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ヘッドハンター名鑑vol.14

※掲載内容(プロフィール等を含む)は取材当時のものです。

今回は、株式会社ビズリーチ主催の「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2018」にてメーカー部門でMVPを受賞された、株式会社メイテックネクストの山田英二氏へインタビューを実施いたしました。
山田氏は、技術立国日本の再興のため、1社でも多くの企業の経営課題の解決に寄与し、1人でも多くのエンジニアのキャリアアップをサポートしたいという熱い思いをお持ちの方でした。
活躍する現役ヘッドハンターへのインタビュー記事をぜひご覧ください。

【山田英二氏 プロフィール】
証券会社にて金融法人営業、IPO営業などを経験。その後、大手の人材紹介会社を経て株式会社メイテックネクストの立ち上げにマネジメントとして参画、現在に至る。大手企業から創業期のスタートアップ企業まで、さまざまな企業とのリレーションあり。テック系企業におけるCxO、上級管理職含め、研究開発、設計開発、生産技術等の技術系案件に精通。

インタビュー

Q. 緊急事態宣言が続いておりますが、メーカー業界のマーケットに対する所感や予想などがあればお聞かせください。

弊社のクライアント企業の多くが製造業(メーカー)で、実は製造業自体の求人は、米中摩擦などの影響もあり2019年秋ごろから減少傾向にありました。そこに新型コロナウイルス感染症(以下:コロナ)の流行が起こり、さらに減少が加速したなと感じています。
先が読めないために、とりあえず求人(採用)を止めるという動きが起こり、ようやく復活してきたのは2020年夏ごろからと感じています。求人が夏から増えてきた理由は、産業構造の変化が進むなか、経営者が何もしないことのリスクを感じ始めたからです。つまり今の状況は当分続くと考え、だからこそ採用をしないとダメだという気持ちに変化したことが挙げられます。求人も次を見据えた案件が多く、DX人材を求める企業様が増えたほか、自社にいないような人材を採用したいと、手探りしながらも前に進んでいる企業様が多い印象です。
コロナの影響だけで変わったとは言い切れませんが、コロナが経営者のマインドチェンジを後押ししたように感じます。

Q. 変革の時代に求められる人物像などがあればお聞かせください。

世の中や置かれている環境が変わっていくなかで、自らも変わっていく姿勢、また、自分に足りないものや、今後求められるスキルやキャリアなどを考えて、常に努力をしているような方だと思います。

また、ビズリーチの会員は「自身の市場価値を知りたい」「キャリアパスをどうしたらよいか」とご相談ベースでお越しいただく方もおり、必ずしも最初から転職を考えている方だけではないですね。このように、自分自身を客観視して将来を考える姿勢は大事なことで、私はそういった相談でも構わないと思っています。
初めてお会いしてから1~2年たって転職に踏み切るという方もいますので、気軽に相談しやすい存在でいたいと思います。

Q. (「アフターコロナ」を見据えて)ヘッドハンターの仕事にも変化の兆しはありますか?

ヘッドハンティング業が正しい姿になっていくのではないかと感じています。
ここ10年くらい、人材紹介業全体としてみれば、仕組みがあればある程度活躍できる環境だったと思います。個の力より組織の力がより大きかったのかもしれません。
ところが、採用手法も多様化し、既に競合は同業のみではありません。そもそも自社でダイレクトに採用ができるという企業様も増えています。この流れはますます加速するでしょう。
一方で、コロナの流行により働く人の環境の変化や、市場の変化を見据えた採用が必須となり、よりピンポイントの採用も増えています。となると、当然ながら採用難度もあがることから、そのような場面においてヘッドハンターが介在価値を発揮しやすい状況になると思います。
そして介在価値を発揮できるヘッドハンターとは、日頃から企業様と信頼関係の構築ができていて、依頼先としてぱっと名前が浮かぶ存在になっているか、ではないでしょうか。

Q. 山田様が企業様や候補者の方に対して意識されている介在価値とはどういったものでしょうか。
心がけていることがあればお聞かせください。

まず企業様に関しては、経営層やそこに近い方にお会いするようにしています。なぜならば経営課題をしっかり理解していないと正しいマッチングができないと思うからです。そこから具体的なミッション、課題解決に求められるスキルや人物像を徹底して伺うようにしています。
次に候補者の方に関しては、ご本人が大切にされていることや、志向性、現職でどのような活躍をされているかをお聞きするようにしています。例えばどういった仕事にワクワクするのか、活躍された場面だけではなく、失敗された場面も伺うようにしています。つまり候補者の方の仕事における価値観を知ることが一番大切だと思うのです。
そして企業理解と候補者理解をかけ算することで、候補者の方の入社後の活躍イメージが見えてきたとき、結果的にご入社に至るケースが多いです。
これが私のこだわっているポイントになります。

