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ヘッドハンター名鑑vol.12

※掲載内容(プロフィール等を含む)は取材当時のものです。

今回は、株式会社ビズリーチ主催の「JAPAN HEADHUNTER AWARDS 」のメディカル部門でMVPを2回受賞された、株式会社エリメントHRCの清水潤次氏へインタビューを実施いたしました。
清水氏は、第一印象は写真のイメージなどから「クール」と見られがちですが、じっくりと話を伺ってみると、情熱的かつ積極的で、企業や求職者と真正面から向き合い、ヘッドハンターという仕事に誇りとプライドを持って日々活動をされていることが伝わってきました。この仕事を「天職」と言い切る姿に、編集部も感服いたしました。

【清水潤次氏 プロフィール】
私立大学を卒業後、人材業界へ進む。人材業界において通算15年以上のキャリアを有する。大手人材紹介会社である株式会社JACリクルートメント(東証1部上場)を経て、2012年、サーチファームである株式会社エリメントHRCに入社。現在は執行役員、セールスコントロール統括マネージャー、プリンシパルコンサルタントとして業務を行う。※国家資格「キャリアコンサルタント」保有。
医療業界に特化し、営業職はもちろんのこと、CXOなどのエグゼクティブ・ミドル・シニア、ドクター、開発系職種(QARA等)、管理部門の専門職も得意とする。業界のなかでも屈指の採用決定率に定評がある。

インタビュー

Q. 医療業界に特化した人材紹介サービスを展開されているとのことですが、新型コロナウイルス感染症の拡大による、業界動向や採用状況、ご自身の業務などへの影響をお聞かせください。

新型コロナウイルス感染症が拡大するなかで、現場で非常に奮闘されている医療従事者の方が多くいらっしゃいます。その一方で看護師のなかには、この状況に疲弊して退職され、転職活動を新たに始められる方も増えた印象です。
また、弊社では製薬会社や医療機器メーカー、医療機関の採用支援を軸としていますが、そういったなかで感じているのは「医療×AI」などのスタートアップ系企業や医療のDXを進めたいという企業様からの求人の増加です。
ほかにも医療機関に訪問する機会がある製薬会社のMR職や医療機器メーカーの営業職の方は、コロナ禍の影響で訪問に制約があって、Webでドクターと面会する機会も増えてきているので、よりコミュニケーション能力が高い方やITに強い人材のニーズは高まっていると感じています。

Q. 採用ニーズはどのように引き出されているのでしょうか。

日頃から企業様との関係構築を大切にしているおかげで、ハイヤリングマネージャーをはじめ、CEOやCOOの方から直接伺うことが多いです。単に顕在化しているニーズを伺うだけではなく、言語化できていないニーズや課題の把握も行い、すり合わせも一緒にさせていただいています。
また目先の採用についてだけではなく、5年後、10年後の会社の経営計画を見据えたうえでのご相談を受けることもよくあります。

Q. 2021年の抱負をお聞かせください。

2021年度というより、これは常々取り組んでいることになりますが、医療に従事されている全ての企業様、求職者様に対して付加価値のあるサービス提供をしていきたいと思っています。
これはブレずに思い続けている部分で、われわれが介在する意義は、ただ単に人を紹介することではなく、経営者(キーパーソン)と話すことによってその採用のストーリー性を、私たちを介して求職者へ伝えることだと思うんです。
例えば、同じ求人案件を複数の人材紹介会社で扱っていることもあると思うのですが、同じ求人案件でも人材紹介会社によって見せ方や切り口が違うと思うんですよね。
事業としての成長性が何か、企業様が何を求められているかをしっかり把握していないと、企業様にも求職者様にもズレが生じてしまうので、双方の成長につながる採用支援と転職支援をするのが、私どもの介在価値だと思います。
コロナ禍の影響により企業様や求職者様との接点がリモートベースとなったとしても、私たちが介在価値を正しく発揮すれば、疲弊して退職されてしまった方にも新しい職場で気持ちを新たに働いていただくことができると思うんです。言い過ぎかもしれませんが、求職者の方によりよい環境を提供できれば、医療に従事されている方々の団結力も高まり、コロナ禍を乗り越えていけるのではないかと考えています。

Q. 大手の人材紹介会社から医療業界に特化した人材紹介会社へ転職されたきっかけをお聞かせください。

以前勤務していた人材紹介会社では、全業界をくまなくご支援していましたが、より専門性を磨きたいと思ったのがきっかけです。
そのなかでも特に医療業界は専門性が高く、国家資格を必要とする職種が多いので、支援する立場の者にも高い専門知識が求められます。私自身が介在することで、医療業界で働く方々のQOLの向上に間接的に寄与できるのではないかと思いました。
専門性の高い仕事で奥が深いがゆえ、私自身にもしっかりとした専門知識がないとご期待に応えられないのではないかという点で、強い責任感を持っています。

