ヘッドハンター名鑑vol.31
※掲載内容(プロフィール等を含む)は取材当時のものです。
今回は、株式会社エーテン・アソシエイツ・ジャパンの河田格様へインタビューを実施いたしました。
河田氏は、厳しい金融の世界を経て人材業界に入られたヘッドハンターで、クライアント企業との強固なネットワークを背景とした業務理解力に強みを持っています。求職者に対しては、長期間にわたってサポートするスタンスを貫かれており、若手から中堅まで、幅広い層の方々との日々の対話を大切にされています。
活躍する現役ヘッドハンターへのインタビュー記事をぜひご覧ください。
【河田格氏 プロフィール】
大学を卒業後、日系の銀行を経て、日本政策投資銀行に入行。大手スーパーマーケットの再生、電力会社の再生等に主体的立場で関与。審査部次長、DBJ証券取締役を歴任した後、株式会社エーテン・アソシエイツ・ジャパンにパートナーとして参画。
投資銀行部門における25年以上に及ぶ経験を生かし、IBD、アセットマネジメント、PEファンド、FAS、大手金融機関(政府系含む)に強みを持つ。
早稲田大学大学院修士課程修了。
インタビュー
Q. 仕事をするうえで大切にしていることは何でしょうか。
金融業界から人材業界へ転職されたきっかけがあればお聞かせください。
きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、「求職者ファースト」であることを大切にしています。転職活動はとても孤独なものだと思うんですよね。金融業界では30歳前後で転職を検討される方が多く、同僚はもちろんのこと、友人や先輩であっても真の相談ができる方を見つけることはなかなか難しいものです。相談された側も、「自分の考えを尊重すべきだ」と考えあまりアドバイスはしないという方や、「人の人生にどこまで口を出してよいものなのか」と悩まれる方などが多くいらっしゃるのではと思います。
ですので、私は転職やキャリアの専門家、そして人生の先輩として求職者に可能な限り寄り添い、決してこちらの都合で誘導するような仕事をしないように心がけています。
次に私が人材業界に転職したきっかけですが、最初からこの業界を検討していたわけではありません。
金融業界にいた当時から今の仕事は50歳になるまでと決めていたこともあり、転職活動をするなかで最終的にこの業界にたどり着きました。
また、この業界を選んだのは、私自身の転職活動中の実体験が影響しています。転職活動をしていた際に人材紹介会社をいくつか利用したのですが、本当の意味での相談相手が見つからず、自身のネットワークを駆使したほうが、得られる情報がはるかに多かったんです。
このような体験から、「きっと世の中には私のように思っている人がいる」「長年にわたる金融業界での経験を生かせば競争優位性があるかもしれない」と思い、結果的に人材業界を選びました。
Q. 金融業界で採用に成功する求人企業の特徴をお聞かせください。
ヘッドハンターをうまく活用できている企業は、採用に成功していると思います。
私はほかのヘッドハンターの方々と比較すると、恐らくクライアント企業とのミーティングに時間をかけているほうだと思うんですよね。なぜならば、その時間を大切にしているからです。ミーティングでは、言葉では表しきれない思いまでもくみ取るように努め、誠実に誠意をもって対応するように心がけています。
正直に正しいことを伝えることが重要で、考えを改めなくてはうまくいかない採用に関しては、その理由をお伝えしたうえで、どうしたら実現できるかというご提案をするようにしています。
そうすることでクライアント企業側も誠実に誠意をもって対応してくださり、良好な関係が築けて採用もうまくいくケースが多いように感じます。
Q. 金融業界で転職に成功する求職者の特徴をお聞かせください。
まず前提として、金融業界はほかの業界と体質が異なり金融業界内での転職がほとんどです。ほかの業界から金融業界へ転職される方も中にはいらっしゃいますが、多くは会計などの専門性の高いスキルをお持ちで、ご活躍が期待できる方といった印象です。
転職活動がうまくいく求職者の特徴は、採用に成功する求人企業の特徴と同様、ヘッドハンターをうまく使っている方だと思います。もっといえば、求職者とヘッドハンターがウィンウィンの関係にあることを理解できている方ほど、うまくいくケースが多いように感じます。信頼し合えるヘッドハンターを見つけ出し、自身のおかれている状況や考えについて腹を割って伝え、一緒に戦っていくことができれば、大抵の場合、転職活動は順調に進むのではないかと思います。
逆に転職活動に苦戦されるタイプは、情報収集の手段のためだけにヘッドハンターを利用している方です。
複数のヘッドハンターと接点を持ち、知りたいマーケット情報を入手するだけでは、一部のスーパーエリートを除き、転職活動はなかなかうまくいかないと思います。先ほども述べた通り、自身のおかれている状況や考えについて腹を割って話すことによってヘッドハンターから得られるアドバイスもあります。
知りたいことだけを一方的に聞かれるという関係ではその方を正しく理解できず、その方に必要な支援(アドバイス)ができないからです。
ヘッドハンターも人間なので、しっかりとお聞きしないと理解するのは難しいと思います。
Q. 金融業界で転職活動をされている方へアドバイスをお願いします。
個人的な意見ではありますが、一つの会社に長くいるとその会社内でのバリューは高まりますが、対社外でのバリューは低くなる反比例の関係性があると思います。その企業での専門性がほかの企業で活用できるかと問われると、多くのケースで「ノー」と答えざるを得ないですね。
転職する・しないにかかわらず、業界内での基礎体力がつく30歳くらいのタイミングで一度、自身のキャリアを棚卸しすることをお勧めします。一金融機関のプロになりたいのか、業界内のどこでも通用するプロになりたいのか、考えてみていただければと思っています。
もし自身で棚卸しができずキャリア像が描けないのであれば、ぜひヘッドハンターを頼ってほしいですね。
Q. 最後に、この仕事をしていて喜びや楽しみを感じるのはどのような時ですか。
人と話すことが好きなので、日々楽しみながら仕事をしています。人と話すことにより「世の中の人がこういうふうに考えているんだ」ということが蓄積できるので、自身の学びにもつながり、楽しいなと思うんですよね。私自身、金融業界出身で知っていることも多いのですが、常に最新の情報へとアップデートすることを心がけています。そういった面でクライアント企業や求職者との会話は重要で、現場にいる方から伺う情報はとても貴重です。
すべてのことがヘッドハンターとしての仕事につながり、採用成功や転職成功へと導いてくれるので、今後も人との会話を大切にしてベストな支援ができるように取り組んでいきたいと思っています。
次回は、2021年10月28日(木)公開予定です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?