夢を見たわ
どうやら私は退院をするみたいだ。
寝巻きを着た老人が握手を求めてくる。
顔は見覚えがないが何故か私は涙が出てくる。
私は横にいる老女とも握手をしようとする。
こちらも誰だか分からないが顔を見るだけで私は涙が溢れてくる。
恰幅のいい看護師2人に連れられてその場を離れてゆく。
ATMのような機械で支払いをしないといけないのだが、私はやり方が分からないようだ。
パンツタイプの白衣を着た看護師が丁寧に教えてくれている、私はそれに従って画面をタッチしている。
看護師が言う
「家は電気もガスも止まっているから、帰ったら1番に電気とガスに連絡をしてくださいね」
私は長く入院をしていたのかもしれない、と思った。
電車を降りてホームを歩いている。
地元の駅だ。
突然男に話しかけられる
「Mさんですか?お久しぶりです。元気になられたんですね」
30代位の男性。名前は分からないが顔は見覚えがある。
「すみません、お顔は見覚えがあるんですがお名前が思い出せなくて…」
「中津です。さようなら」
家に着いて玄関を開ける。
電気とガスに連絡をしろと言っていたな。
その前に帰って来た事を連絡しないと…と思う。
私はその時に思い出した。
そうだ、私は老人で回りの人はみんな亡くなって今はもうひとりぼっちなんだ。
たくさんの人と知り合ったが人生においてはホームの男のように一瞬の出会いの積み重ねだったな、と思う。
もう会いたい人には誰も会えないのか。
力が出ないな。
と、思った所で目が覚めた。
送り盆がみせた夢。
いまのご縁に感謝して大切にしなきゃなと思った話。
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