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UNDER 30 MATCHING AWARDS 2020 総評議会レポート

※掲載内容(プロフィール等を含む)は公開当時のものです。

今回は、株式会社ビズリーチが開催した「UNDER 30 MATCHING AWARDS 2020」において、審査員であるヘッドハンターの方々を含めて行われた総評議会の模様をレポートいたします。

UNDER 30 MATCHING AWARDS 2020の最終選考に進まれた5名の方のなかでも、事前審査における総合得点が上位の3名の「仕事」に関して、同業者である審査員の方がどのようなポイントを評価されていたか、また「ヘッドハンターという仕事」の本質的な部分なども語られていますので、ぜひ最後までご覧ください。

U30 トロフィー1

写真:2020年度 UNDER 30 MATCHING AWARDS のトロフィー

審査員:
KANAEアソシエイツ株式会社 阪部 哲也 氏
株式会社プロフェッショナルバンク 中村 靖史 氏
株式会社フューチャーリンク 松井 健治 氏
運営事務局:
株式会社ビズリーチ エグゼクティブサーチサポート部 

【FIX】U30運営事務局メンバー

ベストマッチング賞の決定

小倉 啓太(以下、小倉):
では、お時間になりましたので始めさせていただきます。
UNDER 30 MATCHING AWARDS(以下、U30)の記念すべき第1回開催にあたり、阪部様、松井様、中村様におかれましては、最終審査員をお引き受けいただき、ありがとうございます。
お三方のほかに最終審査員をお引き受けいただいたお二方の評価も含めて、最終審査の集計が完了しております。
本日はこれより総評議会として、最終審査の集計結果をもとに皆様からご意見を頂戴できればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

一同:
よろしくお願いします。

小倉:
既に皆様には、個別で最終選考に残られた5名の方々の審査を実施いただいております。合計の得点を並べてみますと、株式会社SIECの佐原亨様と株式会社マイナビワークスの間嶋憲太様が僅差となり、審査員の皆様の間でもご意見が割れているようですので、まずはお二人について議論できればと思います。

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株式会社SIEC 佐原 亨 様の事例:
一般的に人材紹介業のなかでは難しいとされる海外企業案件でありながら、クライアントの課題解決のため、制度の改革や採用ブランディングの向上にも踏み込み、60代のシニア採用を実現。

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株式会社マイナビワークス 間嶋 憲太 様の事例:
ヘッドハンターとしての基礎力向上のため、エンジニアとのネットワークを生かし日々インプットを行う。その専門知識を生かし、求職者の選択軸を明確に引き出し、高度なマッチングを実現。


阪部 哲也 氏(以下、阪部):
私は、間嶋様を推させていただいています。
クライアント企業、求職者それぞれに対する関わり方のレベルが非常に高いですね。将来的には「ヘッドハンター・オブ・ザ・イヤー」の受賞を目指してほしいとも思います。

採用担当だけでなく、さまざまな業界、規模の企業40社の現場エンジニアと意見交換を続け、開発言語や新技術に対するインプットにも余念がなく、得た情報を常に体系化・言語化しているという点が非常に良いと思いました。
特に成長著しいSaaS系の企業群においては、取引がある企業訪問に全て同行して、「どの志向性の求職者でもあらゆる角度で魅力づけできる域まで達している」とご本人に断言されると、もはやすがすがしいものを感じます。

今回ご応募いただいたクライアント企業の実績においても、クライアント企業の社員と同等の情報量を持つ一連の取り組みが徹底されていて、紹介に大きく貢献している点がとても優れています。求職者の選択軸を明確に引き出せており、エンジニア特有の専門知識がないと難しいマッチングにおいて高い付加価値を発揮され、クライアント企業が採用したい人物像との架け橋を的確にかけることができています。

また、求職者にも関心に関心をよせ、一緒に選択肢を吟味する姿勢が良かった。エネルギーや情熱もあり、クライアント企業を動かすパーソナルパワーはもちろんのこと、求職者に対するサポートもバランスがよく、レベルが高いと感じ「素晴らしい!」の言葉に尽きるものがありました。

池野 広一(以下、池野):
間嶋様と佐原様の評価を比較すると、間嶋様は「成果の再現性」が高く評価されていて、佐原様は「課題設定」が高く評価されていますね。これらの審査基準も踏まえてコメントをいただけると幸いです。

松井 健治 氏(以下、松井):
まず、私が今回最終審査員を務めるうえで評価指標以外に見る視点として加えたポイントがあります。「ヒト」がすごいのか、「コト」がすごいのかを両軸で評価するようにしました。この両軸を持って評価すると総合して素晴らしいと思ったのは佐原様でした。

私自身も海外案件で同じような経験をしており、難しさを知っていますが、海外案件の場合、候補者は国内案件以上に企業に対して先入観を持つことがあり、最終的な意思決定にも慎重になります。一方で企業も同様で、候補者に対する企業としての意思統一(この候補者を採用するのか否か)を図るのに難しいものを感じました。

