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ヘッドハンター名鑑vol.1

※掲載内容(プロフィール等を含む)は取材当時のものです。

【山中佑介氏 プロフィール】
株式会社北洋銀行に入行。長年、融資など企業取引の最前線で企業のニーズに対応。
2018年4月に株式会社日本人材機構と北洋銀行が共同出資して設立した北海道共創パートナーズ(2017年9月設立)に出向。以降コンサルティング業務に従事し、2019年5月から人材紹介業務を担当、現在に至る。

インタビュー

Q. 新型コロナウイルス感染症の拡大による、ご自身の業務などへの影響はいかがでしょうか。山中様ご自身の業務への影響や心境の変化はありますか

私どもは北洋銀行の完全子会社という立ち位置(2020年4月以降)で、お客様のご紹介もほとんどが親会社からになります。今のような情勢ですので、「資金繰り」に多くのお客様の関心が寄せられていると感じています。そのため、人材の採用に考えが及ぶ経営者の方が多いかというと、なかなかそうはいかない状況ではありますね。

――新型コロナウイルス感染症の拡大以前との違いはお感じになりますか。 

企業様の置かれているフェーズによって全く異なりますね。
IPO(株式公開)を目指しているような新興企業様ですと、人材採用という点で引き続き動かれていますし、他の人材紹介会社とバッティングするケースもありました。

一方で事業の再生局面を迎え、資金繰りや資金調達といったところに苦慮されている企業様ですと、抜本的な事業の改善といったご相談をいただくこともあります。
ですので、現在のような情勢で、どこかの業界が著しく成長しているという印象はなく、企業体力が一定程度ある企業様が、今後の事業展開で必要とされる人材に目を向けているような印象はあります。

――企業様の採用に関する変化は見られましたか。 

そもそも北海道は、大手の人材紹介会社もサービスを提供しているものの、多くの経営者の方にしてみれば「プロフェッショナルな人材を採用するツールとしての人材紹介」という認知度は高いとは言えないと感じています。 
私どもの会社が2017年に設立されて以降は、その認知度を高めるため、啓発も含めた活動を行ってきたというのが正しい言い方かもしれません。

もちろん、既に中堅・大手企業様の中にはヘッドハンティング会社を活用する動きは出てきてはいますが、「雇用」だけにとどまらず「プロフェッショナル人材の活用」という選択肢もあるということを、より啓発していく余地が、まだまだあると感じています。 

――啓発とは、具体的にはどういったことをされるのでしょうか。 

企業様のお悩みの解決手法というのは数多くあると考えています。

私どもの場合、人材紹介部門とコンサルティング部門があるので、人材採用という手段が有用であるのか、あるいは第三者として課題解決に取り組むことが有用であるのかを、お客様としっかり議論して、何が最適解かを探っていきます。

人材の募集だけを依頼していただいても、深掘りをするなかで企業様の組織的な別の問題や課題が浮き彫りになれば、その解決を先んじる形で、コンサルティング部門でサポートする場合もありますし、その逆も当然あります。とにかく経営者とひざを突き合わせてしっかりと会話をすることです。 

――銀行の子会社とのことですが、それゆえの強みはありますか。 

そういう点では、昨今増えている一般的な人材紹介会社とは一線を画す形で、コンサルティングやM&A(合併・買収)の機能も持っており、お客様のお悩みにはワンストップで対応することができます。経営に必要な「ヒト・モノ・カネ」という要素のうち、銀行は「カネ」という要素について他社と比べて圧倒的な情報を持っています。もちろん信頼関係があってこそですが、真のパートナーとしてお付き合いしていける、こういった土台があることが最大の強みだと考えています。

Q. 今後の地方創生について

――今回のコロナ禍にかかわらず、地方創生に重要なことは何でしょうか。 

地方創生という点で、銀行が担える領域は非常に多いと考えています。
その一方、蓄積された情報などが最大限には活用できていない印象を持っています。

個人情報を扱う最たる業種として、これまでは「攻め」というより「守り」のビジネスモデルが根付いています。
そこを打破し、情報活用を進めていくのであれば、銀行ひいては銀行グループがより主導的に地方創生を進めていけるのだと考えています。 

――地方創生がうまくいく地域の特徴といったものはありますか。 

とても重要な要素は、「対面」ですね。
小さなコミュニティーだからこそ「対面」でのコミュニケーションができ、地方創生がうまくいきやすいのだと思っています。

Webで対応できることはありますが、双方への信頼が重要となりますし、例えばIターン転職では、今までその土地に住んだことがない方が来られるわけですから、その街のことだけでなく住み心地や文化に加え、小さな街であれば大企業を軸に経済が成り立っているような状況など、求人の説明だけに終始せず、銀行が持つ情報を役立てる場面も多々ありますね。

Q. 自身の業務で大切にしていること

――この業界に入られたきっかけは何でしょうか。 

もともと北洋銀行に入行し、現在は出向という立場です。
この取り組みが始まると知ったときに、とても価値がある仕事だと感じましたし、銀行の従来のモデルに対する不安もあったので、立ち上げメンバーだった元上司に話を聞けたことが大きかったですね。

出向直後は、職種の理解が乏しく難しさを感じました。銀行にいた時にもお客様それぞれにあるさまざまな役職などのポジションは耳にしていましたが、具体的な実務面にまで広げたイメージができていなかったので、この仕事を通じて職種についての理解が進み、業務の幅が広がりました。 

――お仕事をされるなかで、一気に景色が変わったタイミングはありますか。

求職者の方とのコミュニケーションは初めてだったので、とにかく「丁寧に」を心がけていましたね。真摯に相手と向き合い、丁寧にお話を聞くということを実践しています。

採用を考えている企業の経営者の方と相対するなかでは、コンサルティングの視点で対話しているので、耳が痛いことも言わなければならないケースもあります。

一方で求職者の方に関しても、客観的な立場から時には厳しい意見を申し上げることもありますが、やはり一人の人生に関わることになるので、「どうすればその方は幸せになるか」に重きを置いたうえで、その人に合った仕事をご紹介できるようになった時ですね。

次回のヘッドハンター名鑑vol.2は、2020年8月24日(月)公開予定です。


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