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ヘッドハンター名鑑vol.18

※掲載内容(プロフィール等を含む)は取材当時のものです。

今回は、パーソルキャリア株式会社の加藤寿子氏へインタビューを実施いたしました。
加藤氏は、クライアント企業から「人材業界経験での経験が長く、幅広い業界知見があるのでさまざまな採用の相談ができる」と言われるそうです。
活躍する現役ヘッドハンターへのインタビュー記事をぜひご覧ください。

【加藤寿子氏 プロフィール】
学習院大学を卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。人材紹介(DODA)の法人営業を8年経験、500名以上の転職を支援。その後、人事部門でのリクルーター経験を経て、2016年より、エグゼクティブエージェントサービスに従事。人材・教育業界を中心としたベンチャーから大手までさまざまなフェーズの企業を支援。個人・法人に「最適な選択」を提供し「楽しんで働く人」を増やすことを目標に人材業に従事している。

インタビュー

Q. 新卒から現在の会社でご活躍されていますが、人材業界を選んだ理由をお聞かせください。

就職活動をしていた頃から人材業界に思い入れがあり、今まで以上に業界全体をよくしていきたいと思ったのが、選んだ理由に挙げられます。
私が就職活動をしていた頃は、リーマン・ショックの前で人材業界がブームになっており、新卒採用も積極的に行っているような時代でした。
そしてその数年後にリーマン・ショックが起こり、人材業界も不況のあおりを受けてしまいますが、そういった思いがあったからこそ、現在に至るまで長く続けてこられたような気がします。
現在、私が担当するクライアント企業は人材・教育業界の企業が多く、本来であれば競合企業にあたるわけですが、業界全体をよくしていきたいという当初からの思いもあり、力を入れて取り組んでいますね。

――新卒入社をしてから現在に至るまで、業界の変化を感じることはありますか。
一昔前は35歳転職限界説が謳われていたりもしましたが、やはり人材紹介会社の在り方やクライアント企業の人材要件は変わったと思います。
人材紹介会社でいえば、クライアント企業からの求人オーダーに対して、未経験者を大量にあてがうような情報の横流しビジネスではなく、双方にとっての最適なマッチングを支援する形に変わってきていると思います。また、そのように人材紹介会社の介入の仕方が変わったことが、世の中の「働く」を取り巻く環境そのものの変化につながったと考えています。
ほかにも、40代や50代での転職も一般的になったり、働き方に関して副業・兼業を認めるような企業が増えてきたりもしています。このような「多様な働き方」が広がった背景には、人材紹介会社の取り組みが少なからず寄与しているのではないかと思います。
今後も私たち人材紹介会社が介在価値を発揮し、新しいサービスをつくり、クライアント企業に提案していくことが大切ではないかと思います。
そのためには私たち人材紹介会社が、同じ業界内で活躍されている方だけではなく、異業種で活躍されている方を迎え入れるといったことも大切だと考えています。

Q. ヘッドハンターとして気を付けていること、心がけていることはありますか。

クライアント企業、候補者の双方に対して、多様性のある働き方を支援していきたいと思っています。
クライアント企業の「この方の知恵を限定的にお借りしたい」「自社にいないような人材を迎え入れてみたい」といった考えから、業務委託をはじめ、副業・兼業などの今までになかった働き方を自社に取り入れるケースが増えてきていますし、必要があれば、こちらからご提案をさせていただくこともあります。
例えばDX(デジタルトランスフォーメーション)人材は現在希少で、転職市場にも候補者が少ない状況のため、クライアント企業も兼業などを認める流れになっています。
ですので、私はクライアント企業や候補者からの要望に対して、どのような働き方がベストな形なのかを考え、双方に提案することを心がけていますし、そういった決定事例づくりにも積極的に取り組み、また別のクライアント企業へのご提案につなげています。

Q. 働き方の多様化が進むなかで活躍し続ける人材でいるためには、どのようなキャリア形成が必要だと思いますか。また、どういった方が求められる時代だと思いますか。

雇用の在り方が変わっていくなかで、この会社のこの事業に関わっていたら、こういったキャリア形成(経験)ができるというモデルケースは崩れてきており、自分自身がどのようにキャリアを描いていきたいのかが大切になってくると思います。そうでないとただ流れるまま、気づいたときには違う方向に進んでしまっているということにもなりかねません。そうならないためにも、常に自身のキャリアを「棚卸し」しつつ、方向修正をしたり、どうつくっていくのかを考えたりしていかないとダメな時代になってきていると思います。
自身のキャリアを自由に描けるような時代になったからこそ、例えばやりたいことが2つあれば、2つとも実現できるような環境も生まれています。
キャリアを考え、それに向かって行動できる人材が、これからの時代に求められるのではないかと思います。

