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【座談会】20代若手受賞者が語る、ヘッドハンターの介在価値とは

※掲載内容(プロフィール等を含む)は公開当時のものです。

20代若手ヘッドハンターの取り組みを表彰する「UNDER 30 MATCHING AWARDS 2020」。記念すべき第1回の授賞式で、次世代を担うヘッドハンターとして素晴らしい取り組みを評価されたのは、ベストマッチング賞に輝いた、株式会社SIECでDirectorを務める佐原亨氏と、審査員特別賞に輝いた株式会社マイナビワークスでクリエイターHR統括部マネージャーを務める間嶋憲太氏です。

そこで今回は、お二人に成約事例の舞台裏や日頃の取り組み、そしてヘッドハンターの介在価値についてお話を伺いました。

スピーカー:
株式会社SIEC 佐原 亨
株式会社マイナビワークス 間嶋 憲太
モデレーター:
株式会社ビズリーチ 池野 広一

ピンポイントのターゲットに合致したのは60代のシニア人材

池野 佐原さんは、一般的にご支援が難しいとされる海外企業案件で、かつニッチな経験のある方を求められていたにもかかわらず、ニーズに合致した60代のシニア採用を実現されました。採用に至った経緯について、あらためて教えてください。

佐原 ご依頼いただいた海外企業の日本法人が求めていたのは、同業種・同職種の日系企業出身者でした。採用の背景にあったのは、本国からの要求に応えるために必要とするスキルや経験を持ち、即戦力で核となる人材の確保が急務だったこと。

しかし、採用には本国の決裁が必要で、候補者の経歴や希少性、人柄、これからやりたいことに合致していると納得してもらえない限り、採用予算が下りない仕組みだったんですね。

このピンポイントのターゲットに極めて正確に合う人材は、日本に数人いるかいないかです。それを社長にご理解いただいたうえで、ビズリーチで探し出したのが、スキルや経験と人柄がピッタリ合う60代のシニアの方でした。

池野 今回の候補者は高い技術力を持つ方だと伺いました。技術力を見極めてベストなマッチングを創出するために、普段から工夫されていることはありますか?

佐原 候補者の方に興味を持ってあらゆる角度から質問するのはもちろんですが、私は人材業界以外で働いたことがないので、技術職を強みにしているとはいえ業界のことは深くはわかりません。ですから、日頃からヘッドハンティングに関係なく、候補者の方と信頼関係を築けるよう、業界や技術の質問ができるようにしておくようにしています。

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写真:株式会社SIEC 佐原亨氏

求職者の経験や志向を把握し、企業のチーム力や志向を分析して紹介

池野 間嶋さんはIT・Web領域で採用コンサルティングをされていますが、今回はどのような求職者に、どういった企業を紹介されたのでしょうか。

間嶋 プライベートでも技術の勉強や開発をされている方で、技術力を高めるために技術力の高い人が多く在籍している会社への転職を希望されていました。

IT・Web系でハイレベルな技術者が集まっている会社は、テックブログなどでの情報露出度が高く、カンファレンス等で登壇しているケースがよくあります。

そうした情報等を基に、求職者がプライベートで続けている勉強を評価してくれて、チームで課題解決をするスタイルで、加えてCTOや技術者の考え方や性格等がマッチすると思った会社を紹介しました。

池野 CTOや技術者の性格まで見るのですね。

間嶋 そうですね。私は求職者と面談する前に1時間近く準備をするのですが、その段階で職務経歴書から読み取れる経験軸と希望軸から、マッチしそうな企業を20社程度ピックアップしています。さらにそのなかから社風やビジョン、性格等とマッチしそうなえりすぐりの企業を5社ほど選抜。ですから、紹介するときに明確な根拠を持って説明ができています。

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写真:株式会社マイナビワークス 間嶋 憲太氏

ヘッドハンティングにとどまらず、採用業務代行や人事制度変革までサポート

池野 佐原さんは今回、ヘッドハンティングにとどまらず、採用全体の設計支援、人事制度の変更提案までされています。なぜそこまでサポート領域が広がったのかを教えてください。

佐原 海外企業の日本法人ということもあって、足りていないパーツがたくさんありました。たとえば、社労士(社会保険労務士)や税理士が不足しているのは以前からご相談を受けていたのですが、バックオフィスの方から一番困っていることを聞くと、人事担当者がいないことだとわかったんです。