佐原様が応募内容に書かれていた『本国本社の要望が高く』という点においても、本国本社と日本法人の対応で意思統一がなされていない状況で、通常であれば断念せざるを得ないような環境下にあったことが読み取れます。そのような状況にあったにもかかわらず、諦めずに取り組んだだけではなく、プロセスを仕組み化するとともに、60代というシニア採用という事例を生み出し、そのあとに続く成果もしっかり残しているという点は素晴らしいと思いました。

2位には間嶋様を選んでいます。その理由は、先ほど阪部様がおっしゃった評価の通りで、ヘッドハンターとしての基礎力を上げる努力を非常にされている方だと評価しています。ただ今回のアワードのコンセプトは、案件ごとのアワードなので、1つの案件での取り組みを基準に評価し、1位には佐原様を選ばせていただきました。

中村 靖史 氏(以下、中村):
佐原様に関しては、ヘッドハンターが諦めがちになる案件だと感じています。
先入観として、現実的にできるのか分からないなかで、ニュースタンダードを作っていった行動力やクライアント企業を巻き込んでいった点、非常に難度が高い60代のシニアの方の転職成功を支援された点、そして仕組み化していった点で高く評価しており、再現性、突破力、チャレンジ精神、課題設定が非常によく理解できる事例でした。

一方、間嶋様は、若いヘッドハンターの目指すべきモデルケースともいうべき素晴らしい取り組み姿勢だと思います。競争力の高いマーケットのなかで、成果を実現されていく仕組みを作っていったという点を評価しています。

小倉:
ベストマッチング賞は「コト」を称賛することをコンセプトに考えさせていただくので、最終審査員の皆様からのコメント、そして総合点で佐原様が秀でており、阪部様も違和感がなければ、今回のベストマッチング賞は非常に僅差ながら株式会社SIECの佐原様ということになるかと思いますが、皆様いかがでしょうか。

阪部:
私も実をいうと最終審査で佐原様にするか間嶋様にするか、非常に迷いました。

池野:
確かに佐原様の事例は象徴的な決定ではあるものの、数としては少ないかもしれませんね。
一方、間嶋様に関しては、普段の取り組みが素晴らしく、いつ結果が出てもおかしくない行動をしているなと思います。

阪部:
間嶋様に関しては、リクルーターの鏡といえるので、「敢闘賞」のようなものをお贈りできるとよいのではないかと思います。間嶋様の事例を通じてそういった取り組みができる若手ヘッドハンターが増えることにもつながると思います。

審査員特別賞の決定

小倉:
今、阪部様もおっしゃった通り、ぜひ若手ヘッドハンターの方々に見習ってほしいということに対する称賛として、今回、審査員特別賞の枠もご用意いたしました。審査員特別賞は、最終審査員の皆様のご意見を反映して決定したいと考えております。

集計結果に鑑みますと、審査員特別賞に該当する方は、先ほどの株式会社マイナビワークスの間嶋憲太様のほか、株式会社ワークビューの小林奏恵様が僅差でしたので、このお二人について議論しつつ、審査員特別賞は1名なのか2名なのか、あるいは別の方なのか、ご意見をいただければと思います。
中村様が小林様を高評価されておりますので、まずは中村様から評価のコメントをお聞かせください。

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株式会社ワークビュー 小林 奏恵 様の事例:
競争が激しい業界のなかで、人材の採用や定着に課題を置く企業に対して、経営者を巻き込み新たな採用の形を見いだす。求職者に対しても長期間にわたる丁寧なフォローを行い、企業と求職者の双方にとってWin-Winなマッチングを実現。

中村:
小林様に関しては、2つの点で評価をしています。
1つは、「成果の再現性」という点で、求職者の解像度が見えづらいなかで、そこに寄り添って解像度が高いゴール設定ができていたと思います。ぜひ若手ヘッドハンターにまねしてほしいフォローの仕方だったなと感じています。
もう1つは兼業を可能にしたという、企業を巻き込んだ仕組みを作ったという点で実行力を評価しました。

松井:
間嶋様は、審査員特別賞をお贈りするのが良いと思っています。
次に小林様の評価点でいうと、今回のクライアント企業で実績を残せたことがすごいと思います。
インターネット業界は、「旬の企業」が次から次へと出てきます。そのような旬な企業に、「今、転職する理由」は伝えやすいです。
一方で、長く実績を積み重ねてきた老舗的な企業を紹介して「なぜ今、その企業に転職するべきなのか」を言語化するのは難しいです。それができていることが素晴らしいと思いますし、それに加えて、制作会社や開発会社だと受託的な要素があると考える候補者も多いなかで、企業側が持つ存在意義や差別化をお伝えして成果を出された点は素晴らしいです。
また、求職者のお住まいが関東圏外という点から、粘り強く対応したということがとても理解できます。

