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ヘッドハンター名鑑vol.17

※掲載内容(プロフィール等を含む)は取材当時のものです。

今回は、パーソルキャリア株式会社の福田和貴氏へインタビューを実施いたしました。
福田氏は、候補者から「単なる案件の紹介にとどまらず、企業と候補者のカルチャーフィットを大切にした提案を行ってくれる!」と言われることが多いそうです。
活躍する現役ヘッドハンターへのインタビュー記事をぜひご覧ください。

【福田和貴氏 プロフィール】
明治大学政治経済学部卒業後、総合商社、大手通信会社などを経て、株式会社リクルートキャリアへ転職。建設不動産領域、地方拠点、大手企業担当など、一貫して法人営業(RA)として、多数のMVP受賞をはじめ高い成果を残す。その後日系ヘッドハンティングファームを経て、2016年にパーソルキャリア エグゼクティブエージェントに参画。建設不動産領域の組織化、関西の拠点立ち上げなどマネジメント経験を経て、2020年10月よりCxOを中心とした採用支援組織でヘッドハンターへ復帰。リクルーティング経験15年。

インタビュー

Q. 総合商社、大手通信会社などを経て、人材業界へキャリアチェンジした理由をお聞かせください。

私自身が第二新卒として総合商社から大手通信会社へ転職した際に転職紹介を利用したことが最初のきっかけです。
その当時は転職活動の仕方が分からなくて、もしかしたら地元に帰って地元企業を探さないとダメなのかもという気持ちにさえなりました。
そのような思いがあったなかで転職紹介を利用して、私の担当だったコンサルタントのサポートがとても素晴らしく、ずっと良い印象が残っていました。
その後2社目でさまざまな経験をして、改めて転職を考えるようになったのですが、2社目での経験を振り返ったときに実績を残せて年収もアップできたのは、転職活動時に私の可能性を見いだして、しかも無償でサポートしていただいたおかげだと、転職紹介のありがたさを改めて痛感しました。そこから転職先の一つとして人材業界を意識するようになり、話を聞けば聞くほど興味が出て、私も転職を支援したいと思うようになりました。
そして結果的に人材業界を選び、現在に至りますね。

Q. 人材業界で仕事をするうえで心がけていることはありますか。

人材紹介は無形商材(商品がない)のサービスであるがゆえに、クライアント企業と候補者をマッチングさせる数にとらわれがちだと思っています。
私はそういった現状を踏まえて、たくさんの候補者の方を抱えながらも気持ちのこもった仕事を心がけています。
設定されている目標数字だけを追ったら、それはできないですし、気持ちがこもった仕事をした先にのみ結果がついてくると思うのです。ですから、候補者の経歴だけをみたマッチングではなく、クライアント企業と候補者双方の考えを反映するようにしています。

【サイズ50%】EAS福田和貴①

Q. エピソードがあればお聞かせください。

候補者の方に対しては、「その方に対してどのように熱のあるサービスを提供するか」を、常々考えています。
正直、どの候補者との関わりが一番印象に残っているかはお答えしにくいですね。
よくあることを挙げるとすれば、転職支援がきっかけで知り合った方から結婚式に呼ばれたり、転職を考えている方をご紹介いただいたりすることはとても多いです。
私は転職支援をして終わりではないと思っています。それ以降もキャリア相談に乗るなど、接点は持ち続けるようにしており、そういった関わりから信頼関係が生まれ、次につながっているのかなと思います。

――熱のあるサービス提供とは、どのようなことをされていらっしゃるのでしょうか。
先ほどの話と重複しますが、転職支援をして終わりにならないようにしています。
クライアント企業側が中途入社者に行うオンボーディング(定着)と同じで、入社が決定したら終わりではありません。入社前にお時間をとって話を伺うこともありますし、転職から2~3カ月後や、必要であれば半年後などにもご状況を伺えるような接点を持てるように工夫しています。そういったなかでサポートが必要だと思えば、採用されたクライアント企業へ率直にお伝えして、問題解決に向けて提案やアドバイスをさせていただくこともあります。
私がなぜそういった取り組みをしているかというと、クライアント企業にオンボーディングしなかった場合、再度転職を決意される方は、最初の半年でされている印象だからです。私自身も転職経験があるからこそ共感できる部分があり、特に転職前から転職後半年くらいは、様子をうかがって問題解決ができるような関わりを続けさせていただいています。
せっかく入社した会社を辞めてしまうのはもったいないため、解決できる問題であれば解決に努めることもヘッドハンターに求められることの一つだと思います。
そして、候補者が後々採用に携わる立場となった際は、求人案件のご紹介を受け、採用担当者とヘッドハンターとして関わらせていただくこともあります。