――知識を深めるためにどのようなことをされていますか。
医療領域に関することを調べたり、書籍を読んだりすることはもちろんですが、日々、生の情報として現場の医療従事者の方から話を伺うことを大切にしています。信頼関係があるからこそ話していただけることもありますし、まだ表に出ていない情報をいち早く伺うこともあります。
また、その際に分からないことがあれば「不勉強で申し訳ございません」と認め、その場で教えていただくようにしています。
このようにインプットしたものと一次情報の掛け合わせを別の場でアウトプットしていくことが非常に勉強になっていますし、今でもずっと続けていることです。もちろん若い頃はなかなかできなかったですし、「習うより慣れろ」ではないですが、表面上の取り組みではなく、がむしゃらに取り組むことが、若い頃は大切だと思います。

Q. 企業様や求職者様との関わりで心がけていることはありますか。

弊社では求職者様に行うキャリアコンサルティングの一貫として、「意向と性質」を大切にしています。
私にもそのような時代があったので分かるのですが、経験の浅いヘッドハンターは希望をメインに聞きがちで、年収や勤務地などの希望を聞くことに偏ってしまうものです。
希望を聞くことも大切ですが、仕事となるとその方の人生やキャリア、場合によってはご家族にも関わってくると思います。
まず、弊社でいう「意向」とは「なりたい姿」で、5年先、10年先に目指すものは何かについてお話をするようにしています。もちろんそこには条件面も関わってきますので、その方の状況によっては転勤不可や最低限の年収といったさまざまな事情があります。
ただし、ここで重要なのは「なりたい姿」は条件では解決しないということです。私自身もそうですが、人生の大半を仕事が占めるなかで、仕事に対するその方の思いや「なりたい姿」というものを大切にしています。

次に「性質」は、「合う・合わない」ということです。
カルチャーでいえば日系なのか外資系なのか、収入でいえば成功報酬で稼ぎたいのか安定を求めるのか、働き方でいえばチームプレーかスタンドプレーか。
それは企業様ごとに違うのはもちろん、事業部によって違いがある場合もあります。弊社も外資系企業様の求人を多く扱っていますが、外資系の場合、企業買収の際に事業部門を買収するケースもあり、同じ社内でも部門間の性質が真逆といったことが多々あり、その部分は企業様から必ずヒアリングするようにしています。
この「意向と性質」を軸に、求職者様と本音ベースで会話をすることで信頼が生まれます。結果としてミスマッチのないサポートにつながりますし、それこそが私たちの存在する意義と考えています。

Q. 清水様のヘッドハンターとしてのモットーを教えてください。

これは私が若手ヘッドハンター時代から日々実践していることになりますが、人生一度きりですし、後悔がないようにやり切るつもりで取り組んでいます。毎日、介在する意義・意味を振り返る、「今日はやり切ることができたか」「できなかったか」「明日はこうしよう」と自身に問うようにしていますね。もし忙しさにかまけて怠っているとしたら、私はヘッドハンターとして失格だ、と自分に厳しくしてます。
そのほかにも、企業様に対しては「御用聞き」になるのではなく、疑問や課題と感じる点は、人材要件や採用条件の整理から一緒に行うようにしています。
また、日頃からのお付き合いで中長期の経営計画を伺っていたり、現在の事業ステージに必要だと感じたりすれば、こちらから採用ポジションをご提案することもあります。必ずしも顕在化しているものだけが求人案件になるのではなく、潜在的な求人案件もあるんですよね。
「ただ求人案件をいただく」「ただ人材要件に合う方をご紹介する」ということが、私たちの仕事ではないと思っています。人と同じことをするのではなく、私だったらこうするというのがないとダメだと思います。そこが私が関わることによる付加価値だと思います。

Q. 今の清水様の考えが確立されたきっかけとなるエピソードがあれば、お聞かせください。

20代は試行錯誤していましたね。30代になってから自分のやり方を確立できたような気がします。
今までに、恐らく1万人以上の求職者の方々と膝を突き合わせて面談をしているのではないかと思います。たくさんの方とお会いしてきた経験が今につながっており、私も若い頃は「あなたに言われたくない」とおしかりをいただいたこともありました。その一方で、大変目上の方から「正直、そこまで言ってくれる人は今までいなかった」と感謝されることもありました。
またこの業界にいると誰しもが経験していると思うのですが、求職者様のなかには「紹介される求人に期待していない」というところからスタートする場合もあります。そういった方にも真摯に向き合い、求人の背景やそこでの経験がその方の将来にどのような可能性を生むかなどを話し、「清水さんに相談して良かった」と言っていただくことで、少しずつ自信が付いてきたと感じています。そういった経験を積み重ねてきたからか、現在は転職を支援させていただいた求職者様からご入社後に求人のオーダーをいただくことが多く、「清水さんに独占案件としてお願いしたい」とお声がけいただくようになりました。
こうしたことから徐々に仕事ができるようになり、今があると思います。また、きっとそういった経験がなかったらわれわれが存在する意義を見いだせていなかったでしょう。そしてこれは、活躍するヘッドハンターの誰もが若手時代に通る道だと思います。

――ほかにも多くのエピソードがありそうですね。
正直、印象的なエピソードがたくさんあり過ぎて選べないですね。
一つ一つのエピソードに思い入れがあり、全てが大切な経験になっています。

次回のヘッドハンター名鑑vol.13は、2021年2月1日(月)公開予定です。


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