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ヘッドハンター名鑑vol.13

※掲載内容(プロフィール等を含む)は取材当時のものです。

今回は、キャリエイブル株式会社の下田由紀氏へインタビューを実施いたしました。
下田氏は、株式会社ビズリーチ主催の「JAPAN HEADHUNTER AWARDS」の金融部門を2回受賞されています。
とても気さくな方で終始笑顔で対応してくださいました。そんな下田氏のお人柄やプロフェッショナル意識の高さが伝わるインタビュー内容になっております。
活躍する現役女性ヘッドハンターへのインタビュー記事をぜひご覧ください。

【下田由紀氏 プロフィール】
オリックス株式会社での経験を経て、2012年にインテリジェンス中国に転職。蘇州支店マネージャーとして江蘇省に進出している日系企業向けに人材紹介および日系企業の労務研修サービスを提供。2014年に日本へ帰国後、エンワールド・ジャパン株式会社に転職。金融業界専任コンサルタントとして貢献した後、2021年に独立を決意し、「企業と人々に新たな可能性と価値を提供できる人になりたい」をモットーに、キャリエイブル株式会社を創業。
「JAPAN HEADHUNTER AWARDS」の金融部門における優秀賞(MVP)を2017年度と2018年度に受賞。

インタビュー

Q. 独立に際しての思いをお聞かせください。

実は2012年に人材業界にキャリアチェンジしたときから、将来は独立したいという目標をもってやってきました。
好きなことや得意なことを職業にできたら、一生続けていきたいと考えていました。

2016年にビズリーチを使い始めた頃は、当然ながら効果的な利用方法など全くわからなかったのですが、自分なりに創意工夫をしているうちに、ビズリーチで求職者様にアプローチすることがとても楽しくなってきて、毎日時間を忘れて使っていました。
自然に成約件数が増加し始め、2017年度・2018年度と「JAPAN HEADHUNTER AWARDS」の金融部門でMVPを受賞させていただき、自己流のやり方で疑心暗鬼だったものが、大きな自信に変わりました。まさに「結果は後からついてくる」とはこういうことか、と実感したのを記憶しています。

私に採用をお任せしてくださる企業様や転職相談にいらっしゃる求職者様と向き合っているうちに、「私も新たなチャレンジをしていきたい」と本格的に思い始めました。そこで、今までの経験をフルに発揮しながらも、自分自身のキャリアを深く広げていくには、「独立」という方法が向いているかもしれないと考えました。

Q. 初めての転職で人材業界へキャリアチェンジした理由をお聞かせください。

最初から人材業界へのキャリアチェンジを考えていたかと言われるとそうではなく、今までの経験と自分自身の性格・特性をもとに「私にもできるのでは? 向いているかもしれない」と考えるようになり、「できるベース」で前向きに捉えられたのが大きいです。
また、日本国内であれば既にベテランの方々もいらっしゃるので、人材業界への転身は考えていませんでした。しかし、中国であれば「まだライバルも少ないので、私にも勝負できるかも」というように考えました。

――そのように思われたのは、具体的にどのようなきっかけやご経験からですか。

まずきっかけですが、学生時代にあります。実は学生時代から英語圏で働くことに憧れていましたが、当時勢いを増していた中国にも興味が出てきて、学習していた言語を英語から中国語に切り替え、ある程度物になった後、中国で働くことを考え始めました。やはり当時の私は「海外で働くこと」を最優先にして「私は海外(中国)で何ができるのか」を考えた結果、人材業界にたどり着きました。

つぎに経験ですが、当時勤務していた会社で法人でも社長や経営者、財務責任者などの経営陣とお会いして話す機会が多かったことがあげられます。そのほかにも報告資料を作成して数字に基づいて事実を話すことも多かったので、そのために必要になる知識があれば、苦に感じることなく知識の習得に取り組めていたので、できるかもしれないと思えました。

Q. 仕事をするうえで大切にしていることは何でしょうか。

(1)個性・価値観のマッチング
これからは、企業様側は新規事業の戦略実現のために外部人材へのニーズがますます高まる一方で、求職者様側も働き方や仕事へのこだわりなどが多様性を増しているため、マッチングの難度が上がってきています。

だからこそ、私は一社一社の企業理念や経営方針、そして、一人一人の個性や価値観を重視したマッチングを目指したサービスを提供していきたいと考えています。

(2)五感によって仕入れたオリジナル&レア情報を常にアップデートすること
私の役目は、第三者として信用ある情報を提供し、企業様や求職者様を正しい判断に導くことだと思い、日々活動しています。情報があふれる時代だからこそ、価値のあるオリジナル&レアな情報の提供を大事にしています。

(3)(1と2を実現するためにも)多くの方と接し、多様な価値観に触れ、いろいろなことに敏感になること
お会いする方々の生き方・考え方を尊重できる人間になっていくことを心がけています。

Q. お話を伺っていて、「自己流」や「オリジナリティー」という言葉が気になりました。
工夫することや自身で表現することが得意でいらっしゃいますか。

特に自分自身では特別なことをしている感覚はないのですが、私の場合は、物事をポジディブに捉えられるという面はあると思います。

例えば、テレアポの際に、最初の2回はダメだったが3回目でようやく約束を作れたということはよくあると思いますが、私の場合はダメだったときに落ち込むというよりも、発想が「もっとこういうふうに話したほうがよかったかもしれない」「こういうふうに話してみたらどうだっただろうか」など、料理をするようなイメージに近いんです。レシピ通りに作るのもおいしいですが、ちょっと他のものを足してみたらもっとよくなるかもしれないというのは、常に自分の考えのなかにあります。日々のそういった発想がビジネスに生かせているんじゃないかなと思います。ですので、アイデアは思い浮かぶタイプだと思いますし、仕事も順番通りに進めるというよりもその時々で進め方を変えています。

