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月の掩蔽*Lunar Occultation of Planet 2023

掩蔽(えんぺい、occultation)とは、ある天体(A)が観測者と他の天体(B)の間を通過する際に、その天体(B)を隠す現象である。

掩蔽(occultation)は、天文学でよく使われる言葉です。
占星術で言うコンジャンクション(接続)は、2つの天体が同じ赤経または同じ黄経 (通常は地球から観測される)の場合に接近していることを言い、必ずしも掩蔽が生じているわけではありません。

近くにある天体が遠くにある天体を完全に隠していない場合、それは天文学ではトランジット(通過)と呼ばれます。
そのような例として水星と金星が太陽面を通過する場合(太陽面を通過する場合は特に太陽面通過や日面経過などという)があります。

掩蔽と食(蝕)の違い

食(蝕)とは一般的に、ある天体が別の天体の影に入るような場合を指します。

観測者が、光源天体からの光を隠す天体を見ている場合は、「掩蔽」(例:日食)。観測者が、光を隠している天体が別の天体表面に投射した影(像、写像)を見ている場合は、影による食(例:月食)として区別されますが、どちらも食と呼ばれます。

【掩蔽による食】
代表的なものが月によって起こる食です。日食と星食(惑星食)があります。

月は、他の惑星のほとんどの衛星とは異なり、その軌道平面(月の地球に対する公転面)は黄道に対して5.145°傾いており、更に月の自転軸は黄道垂線から6.688°傾いている(=月の公転面垂線から1.543°ずれて月は自転している。)
カッシーニの法則により月の歳差運動は月の公転周期と一致し180°ずれているので、月の赤道は常に黄道に対し一定の1.543°となっている。

月の軌道は黄道に対して傾いているため、黄緯約6.5度以下の恒星は全て月に掩蔽される可能性があります。

月以外の惑星によって起こる食、恒星による食もあります。

2023年の月の掩蔽(Lunar occultation)

2023年の月による惑星の掩蔽で、現在わかっているのは下図の通りです。

【海王星食と木星食】

2023年の注目点は、木星食と海王星食です。
木星食は3年ぶり、海王星食は7年ぶりになります。どちらも日本では観測できないようです。

海王星食は、2016年に7回、2017年には13回起きていました。
その前は、2008年に12回、2007年に6回。それ以前のデータは見つけられませんでした。

木星食は、①2020年に2回、2019年に2回、②2016年に4回、③2013年に2回、2012年に8回、④2009年に2回、2008年に1回、⑤2005年に9回、2004年に2回、⑥2002年に3回、2001年に6回。約3年間隔で起きているようです。

ちなみに、木星食は次は2026年になります。
海王星食は、2024年に13回起き、2025年は2回、その次は2033年まで起きません。
木星食は3年おき、海王星は9年おきと考えて良さそうです。

【海王星の位置】
海王星が発見されたのは 1846年9月23日でした。
そのときのホロスコープでは、海王星は水瓶座25度の場所にありました。
この日のチャートで興味深かったのは、火星が乙女座25度、土星が水瓶座25度(海王星と合)、冥王星が牡羊座25度で、25度祭りになっていました。

2011年7月11日に、海王星は1846年の発見以来、初めて重心軌道を1周した。その時、地球は軌道上において海王星発見時とは別の地点に位置していたため、観測することは出来なかった。

海王星の公転周期は約165年。単純に考えて半分の83年前、1941年、42年頃は海王星は乙女座にあり、地球にもっとも遠かったということでしょうね。

ちょうど第二次世界大戦の頃です。
占星術では、海王星は宇宙の愛のエネルギーと見ています。地球が宇宙の愛から遠くにあった頃、ファシズムが生まれホロコーストや非人道的な人体実験が行われ、原子爆弾と言う恐ろしい兵器が発明されたのですね。

地球と海王星の位置関係はこんな感じです。激しく回っているピンクの球体が地球です。

海王星(赤い円弧)は、地球が164.79周回るごとに太陽を中心に1周する。
ライトブルーの球体は天王星を表す。

【土星魚座時代】

占星術的には、木星と海王星はどちらも魚座に関係しています。
海王星が発見される以前は、木星が魚座の主星でした。現在の占星術では、海王星を魚座の主星、木星は魚座の副主星,と見なします。

そしてさらに興味深いことは、2023年3月7日に土星が魚座に入ります。前回、土星が魚座に入っていたのは、1993年~1994年です。

【土星食について】

土星食は、2023年にはありませんが、2024年には10回、2025年2回、その次は2031年まで起きません。
ちなみに前回の土星食は、2019年13回、2018年1回、2014年11回、2013年2回、2007年11回、2006年1回、2002年5回、2001年9回でした。
ここにもパターンが見えますね。

余談ですが、2001年9月10日に起きた土星食の翌日は、911が起きました。アメリカがアフガニスタンに報復(アフガニスタン紛争)を始めたのは、10月8日の土星食の前日でした。
月の掩蔽を知ったのは数年前ですが、この土星食の偶然?を知ってさらに月の掩蔽が与える影響に興味を持ちました。

土星が魚座で過ごす2023年~2025年前半、魚座の主星である海王星の
影響にも注目です。
土星と海王星がコンジャンクションを取り始めるのは、2024年後半から。
タイトなコンジャンクションになるのは、海王星が牡羊座に入る2025年です。この頃には天王星も双子座に入り、(冥王星は2023年3月に水瓶座に入っている)海王星と頂点としたトランスサタニアンのミニトラインが形成されます。今からは想像もつかない未来でしょう。

魚座土星時代については、また少しずつ書いていきますね。
今回は、このへんで。

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