簡単なものでいいので、収支計算書(損益計算書)及び貸借対照表(バランスシート)を作ってみましょう。

そのための便利なフォーム (「家計の収支確認表」「家計のバランスシート」) が、日本FP協会のサイトにあります。
https://www.jafp.or.jp/know/fp/sheet/
また、WEBでも「家計決算シート」などと検索してみるといろいろ出てきますので使いやすそうなものを選んでみてください。
これに書き込み、完成させるだけでもいろいろ見えてくるものがあります。このように紙に書き出して整理するだけで頭もすっきりしますし、解消する不安も少なくないと思います。できれば年1回、少なくとも数年に一回は見直してみることをおすすめします。
重ねて言いますが、お金の基本は「整理整頓」です。このことは忘れないようにしてくださいね。

⇒ いざという時の資金を確保する

自分の状況がよくわかったら、次にやりたいのはいざという時の資金を貯めておくということです。世の中は一寸先は闇。明日のことは誰にもわかりません。何かが起こったとき明日から住むところがない、なんてことにならないよう生活の防波堤を作っておく必要があります。もちろん貯蓄なんてしなくても親族が資産家でいくらでも援助が受けられるということであれば、いざという時にちゃんとお金を出してもらえるよう約束しておきましょう。

貯蓄の目安としては、生活費の半年分、月15万円で暮らしているなら約90万円ということになります。
「毎月ギリギリで貯蓄なんてできないよ~」という人も多いですが、貯蓄は習慣です。財布の小銭を貯金箱に入れるところから始めてみてください。
また、「残ったら貯めよう」という意識ではよほどの高収入でないと貯めるのは無理。収入があったら、まずどんな支払いよりも先に「未来の自分」に対してお金を支払ってください。貯蓄の王道は先取り貯蓄です。サラリーマンなら天引き貯蓄を強くお勧めします。
そしてこの「未来の自分」に対しての支払いは習慣化し、例え借金の返済中であっても、それと並行して粛々と実行してくださいね。

※ いざという時に助けになる公的な制度は生活保護をはじめいろいろあります。ただし、そういった制度はほとんどが申請主義なので、自分で申請しないと利用できません。利用できそうな情報を前もって集めておく、というのも生活の防波堤のひとつです。

⇒ 必要額を見積もる

いざという時の資金の見通しが立ったら、次とにやるのは「見積もり」です。自分の人生には、「いつ?いくら?必要なのか?」つまり、時期と金額をはっきりさせるということです。
「いつ? いくら?」というのは、お金の不安解消にはぜひとも必要な言葉です。 お金はあればあるだけいい、というわけではなく「必要な時に必要なだけ」あればいいものだからです。

これからあなたがやりたいこと、やる必要があることなど、書き出してみましょう。これにも前述の日本FP協会のサイトのフォーム (「ライフイベント表」「家計のキャッシュフロー表」) が使えます。
https://www.jafp.or.jp/know/fp/sheet/
学費、留学、マイホーム購入、リフォーム、転職、起業、車を買い替える、退職、もちろん老後資金、etc.
最初は特に制限を設けず、やりたいことは思いつくまますべて書き出してみましょう。書くだけならタダですからね。そしてその実行時期と必要な金額も書いていきます。この作業をすることで、あなたの夢や将来の生活がより具体的になってくることでしょう。

※ ここで気になるのが老後資金。平均寿命が延びた現在、よほどの資産家でもなければ考えておくべきお金です。不安になるのは、ここでもやっぱり「はっきりしない」から。まずは自分の老後のイメージを考え、いくらくらい必要なのか? を把握しておきましょう。
老後資金の見積もり方はいろいろありますが、ざっくり以下の式で計算してみてください。

老後資金概算額=1か月の生活費×12か月×25年(65歳から90歳まで)
+α(生活費以外の予備費)-年金額(ねんきん定期便等で確認)

⇒ 足りない場合はどうするか、考える

やりたいこと、必要なこと、の時期と金額を出してみたけど、どうやら足りないみたいだ。という時、どうすればいいでしょうか。
実行時期を後ろにずらす、貯蓄に回す額を増やす、すっかりあきらめるなど、思いつく方法はいくつかありますが、FP(ファイナンシャルプランナー)として言うならば、お金が足りないときの解決方法は、次の3つです。

1.収入を増やす
2.支出を減らす
3.資産運用の改善

まったく当たり前のことですね。残念ながらFPは魔法使いではないので、お金に関してもごく当たり前のことしか言えません。
ただ、「お金が足りない」という時、多くの人がすぐに「節約」に走ろうとしますが、それより先に「収入増」の道はないか?を探ってみてほしいと思っています。(ですから最初に挙げておきました)

1.収入を増やすために、まず意識を変えましょう。給料をもらうから稼ぐへ。「自分株式会社」の経営者としてビジネス感覚を磨くことも大切です。例えば、交渉して給料を上げてもらう、転職する、定年後もできるだけ長く働く、起業する、収入の流れを複数作っておく 副業する。いろいろ視点を変えて世の中を眺めてみてください。

2.支出を減らす
には、やはり節約です。これにはご存じの通り、固定費の見直しが効果的です。例えば電気の契約アンペアを下げる、スマホのプラン見直し、節税(各種控除の利用) ふるさと納税など。さらにお金が貯まりにくい人は、小さな支出に無関心なことが多いです。スーパーや量販店が近くにあるのに、価格の高いコンビニで買い物をしたり、ATM手数料や振込手数料を気にしない、ローンや分割払いのムダな利息を払い続けている、いつも支払いが遅れ本当なら必要のない延滞料金や遅延損害金を払う、といった特徴があります。

3.資産運用の改善 上記1.2.をしっかり実行しつつ、お金にも働いてもらいましょう。まず、借金があるなら早急に返します。現在の銀行預金の金利を考えると、借りたお金の金利は高すぎます。
投資・運用は「いざという時資金」を貯めてから、少しずつ始めましょう。
おススメは確定拠出年金 iDeCo 積立資金に余裕があるなら積立Nisaも併用してみてください。
※ iDeCoに関してはこの「漫画でわかるiDeCo」がわかりやすいです。
 https://www.ideco-koushiki.jp/movie/index.html

まとめ

これまでの内容を箇条書きでまとめてみます。
◎「不安」は「課題」に変え、具体的に行動する
◎ 自分の経済状況をきちんと把握
◎「いざ」という時の資金を確保しておく
◎将来の支出に対し、その時期と金額を予想しておく
◎「収入」を増やし「支出」を減らすためのアンテナを立てておく




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