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『アドリアン・イングリッシュ』シリーズ

今更ですが・・・
GWに、Allieさまのnoteで紹介されているBLミステリー小説を読みました。
昼起きる→ご飯→アドリアン→お風呂→アドリアン→朝4時に寝るLoop・・・
駄目な大人の生活を心ゆくまで堪能しましたー
途中、掃除・洗濯・相方の世話も挟みましたが、GWの4・5・6日は、概ねアドリアンでした。

舞台はLA。
殺人事件にくるりくるりと巻き込まれちゃう主人公のアドリアン(職業:本屋、ミステリー作家、時々シロウト探偵)が、あまりの脆弱さ(リウマチ熱後遺症の僧帽弁狭窄症)に何度も死にかけつつも大活躍する物語。
ミステリーとして面白く、翻訳も違和感なく、BLにあまり免疫がない私でもサクサクと読めました。

何処ら辺がBLかと申しますと・・・(ネタバレ含んでいるいるかもです)
まず、アドリアンがモンゴメリー・クリフト似のゲイです。いかにもです。
私の頭の中では、青い目のベン・ウィショーに好都合変換されております。

そしてロマンスのお相手が、百目鬼君と同じ全長190(ムダ情報)のジェイク。
「女は好きだ。ただ、男の方がもっと好きだというだけだ」と言い、そんな
自分に「出口のない強烈な自己嫌悪」を抱き、ゲイ(バイか?)であることをひた隠しにして暮らす、「タフで顔も頭もいい」殺人課の刑事さんです。
SMもたしなむ懐の深い人です。

この様なジャンルのノベル自体が初めてでしたが・・・
なんて面白いんだろうー! Allieさま、ご馳走をありがとうございますー

ナンというか、臓器でいうと(え?) 心臓にクる小説 です。


一.心不全気味で苦しい

心臓がばくばくと暴走を始める。
僕は何か、奇妙な声を絞り出して、体を前に倒した。鳴りひびく心臓がエイリアンのように胸を食い破って出てきそうで、それを押さえこもうとするように両腕で体を抱く。          2巻『死者の囁き』抜粋

恐ろしい夢を見て、目覚めた直後のアドリアンの病態描写。
随所に持病で心臓が暴れだし潰れそうになる描写があり、息苦しくなって、
一時本から目を離して深呼吸したくなります=3
私が不整脈病みだからでしょうか? 活劇のテンポが脈拍とリンクして、たまらなくスリリングなのです。


二.せつなさで心臓がきゅぅぅ~となる

両思いです、即お付き合いです、幸せに同居しちゃってます、周囲も温かく見守ってくれてます!という、お気楽なストーリー展開ではない・・・

「俺とお前の間にあったのは肉体関係だけじゃない。俺たちの間には友情もあった。わからないのか?お前だけが、この世で、俺が心から正直になれた相手だったんだ」            4巻『海賊王の死』抜粋

性的にマイノリティであることを隠して生きるジェイクの告白。自分にとってアドリアンは特別な存在であると自覚し、どうにかつなぎ止めようとしますが・・・“普通”の生活も捨てられない。

ジェイクの苦悩はホント身につまされます。理性的な大人として苦渋の決別、その後の逃がした魚が大きすぎて途方に暮れる42歳・・・
痛いほど解るぞ、ジェイク!
40過ぎるとシガラミばっちりで、感じるままに生きられんこともしばしば・・・ましてや今更カミングアウトで社会的信用を失うなんて・・・怖すぎる!

アメリカのゲイ事情は「Philadelphia(1993)」「American Beauty(1999)」
「Brokeback Mountain(2005)」などを観て、こういう映画が作られるってことが、つまりシビアな世界なんだなぁ~と考えさせられました。
ずいぶん昔の話ですが。

ふと僕は、無意識のところで心に引っかかっていたものに気付く。
―中略― ジェイクからは・・・・・・前と、違う匂いがした。知らない相手のような。他人のような。 
当たり前だ、他人なのだ。だからだ。     4巻『海賊王の死』抜粋

アドリアンはジェイクがまとう匂いの変化から、彼が既に自分の知らない人生を生きる遠い存在になっていることに気付き、“もとより他人だったじゃないか”と、すべては自分の勘違いだったことにしようとします。
実は、それくらいジェイクに執着しているからなのでしょうが。

16歳からずっと弱った心臓に振り回され(その上マイノリティだし)、人生に期待することを抑圧してきたアドリアン。それが35歳になった今では人間関係にまで波及して、そつはないが何処か醒めている。
殺人事件の調査の時は、粘り強く積極的なのにねぇ。

大人の(男の)ラブロマンスに胸がきゅぅぅっとなります。

ぁ、カテコラミン放出で心臓の血管が縮んどる・・・と、アタマの片隅で思いながらも、切ない描写に息を詰めて涙ぐんだりします。
なかなか心筋にはストレスフルな状態ですが、これが癖になりそー。

ともあれ、オッサン2人の恋を
「ジェイク・・・簡単なことだろう?好きだって言っちまえ!」
「泣け!そこで泣けばジェイクは落ちるぞ、アドリアン!」と、応援せずにはいられないのです。

あと1巻の発行を待ち、全5巻でシリーズ終了とか。
三浦しをんさんの解説からですが、次巻を読むまでウッカリ「不慮の事故で死んだりしないよう、車に気をつけて歩こうと私は決意しました。」

追記

ジェイク・リオーダン 候補
1.Paul Bettany :191cm、43歳、イングランド
 もう少し逞しくなれば・・・
 しかし、なんとな~く下の人の雰囲気が否めない。

★2.Kevin McKidd :183cm、41歳、スコットランド
 Allieさんの見立てはど真ん中です!
 この写真を見て「ぁ・・・ジェイクだ・・・」と思いました。






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