"皆勤"という病魔

皆勤賞、遙か過去、義務教育あたりで聞いたような言葉。休まないとは、健康管理がしっかり出来てスケジュールを立てるのも上手いことへの称讃、だったんだろう、最初は。容易ではないのだから、出来る人はすごいのだ、と。

それがいつしか「休まないこと」そのものが目的にすり替わり、出来ないヤツはダメなヤツだと攻撃をされるようになる。努力の結果として休まなかったことが良いとされた世界は滅び、休むことは悪いとされる社会が生まれた。

「休んではいけない」と言われるのだから、体調が悪くても無理をして出ていかねばならないし、家庭の事情(例えば身内の不幸)で席を空けることも許して貰えない。突然の大病を患ったり、不幸な事故に遭ってすら、どうして出てこられないんだと怒鳴られる。

「休まないこと」が価値なのだから、何が何でもそこにいなければならない。やる事が何も無くても、週5日8時間を会社に縛り付けられる。仕事が無いのなら切り上げて帰ったっていいはずなのに。ただ出勤日数と勤務時間のみで給料は計算され、席にいなければ否応なく減らされてしまうのだから、そこにいる。やったことの中身なんて確認もされない。なんと無駄な時間を産んでいるのだろう。合理的な賃金体系を作ったつもりで、無益を積み上げるようなルールを作ってしまったのは、いったい誰なのか。

因果を取り違えてはいけない。目的を見誤ってはいけない。皆勤とは、あくまでも結果として得られた事実であって、目指すべきゴールそのものではないはずだ。

意識に根付いたこの病巣を発見し、治療することは、難しいのだろうか。


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