阪部:
大手の人材紹介会社と中小の人材紹介会社を比較すると大手の人材紹介会社だからこそできることと思われがちですが、間嶋様の取り組みは、普通ではなく際立っているものがあります。

小林様は26歳で若いし、応募内容の文字数から見ても情熱がある点を評価できると思います。例えば、パラレルキャリアについて勉強されているといった点は、優秀な人材を見つけにくいからこそ注目されているのだと思います。
キャリアに関する考え方は業界によって異なるので、どこの業界でもとはいえませんが、副業を認めている企業に対して、成果をあげられるヘッドハンターであると評価できると思います。
それから、26歳にして、求職者と企業の副社長を引き合わせるという情熱がなにより素晴らしいです。

池野:
小林様は求職者をものすごくきめ細かに、長くフォローして、企業のことをしっかり学んだうえで「実はこの企業はこう変わろうとしているんだよ」ということを伝え続けたことが想像できますね。
間嶋様は自ら積極的に学び、そこからさまざまな提案をしていったのではないかと読み解いていました。

小倉:
若手ヘッドハンターが、同僚以外の同世代のヘッドハンターの仕事に触れる機会は多くありません。今回のU30では、こういったものをメディアなどに公開し、学びの場としていただくことで、業界の底上げ、活性化に寄与したいと考えています。
ここまでの皆様のご意見を踏まえ、お二人に特別賞をと考えていますが、いかがでしょうか。

一同:
問題ありません。

若手ヘッドハンターへのメッセージ

小倉:
本日はお忙しいなか、長時間にわたりお付き合いくださり、誠にありがとうございます。
本日の総評議会の結果を持ちまして、ベストマッチング賞が株式会社SIECの佐原様、審査員特別賞が、株式会社マイナビワークスの間嶋様と株式会社ワークビューの小林様で決定いたしました。

最後に、多くの若手ヘッドハンターの方々が、日々ひとつひとつの案件に対して頑張っていらっしゃいます。この業界に長く在籍し、多くのご経験をされている皆様からメッセージをお送りいただきたいと思います。

中村:
私の支援している領域にも競合他社が増えており、人材紹介業界内の競争力の高まりを日々感じています。そういったなかで若手の皆さんの取り組みをみて、まだまだやり方はいろいろあるなと感じました。
特にクライアント企業への入り込み方や情報の取り方など、ヘッドハンターならではの介在価値を発揮できる部分であり、差別化が図れるポイントだと思います。

今回受賞された方々でいえば、企業のトップの方々と、恐れずに向かい合える行動力などは、対等にやりとりするために日々の情報インプットを徹底されている表れだと思います。そこが差別化につながるポイントだと思います。
ですので若い皆さんには、自分の行動の分だけチャンスがあると思い、ぜひ今回受賞された方々の取り組みを参考にしつつ、頑張っていただきたいと思います。

松井:
ヘッドハンターの仕事は、成功報酬型というモデルであるがゆえのジレンマはあるのですが、今回受賞された方々は、それらを抜きに、コトやヒトに対して真摯に向き合っていたことが素晴らしいと思います。そのような取り組みができるヘッドハンターが増え、業界の水準が高まり、ヘッドハンターの価値が上がることを心から願っております。

また、次世代を担う若手ヘッドハンターの皆さんには、もう一歩踏み込んだ仕事を通じて、従来のリテーナー型や成功報酬型とは違うモデルを築き、より一層の介在価値を発揮できるよう、ぜひチャレンジしていただきたいです。

阪部:
元ハーバード・ビジネススクール名誉教授のセオドア・レビット氏は「近視眼的マーケティング」で「企業は、製品やサービスを通じてあなたを100%満足させますという誓約を販売しており、顧客は、その誓約を購入している」と言っています。

これを私の考えでヘッドハンターに置き換えて表現すると、プレースメントしなかったら成約しない、要は「お客様と探すと約束したから決定するんだ」というのが大切だと思います。ぜひ、ささいな頼まれごとに強大なエネルギーで取り組んでください。

池野:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、働き方の多様性や産業構造の変化が加速しています。
弊社会員向けのアンケート調査においても、約6割のビジネスパーソンが新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、キャリア観が変化したと回答しました。
また、そのうち9割以上が「企業に依存せずに、自律的にキャリア形成する必要がある」と回答しています。
答えのないキャリア形成を考えなければならないなかで、今まで以上にキャリア形成の伴走者としてのヘッドハンターが求められています。

このたびの企画は、変化が激しいなかでも「企業と個人の伴走者として価値を発揮した事例」を紹介し、業界の活性化を支援すべく実施いたしました。
「貪欲に学び、熱意をもって物事に取り組む」姿勢が称賛され、「成功報酬型が主体のビジネスではあるが、ささいな頼まれごとにも強大なエネルギーで取り組む意義」を私自身もあらためて気づかされたように感じます。

本日は皆様、本当にありがとうございました。

一同:
ありがとうございました。



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