女性の元自動車整備士として忘れられないこと。

自動車整備士。

この職業の名前を聞くと、何をイメージするだろう。

「車を直す人!」
「ディーラーとかでツナギ着てる人?」
「車を整備する人」
「部品のことをカタカナばかりで話す人」
「直した部分の説明がうまくない人・・・(ゲフンゲフン)」

だいたい、こんなイメージだろう。
全部当てはまる。

あとは、こう思う人が多いかもしれない。

「整備士さんって男ばっかよね」

割合としては、男女比で、7:3である。
まぁ、男性の方が多い。なにせ、力仕事だから。

内容は、ざっくり言えば、車の整備。
細かくすると、タイヤの付け替え、点検や定期整備、部品交換、タイヤ交換・・・。
部品も固く付けられているので、だいぶ力が必要である。

女性一人の力ではなかなか難しい。

私は、そんな女性自動車整備士の一人だった。

最初の挫折。

車の整備をするには、ディーラー、ガソリンスタンド、量販店、車検専門店のどこかへ行けば出来るものだと思っていた。

その時、ちょうど募集していた、ガソリンスタンドのスタッフの求人に応募してみた。
そして、面接の際、車の整備もしてみたい、と話してみた。

1年後、辞職するまで叶うことはなかった。

販売員としてノルマを達成しなければならず、売り上げが低い僕はピット作業するには早い、とずっと言われ続けた。
ノルマを達成出来なければ責められ、疲れ果ててしまった。
何日も泣き続けることもあった。

私は、辞職した。

やっとたどり着いた。

辞職した3か月後、車検専門店で洗車スタッフを募集していた為、応募し、同じように車の整備に興味がある、と話した。

無事採用され、洗車をしながら、オイル交換や点検整備に携わるようになった。

初めて車の点検整備を任された時、車に触れながら、自分の夢が叶った喜びを噛み締めていた。

実務経験を経て、試験に合格し、研修に通い続け、無事三級自動車整備士の資格を取得した。

仕事に慣れてきて、知識も増えて来た頃、お客様に部品の説明やトラブルが起こった時の原因や対策法を伝える機会が増えた。

その頃、ひと昔前は女性整備士が担当すると、男性整備士に変われ、とお客様に言われたり、他の同僚の男性整備士と差別されることもあった、という話を聞いた。
自分も言われてしまうのだろうか。
不安はあった。

時代が変わったからなのか、一度も言われることはなかった。
むしろ、女性で整備はかっこいい、尊敬できる、という言葉を頂いた。
ご年配の男性のお客様からも、たくさん可愛がって頂いた。

そして、ある女性のお客様から、受付経由で、

貴方に私の車をお任せしたい。

と、言って頂いた。

私を信じてくれたのかな。
ほんとうに嬉しかった。
今でも、胸に残っている。

女性整備士として、誇らしいことだった。

今は、体を痛めてしまった為、事務として別のところで働いている。
しかし、この出来事や、女性整備士として褒めて頂いたことは、ずっと忘れないだろう。



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