――これまで試行錯誤しながらオンボーディングに行き着いた背景があれば教えてください。
私がマネージャーになる以前の得意領域は、30歳未満の若手優秀層でした。
そういった方々を担当しているなかで、入社後のミスマッチが起こる原因に気づきました。入社から3カ月間や半年間は、会社の組織に慣れることにとらわれ、思うように仕事で結果を残せず、それを1人で抱えこみがちになってしまうのです。人それぞれですが、誰かに話せばストレス解消になることもあると思うんです。これも実際に担当した候補者の方から伺った話で、私自身、共感すると同時に自分にできることは話を聞いてあげることではないかと思い、今の取り組みにつながっています。

Q. クライアント企業とのエピソードもあれば、お聞かせください。

今現在も関係が続いている不動産系のベンチャー企業様との話です。
関わらせていただいた当時は従業員数が35名弱でしたが、現在は150名以上に成長した企業で、再オーダーをいただくことが多く、付き合いはもう5年以上になります。
私がご紹介をして入社された方は約20名なのですが、その企業の管理職クラスに、ご紹介した方の名前が連なるようになりました。クライアント企業を構成する重要ポジションに後々就かれる方のご支援に関わったというのは、ヘッドハンター冥利につきますね(そういったクライアント企業はこの企業だけではなく、ほかにも数社実績があります)。
また私がご紹介した方々が活躍された結果、現在の従業員数までとなり、クライアント企業の成長に寄与できたなと感じています。
そしてクライアント企業に関われば関わるほど、その企業が理解でき、こういう候補者が必要だとか、こういう方が活躍できるのではないか、ということをイメージできるようになりました。

――再オーダーをいただくような関係性を築くために大切にしていることはありますか。
われわれヘッドハンターに仕事を依頼してくるクライアント企業は、最初はお金の話をしてこない印象です。それはお金よりも優秀な人材を採用したいということなのだろうと思っています。
そうであれば、どういう事業で成り立っている企業なのか、今後の事業成長や差別化についてどのようなことを考えているのか、しっかり伺うようにしています。
私たちはクライアント企業の代理人で、企業の思いを候補者に伝える立場だと思っています。
クライアント企業から伺っていないことを勝手な想像で話すのはしてはいけないと思いますし、企業理解の解像度を自分自身があげないと、クライアント企業の思いを候補者に伝えることができないと思います。
そのため、クライアント企業の代理人として、採用支援に関わるようにしています。

Q. 人材ビジネスに携わるうえで大切にしていることはありますか。

接点の数を大切にしています。
例えば優秀だなと思った方の周囲には優秀な方が多いと思います。
ですから、優秀な方の渦に入り込めるような関わりを持つと同時に、自分自身も高めていきたいなと思っています。そういった方から頼られる存在になるためには、自分自身もプロフェッショナルでないと駄目だと思うんです。
候補者の方が一枚も二枚も上手であれば、自分自身がそこに追い付けるように努力しようと思います。
そのための一つとして、私自身もヘッドハンターとしていろいろなキャリアを経験するようにしています。
マネージャーとして後進の育成や課題に向き合ってきた時代もあり、立場が違うからこそ気づけることもありました。
ここで大切なことは、勉強をすればよいということではなく、情報の感度を高めることだと思いますね。

Q. 2021年の抱負をお聞かせください。

今は原点に戻って人に会う、接点を持つことを大切にしています。
2021年は新型コロナウイルス感染症が落ち着くタイミングでビジネスが様変わりすると思っています。
例えば今までもうかっていたビジネスが停滞してしまったり、その逆で注目されるサービスも出てきたりすると思います。市場のなかで型にはまった仕事をするのではなく、そういった変化に応じて柔軟な支援ができる立場でいたいと思っています。
固定観念を捨て、マーケティング感度を高め、クライアント企業や候補者と向き合い続けることが、2021年の抱負ですね。

Q. 福田様のビジョンをお聞かせください。

私はこの仕事が好きなので、形は変わってもこの仕事を続けると思います。
ヘッドハンターという仕事は、仕事のやり方が変わったとしても形を変えながら残り続け、管理職でもプレーヤーでも、ヘッドハンターとして求められるものは変わらないと思います。変化に柔軟に対応し続ける人材でいたいと思います。

Q. 私たち(ビズリーチ)に対する考え、候補者へのアドバイスはありますか。

透明性がある転職市場をつくったのは、ビズリーチだと思います。
ヘッドハンターの仕事はずばり「透明性」だと思うんですよね。
候補者が透明性(ヘッドハンターランク)などでヘッドハンターを選べるというのは、良いことだと思います。ヘッドハンターに求められるのは情報力であり、より多くの有益な情報を提供してくれるヘッドハンターを選んでいただきたいと思います。

次回のヘッドハンター名鑑vol.18は、2021年4月8日(木)公開予定です。


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