そのタイミングで、それまで数年にわたって連絡を取っていた事業部長の方が社長に就任し、「技術面も社風もわかっている佐原くんに、人事や採用のことを任せたい」とおっしゃっていただけました。そこで、まずは勤怠管理システムの導入から着手し、採用代行業務を通して他の人材紹介会社とも連携するようになりました。

人事制度に関しては、年齢に関係なく働けるような制度を設計しないと、今後は採用がより難しくなることを、以前から提案していました。そんなとき、今回採用された60代の方が候補に上がってきて、人事制度の変革につながりました。

信頼関係がない状態で、いきなり「60代を採用するために人事制度を変えましょう」と言っても相手にされないと思いますが、今回はタイミングと粘り、そして決裁者とのリレーションがあったからこそ実現できたのだと思っています。

池野 信頼関係を構築してきたからこそですね。間嶋さんも、1次面接を代行されたんですよね?

間嶋 技術面やチームとの相性など、人事にはわからないこともあります。わからないまま進めてしまうと、私と人事、人事と現場の間に齟齬が生まれてしまうので、1次面接は一任していただきました。

日々勉強を怠らず、候補者との面談時は徹底して話を聞く

池野 適切なマッチングのためには、深いヒアリングが必要だと思います。求職者に本音で話してもらうための工夫はありますか?

間嶋 面談が始まって1時間は、その方がどんな志向を持つのかにたどり着けるまで、いろんな角度から質問をして、ひたすら話を聞いて共感することに徹しています。

佐原 私は本音で話してもらうために、最初に私が持つ全ての情報を出し、こちらから腹を割って話すことを大事にしています。

池野 企業や候補者と腹を割って話すためには、常に業界にアンテナを張って、自身をアップデートする必要があると思います。それぞれ、日々どのような勉強をされているのでしょうか?

間嶋 技術関連で体系化されている記事等を読んで、自分の口で説明できるようになるまでインプットします。最近では、RubyとPythonを勉強して、Webアプリケーション開発に取り組み始めました。課題解決のためにどんな思考・プロセスでものづくりを進めるのか、体験するのも大切だと思っています。

池野 学ばないといけないと思っても、何から始めればいいかわからない人もいると思います。始めやすいインプットはありますか?

佐原 当たり前のことですが、候補者から職務経歴書をいただいたときに、一言でもわからない言葉があれば徹底して調べる。自分の口で人に説明できるようになるまで調べることから始めるのがいいでしょう。

若手でキャリアが浅いヘッドハンターは、自分に興味のない領域にアサインされることも多いと思います。それでも、わからない言葉を調べて階段を一段上ってみると、2段目からはエスカレーター状態で理解が進み、自分の強みになるというケースは多々あるので、まずは一段上ってほしいですね。

人事とパートナーになるために必要なのは、情熱

池野 人事や現場との間でニーズの齟齬を生まないために、工夫されていることはありますか?

間嶋 現場から言われたことをうのみにしないことです。よくあるのは「優秀な人を採用したい」といった漠然とした要望です。

IT業界は、レベルの高いエンジニアを求める企業が多いので、レベルの高さとは何なのか、具体的な技術力を持つ人なのか、マネジメントもできる人なのかなど、経歴や経験、性格等も含めて言語化します。そのうえで、絶対に外せない要素をすり合わせていく。

採用のお手伝いは、企業の発展のお手伝いをするのと同じで、それができないなら私たちの介在価値はありません。だから、情熱を持って対話し、パートナーとして採用を成功に導くよう、努力しています。

また、求職者に対しては、主観的な考えにとどまらないよう、新しい視点や気づきを与えたうえで、本人の選択肢になかったような企業を提案することが介在価値だと思っています。

佐原 「個人のサポートをしたい」「企業を下支えしたい」という気持ちを心から持ち、「全力で採用のサポートがしたい」と情熱を持って伝えるのは大切なことですね。

最終的には双方から、「佐原さんだから出会えた」と言ってもらえることが、ヘッドハンター冥利につきる介在価値。転職は人生の分岐点なので、双方に最適な出会いを生み出せるよう、これからも私にしかできないことを追求したいです。


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