ヘッドハンター名鑑vol.4
※掲載内容(プロフィール等を含む)は取材当時のものです。
【小田守氏 プロフィール】
大学卒業後、インテリアメーカーから大手人材派遣会社に転職し、外資系金融専門チームの立ち上げからマネジメントに従事。
その後、他の人材サービス企業で約10年間、メディカル業界の専門チーム
にて有料職業紹介事業の法人営業、キャリアコンサルタント、ならびに同チームを統括。一過性のものではなく、中長期のキャリア構築支援と採用エージェントを行いたく独立を決意し、2010年10月、現・代表取締役の粟井とともに株式会社アイスブルー・アンド・カンパニーを設立。取締役に就任。
インタビュー
Q. 新型コロナウイルス感染症の拡大による、ご自身の業務などへの影響はいかがでしょうか。小田様ご自身の業務への影響や心境の変化はありますか。
この質問への回答は難しい部分があります。といいますのは、われわれが専門としている医療業界は、2018年ぐらいから、増加する医療費の削減にむけた構造的変化が進んでおり、特に雇用という面で良い変化は見られませんでした。そうした状況から現在に至っているため、「コロナ禍」単体でドラスティックに何かが変わったということは、あまり感じません。ただ、全く影響していないわけではなく、例えばMRの方や開発職の方などは医療現場に行けないということもあってか、加速度的に求人が冷え込みました。しかし他の産業と比べればインパクトは少ないと思います。
Q. 業界の構造的な変化のなかにおいても変わらずニーズの高い職種はありますか。
サイエンティフィックな仕事、つまり医療従事者のなかで医師とも対等に医療や治療について話せる方々のニーズは高まっています。
「メディカル・サイエンス・リエゾン」といわれる職種等で、医師と科学的根拠を基に治療方針などを考えるのですが、希少性が高いので今後もニーズは増えていくと見込んでいます。
Q. 現在のような状況において、注力していくポイントや、貴社の強みを教えてください。
医療業界の専門的な知識をお持ちの方々にいかに対応できるかが重要であると考えています。他の人材データベースサービスと比較すると、「ビズリーチ」は医師、それも最近は若手の医師が増えてきている印象なので、今までサポートできていなかった分、注力し始めています。
また、弊社の強みは「リエゾンや臨床開発分野、医療業界の専門職の方々のスキルマッチングに対応できる」点です。医療業界は、理系の修士号をお持ちだったり、知的水準が高かったりする方が多く、業界・業務などに関する深い知識なくしては転職をサポートすることが難しい領域です。そうした点において「医療業界に従事している一人ひとりの価値をきちんと理解している」という点が強みといえます。
Q. ビズリーチを利用するにあたり、何か工夫されていることはありますか。
ビズリーチに登録されている方は、職務経歴等をしっかり書かれていることが多いです。そのため、これまで歩まれてきたキャリアを受けて、なぜこの職種を希望するのかといった仮説が立てやすいと感じています。希望欄をみれば、その方が強く目指す方向も明確ですし、職務経歴がしっかり書かれている分、ご本人が認識している強みやアピールしたい事柄が、その言葉の登場回数に如実に表れています。それらを複合的に分析し、語りかけるような1to1のスカウトを送ることを心がけています。
Q. ご自身の業務で大切にしていることとして、どのような点を意識されていますか。
月並みな表現になってしまいますが、「役に立っている」ということを実感したいので、自分自身がどのような介在価値を発揮できているかは意識しています。私は医療業界の経験者ではありませんが、この業界の方をとても尊敬しています。というのも、医療業界では、社会の役に立ちたいとお考えの方、サイエンスの力で社会を良くしていこうという情熱をお持ちの方が多く、そのような方々が自身の能力・スキル・経験を思う存分発揮できる場所をご提供したいと思い、私自身、強いこだわりを持って関わらせていただいています。
それからこれは、当たり前といってしまえばそうなのかもしれませんが、やはりこの業界のトレンドをつかむという点では、新聞以外にも業界専門誌などに日々目を通すことは欠かしません。
Q. 介在価値とは具体的にどのようなことでしょうか。
先ほど、強みとしてスキルマッチングに対応できると申し上げましたが、求人要項と求職者のスキルが完全に合致しているケースはほぼありません。したがって、合致している点とそうでない点、それによる待遇や年収の見通しなど、求職者視点でも企業視点でも、見極めが非常に難しい部分を明確にすることが、私たちの介在価値であると考えています。
以前、ある日系ヘルスケアグループ企業の子会社立ち上げに際して、品質保証の責任者のポジションを依頼された時の話です。なかなかニッチな領域で、苦戦は覚悟していたのですが幸いなことに候補となる方と接点を持つことができました。ただ当初、企業からの提示年収とご本人の希望額にかなりの開きがあったのですが、その方の業界内における希少性などを材料に交渉した結果、ご本人希望額での合意にこぎつけることができました。
あくまで一例ですが、間にわれわれが入るからこそ、このような事例が生まれるのだと思っています。
Q. 今後注目される業界内の動きはありますか。
今後、日本では「治療」ではなく「予防と診断」というところに業界の軸足が移っていくと考えています。今回の「コロナ禍」のなかにおいては、PCR検査や抗原検査キットなどの承認が短期間で進んだという実例があります。その他にもスマートフォンによる診断アプリなども増えてきているので、このようなものを扱う企業に、優秀な人材が集まってくるだろうと予測しています。
次回のヘッドハンター名鑑vol.5は、2020年9月14日(月)公開予定です。
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