ドロシーとベアトのひと時
初小説投稿です。一応6話後の時系列のお話です。
「3人とも出払っちゃったからしばらくはしばらくは2人っきりだね。」
「そうですね。ドロシーさんと2人っきりになるのもモル…あっすいません。」
ベアトがしまったという風に顔をしかめた。あの後結局父さんは来なかったのだ。
「いいよ、気にしてないから。父さんの事だから金貰ってたら浮かれてどっかで遊んでたんだろ。」
あの後次の任務の事もあり、街中を探す時間もないのでモルグに少し立ち寄って見たが行き先を知ってる人はいなかった。
「でも自分から約束をしておいて来ないなんて酷すぎます。」
「そういう所も父さんっぽいからね。まぁお別れぐらいは言っておきたかったけどね。」
「ドロシーさんはお父さんの事が好きなんですね。私はその…色々あって苦手意識があるから…ちょっと羨ましいです。」
「そうだったね…。」
ベアトの喉が改造された話は知っていたが本人から直接聞いた時は怒りが湧いたものだ。同じく父親に恵まれなかった自分の境遇を照らし合わせてしまったのかもしれない。
「あっでもこの喉には辛い思い出もたくさんありますけどそれ以上に良い事もたくさんあるんですよ?姫様とお知り合いになれた事、アンジェさんやちせさんと出会えた事、そしてドロシーさんとはお友達になる事が出来ました!」
これだ。この娘の屈託のない笑顔には以前も救われた。この顔を見るとついつい弱音を出してしまいたくなる。スパイなんて仕事をしている内は無理だろうけど将来結婚して娘ができたらベアトみたいな…
「ドロシーさん?どうしたんですか?私の顔に何か付いてますか?」
「い、いやなんでもない!なんでもないぞ!」
「? それなら良いんですけど…。あっそろそろ姫様達が帰ってくる時間です!」
「おっともうそんな時間か。 部屋の片づけは私がやっておくからベアトはみんなを迎えに行ってあげてくれ。」
「はい!それじゃあドロシーさんお願いしますね!」
そう言ってトテトテと走っていく小さく可愛らしい友人の背中を見届けた。こんな日がずっと続けば良いのに。
終わり。
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