Q. 自分自身の力ではキャリアの棚卸しが進まないという方もいらっしゃるかと思います。
そういった方に対して、ヘッドハンターとしてアドバイスはありますか。

実際にキャリアの棚卸しのためにヘッドハンター(人材紹介会社)を利用される方もいらっしゃいますので、そういった手段としてヘッドハンターを頼るのもよいと思います。
活躍されている方から「キャリアの棚卸しができないです」とご相談いただくことも多いので、自身の内省や気づきを目的としてヘッドハンターを利用するのも一つの手ではないでしょうか。
なかには転職を前提としていない方からご相談を受けることもあり、その場合は、今すぐにではなく先々を見通したご相談からスタートし、後々の転職活動でご支援させていただいています。

Q. 最近の印象に残ったエピソードがあればお聞かせください。

ご支援が難しいなと思っていたクライアント企業で採用決定したエピソードです。そのクライアント企業は上場前でサービスの知名度がなく、特段優れた商材があるという状況ではありませんでした。
ビジネスモデルに優位性はあるものの成長段階ということもあり、どうしたら候補者に興味を持ってもらえるか、クライアント企業と候補者の接点をどうつくっていくかが重要だと思いました。
過去に、社長のビジョンや思い、人柄に共感されてご入社に至った事例があったため、今回も業界を問わずそれらに共感していただけそうな方をご紹介し、結果的に他業界から役員クラスの方を迎え入れることができました。
以前の決定事例をもとに、スキルマッチだけではなく、志向性マッチ(カルチャーフィット)が再現できたエピソードで印象に残っています。

Q. 2021年の抱負をお聞かせください。

「経営者のパートナー」になることを目標にしているので、今まで以上にサービスの向上を図っていきたいと思っています。
私自身、人材紹介領域では若年層を担当していた期間が長いのですが、そのころは採用人数などをKPI指標にしてより多くの候補者を集められるようなご支援をしていました。現在はハイクラス層を担当するようになり、クライアント企業が異なるのはもちろん、担当の企業数も異なります。より経営課題に踏み込んで、顕在化した課題だけではなく潜在的な課題もこちらから掘り起こして提案することを心がけています。
「加藤さんだからお願いしたい」という声を少しずついただくようになりましたが、その言葉に満足するのではなく、提案力やコンサルティング力に磨きをかけていく1年にしたいです。

--「加藤さんだからお願いしたい」と言われるようになった背景には、どのようなきっかけや取り組みがあったと思われますか? ターニングポイントがあれば教えてください。
経営者に直接お会いする時間をいただいたにもかかわらず、採用が難しい案件でご期待にお応えできず、悔しい思いをしたことがあります。
その際、期待にお応えできなかったからといって引いてしまったら、せっかく持つことができた接点をなくしてしまうのではないかと思ったんです。
そのため、一度接点を持ったクライアント企業の経営者様とは定期的にコミュニケーションを取るようにしています。そうすることで、クライアント企業の抱える経営課題や、どういった人材が今必要なのかが見えてくるようになりました。
そのほかに、ご紹介に苦戦している場合は、なぜ苦戦しているのか、包み隠さずお伝えし、クライアント企業との認識合わせや情報共有を密に行っています。
そういった私の姿勢や取り組みの積み重ねが「加藤さんだからお願いしたい」というお声につながったのだと思います。

Q. 加藤様にとって「ヘッドハンターの介在価値」とは何でしょうか。

ヘッドハンターの介在価値は、クライアント企業も候補者も自分自身には見えていない可能性を可視化して(引き出して)、マッチングさせることにあると思います。
例えば、優秀な候補者でも「自身に何ができるのか」「何がしたいのか」「どんな可能性があるのか」が見えていないとご相談を受けることがあります。
そういった見えない未来の可能性を引き出したうえで、クライアント企業とマッチングさせていくことが、ヘッドハンターとしての介在価値だと思います。

次回のヘッドハンター名鑑vol.19は、2021年4月16日(金)公開予定です。


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