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千年幻想郷を語る

どうもStenplerです。自分としては予想より早い2本目の記事となりました。

 前回は東方Projectの推しキャラクターについて語りましたが、今回は東方Projectの推し"曲"について語っていきたいと思います。

 東方Project一番の醍醐味、と言われると私はBGMだと思います。世界観やキャラクターも勿論素晴らしく、興味深いのですが、東方Projectの楽曲は他を寄せつけない独自性があり、全ての楽曲に「これはゲームクリエイターZUNが作ったのだな」という確証のようなものがあります。まるで曲調に作曲者の名前が書いてあるようです。その中でも私が最も好きな楽曲が、2004年の東方永夜抄に収録されている"千年幻想郷 〜History of the moon"です。私は音楽的な分野に明るくなく、具体的な用語を使っての解説をすることが出来ませんが、自分なりのこの曲の"スキ"なポイントを語っていきたいと思います。

1.千年幻想郷の概要

 目の前に広がる蒼い夜空と偽りの満月。その広大な景色の前に、一人の賢者が立ちはだかる。そして壮大な千年幻想郷のイントロと共に激しい闘いが幕を開ける──永夜抄の6面ボス戦の始まりのシーンです。シューティングゲームが下手な私は何度も見たシーンです。立ちはだかる賢者とは、前回の記事でご紹介した八意永琳です。そう、今回の記事は八意永琳にスポットを当てた記事でもあります。何故なら、今回語るのは彼女のテーマ曲についてなのですから。

2.千年幻想郷の"音"を分析する

 曲の始まりとともに、他の東方楽曲には見られない激しい音圧が耳に届きます。その激しい旋律は、相手がタダ者ではないと直感でプレイヤーに感じさせる程の力強さを持ち、激しい闘いに向けて主人公を奮い立たせるかのようでもあります。音圧地帯を抜けると、綺麗なピアノの低音に入ります。この部分のメロディーは、東方ファンの間で"いつものメロディー"と呼ばれているものです。何故ならこのメロディーは東方作品全体を通してよく見られる旋律であり、一部の例外を除いてゲーム作品のオープニングテーマには原則的にこの旋律が用いられています。そしてピアノの音が徐々に盛り上がっていくと溜めに入り、ほんの一瞬の静寂の後に、東方楽曲おなじみのトランペットのパートに入ります。メロディーは全体的に儚げな印象を持ちますが、同時に長い歴史の壮大さを思わせるような音色でもあります。ファンの間でZUNペットと呼ばれる、SD-90という音源装置の独特な音色が曲を一層盛り上げます。
そして2回の同じメロディーを繰り返した後にトランペットパートの結びに入り、続いて先程とは違う形で"いつものメロディー"が再び入り、穏やかなパートに移ります。そして同じメロディーを繰り返しながら徐々に盛り上がり、サビのパートに入ります。そして激しいサビパートを展開すると力を使い果たしたようにパートが終わり、ループして曲の最初に戻る…と言った構成です。ひとしきり書いて思ったのですが、文字では千年幻想郷の魅力を1mmも伝える事が出来ませんでした。大変申し訳なく思います。私の力不足故に恐縮なのですが、是非実際に千年幻想郷を一度聴いていただけると幸いです。

3.千年幻想郷と八意永琳の千年

 流石にこれで説明を強引に終わらせるのはファンとしての職務怠慢なので、実際に千年幻想郷を聴くのがもっと楽しくなる、バックストーリーについてお話しします。
 八意永琳は月の都が建造された頃、即ち人類が地球上に生まれるよりも前から生きていました。彼女は所謂大天才であり、常人ではとても理解が及ばない思考回路を持っています。その為、月の要人として科学技術の発展に大きく貢献し、月を離れる直前までは月と地上を繋ぐ月の使者という要職に就いていました。そして彼女の在職中にかぐや姫事件が起こりました。かぐや姫の月における従者だった永琳は、姫の好奇心による依頼で不老不死の禁薬「蓬莱の薬」を製造してしまい、彼女に与えてしまいます。月の掟では、生と死に纏わる行動を起こすことは罪とされており、不老不死になることは大変な重罪でした。月の要人は彼女を極刑に処すことを決めましたが、彼女は既に不老不死となっていました。その為、姫は地上への流罪となり、永琳は不問に付されたものの罪の意識に苛まれていました。そして地上に赴いた部分から、日本最古の物語文学である「竹取物語」のお話に繋がります。永琳は竹取物語の終盤に姫を迎えにくる使者のうちの一人でした(東方Projectにおける独自設定)。しかし東方Projectでは物語の後日譚を創作しています。その内容は、かぐや姫が月に戻るのではなく、地上に残ることを選択した、という事です。その願いを聞き入れた永琳は同行した使者を全員処分して不老不死の薬を飲み、姫と"永遠"の時間を共にすることを決めました。以後、鈴仙が逃げ込んでくる以外には大きなゴタゴタもなく、幻想郷で暮らし始めて千年にも及ぶ長い時を過ごしていたある日のこと。月の使者が姫を迎えに来るという噂を聞きつけた永琳は、偽物の月を用いて月から地上への経路を断つ秘術を使いました。それが幻想郷の治安維持を担う巫女にバレ、今回の永夜抄事変の戦闘に至ります。千年幻想郷は、そんな永く濃密な時を過ごし、そしてこれからも玖遠の時を過ごす永琳の人生を詠んだ曲なのかもしれません。

4.おわりに

 お疲れさまでした。今回は全体的な知識の不足からやや舌足らずな文章となってしまったように思いますが、もしお楽しみいただけたのでしたら光栄です。千年幻想郷は検索するとyoutube等ですぐ出てきますので、そちらから聴くことが出来ます(本当はサブスクかゲーム本体から聴くのが望ましいのですが、一応東方Projectにおけるルール違反ではないそうなので)
 皆様に、好きな曲はありますか?今宵は、様々な思考を巡らせながらいつもの曲を聴いてみるのも一興かもしれませんね。


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