Q. レア情報はどのように入手しているのですか。

私自身のバックグラウンドやご支援した方などの人脈から情報提供していただくことが多いです。
企業様や求職者様に対してもご支援をしたらそこで終わりではなく、その後も連絡を取りやすい関係性が自然にできているので、そういったつながりのなかで入手することが多いです。

Q. 下田様は「JAPAN HEADHUNTER AWARDS」において金融部門のMVPを2度受賞されていますが、どのような取り組み(考え)が受賞に結び付いたと思いますか。

インタビューの冒頭でもお話をしましたが、この仕事を始めたときに疑心暗鬼になり、つまずいたこともありました。それを乗り越えたときに思ったのですが、この人材紹介の仕事を仕事として割り切るのではなく、自分自身楽しみながらやろうと考え方を変えました。関わるのはすべて「人」であり、友人との関わりと同じように相手の話に耳を傾け、親身な姿勢を心がけました。そうすることで、相手の考えを自然と引き出せるようになりましたね。本当の友人であれば、単なる共感ではなく、時には本気で反対や助言をしてくれる貴重な存在にならなければならないと、私は思っています。

ですから、私も「人材紹介会社の人」という存在ではなく、大事な友人のように、時には私自身の意見や、違ったものの捉え方をお伝えするようにしてみました。最初は、初対面の方に自分の意見を伝えるのは怖いし不安だったのですが、私の気持ちが通じたのか、その不安は取り越し苦労に終わりました(笑)。お相手の方々から、「いろいろな意見が聞けて助かりました」「自分を客観視できました」などの反応をいただくようになったんです。

その経験から、「皆さんそれぞれ、仕事と共に人生がある。私は相談に来てくださる方の人生にも影響を与える仕事をしている」と思うようになりました。また、自分自身の姿勢を変えたところ、企業様からも求職者様からもさらに信頼を得られるようになったなと感じています。

そして、私にとって人材紹介の仕事は、日々のつながりがビジネスになったり、プライベートのつながりにもなったり、自分の考え方ひとつで結果を大きく変えられるという点で、自分の性格に合っていると感じています。

Q. ビズリーチの案件におけるエピソードをお聞かせください。

企業側:

T社
「〇〇さんが採用担当だから、私も支援したいんです」と思わせるエピソード

ある日、人事部のキーパーソンから「私が中途採用担当から外れてもいいですか?」と言われ、私は即座に「それは困ります。〇〇さんが採用担当だから、私は御社を支援しています。〇〇さんがいなくなったら、私は支援しません」と答えました(笑)。この企業様とは2014年からお取引していますが、この方に惚れて、私も採用支援を頑張りたいと思いました。実は、求職者様からも「〇〇さんのような方が人事にいらっしゃるから入社を決めました」と言われるくらい、何と言ったらよいかわかりませんが、魅力がある方なんです。

その方は、本来実務を担当する方ではなく、役職者にもかかわらず、私に対しては、特別に窓口として対応してくださっています。「ぜひ、支援したい」と思わせる魅力ある人事の方との出会いは、非常に貴重であり、私も一生懸命、この企業様のために尽力したいと思いました。結果、この企業様は継続的に多数の成約が生まれ、良きビジネスパートナーとして信頼関係を築くことができました。


M社
「うちの会社のことを一番知っているヘッドハンター」と評されるまでのエピソード

この企業様は、2014年にインターネットで調べた番号に電話をかけて「中途採用のご支援をさせていただきたいので、お話を聞いてほしい」とアポイントを申し入れましたが、実は2度断られました。「自分の売り方が魅力的ではないんだ」と反省し、3度目のお電話でやっとアポイントをとることに成功しました。このような、普通の営業電話からできたご縁でした。お取引開始直後は、採用は鳴かず飛ばずでしたが、風向きが急に変わったのは2016年からでした。ちょうどビズリーチの使用を開始した時期と重なったのも、幸運だったと思います。

ある日「来年度から急に採用人数を3倍にすることになったのだけど、どうしたら良いのかわからなくて、相談したい」と電話があり、すぐにご訪問しました。今まで中途採用の経験はあるものの「戦略的な人材採用」には取り組んだことがなく、人材を大量に採用するには、どうしたら良いのか困っている様子でした。

そこで、私が具体的に取り組んでみたこととしては、募集要項を一緒に考え、部門の方々とざっくばらんな打ち合わせを重ねることで、企業様が大事にしている考え方や価値観等、文字では表現しにくいところを、私自身にインプットし当事者意識を持つことです。

そのような取り組みを、この企業様とは6年以上続けており、今となっては「うちの会社のことを一番よく知っているヘッドハンター」とおっしゃっていただけるまでになり、私にとって最大の喜びと感じています。

会員の方:

・転職を支援した方同士の交流会を開催~下田チルドレン(通称:シモチル)の会~

今はコロナ禍の影響下にあるので集まれないのですが、私がご支援した転職経験者同士の交流会を開催したことがあります。交流会の趣旨は、ビジネスにおける情報交換、転職を経験した者同士の意見交換などです。

転職者の場合、転職先の社内の人脈では初めは劣勢に立たされますが、社外の人脈を有効活用する大きなチャンスだと私は考えています。交流会をきっかけに新たなビジネスが生まれるかもしれませんし、何らかの商談が成立することもあるかもしれないと淡い期待をしています。

また、転職経験者のなかには転職後も外の世界とのつながりを重視したいとお考えの方も少なくありません。転職という一大イベントを経験された者同士、楽しみや苦労を分かちあえるつながりがあっても良いのではないかという考えの下、今後も工夫しながら続けたいと思います。

次回のヘッドハンター名鑑vol.14は、2021年2月18日(木)公開予定です。


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