Q. 若手ヘッドハンターへのメッセージをお願いします。

私は仕事を通じて気づいたことを弊社の若手に伝えるようにしており、そこでも話している内容ですが「自分でなければならない仕事」をしてほしいと思います。
私は徹底して相手に食らいつき、表層的ではなくとことん相手を理解するように取り組んできました。
職務経歴書と求人のデジタルなマッチングは誰でもできますし、もしかしたら全てAIで事足りる世の中が来るかもしれません。
ですから、本質を理解したうえでのマッチングを目指してほしいですね。
結果として、「自分が紹介したからクライアント企業も経営課題を解決でき、また、候補者の方は一層の活躍の場を得たのだ」ということ、つまり自分だからできたのだということに喜びを感じてほしいです。決して、紹介してフィーを頂いて、それで終わりという仕事ではありません。その先が大事なのです。ぜひ、この仕事の重要性に自信と誇りを持って取り組んでもらいたいです。

Q. 候補者の方をより理解するためにしていることはありますでしょうか?

ご本人のエピソード(転職の動機、相談に来た動機)を掘り下げていくようにしています。
とにかく傾聴することを心がけています。一方的に質問攻めにするのではなく、会話のキャッチボールをしながら、場合によっては「この理解であっていますか」と確認するようにしています。また、同調しつつ安心感を与え、信頼関係を築いたうえで違うかなと思うことはお伝えしています。つまり相互が信頼しあえる対等な協働関係を構築できるかが重要です。
ですので、その方を思ってベストな話ができるようにしていますし、転職はもう少し待ったほうがよい場合は、そのこともお伝えするようにしています。

Q. 日々大切にしていることがあれば教えてください。

「変化に対応せよ」ですね。
常に世の中は変わり続けるものだから、自分自身も変わり続ける努力を怠らずに日々取り組んでいます。

――変わっていくためにどのようなインプットされていますか。
常に世の中の動向や最新の情報を把握するようにしています。月に3~4冊の読書を心がけ、各種メディア等はできるだけ目を通します。しかし、一番重要なのは企業の経営陣や候補者の方から教えていただく生の情報です。会話をする際はアンテナをはるように意識していますね。

Q. 企業や候補者に関するエピソードをお聞かせください。

とある一部上場のメーカーからご依頼いただいた案件です。長年CEOを務められた方が退任され、新CEOへ引き継がれたのですが、新CEOが掲げたテーマが「組織体制の改革を実施し、グローバル市場対応型事業会社へ移行する」でした。その一つとして研究所を新設する構想があったのですが、その研究所の所長候補を紹介してほしいという話を受けました。
当初は人事担当役員が窓口でしたが、どのような人材が本当に必要なのか、新CEOに直接伺わせてほしいとお願いし、直接お聞きする機会をいただきました。
経営トップから直接話を伺うことで、経営課題や求めるスキル、人物像が見え、企業様のご要望にぴったりの方を思い浮かべることができ、早速、その方にご紹介したところ、既にほかの人材紹介会社から応募されていることが判明し、弊社からの応募には至らなかったという、残念なオチでしたね。
ですが、その後もその方から連絡があり、「応募した人材紹介会社からの情報提供がなく困っています。応募企業に関して教えていただけませんか」とご相談を受け、少々迷いましたがこちらが知っている限りの情報を提供させていただきました。この方が入社すれば必ずこの採用プロジェクトは成功するという確信があったからです。もちろん、入社された折には脇を固めるコア人材の紹介依頼を弊社に優先的に頂くことはお願いさせていただきました。
結果的にその方がご入社に至り、後にご本人からもお礼のご報告を受けた次第です。
もちろんその後、約束どおり優先的に紹介依頼をいただき、複数名のコア人材をご紹介しました。
現在も経営のパートナーとして良好な関係性を保ち続けています。

勘違いしていただきたくないのは、決して私は「お人よし」ではありません。ただ、このケースにおいては、クライアント企業様、候補者の方の双方にとってベストな選択は何かを考え、このような判断を下しました。結果として、お互いの信頼関係を一層強固にすることができ、より多くの果実を得ることができたというエピソードです。

次回のヘッドハンター名鑑vol.15は、2021年2月26日(金)公開予定です。


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