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腎障害患者へのレムデシビルの有効性と安全性を検証したRCT: REDPINE study

以前,腎機能障害のある人へのレムデシビル投与として以下のようにまとめていました。

今年のECCMIDで腎障害患者へのレムデシビルの有効性と安全性を検証したRCT: REDPINE studyの結果が発表されていました。学会のポスターのPDFは以下で見られます。

https://www.askgileadmedical.com/docs/conference/JoseRamon_ECCMID2023_Redpine_P2635@pdf

↓のトライアルレジストリで詳細は確認できます。結果も掲載されています。

REDPINE study

概要は以下の通りです。
P:12歳以上で,COVID-19確定で入院,体重40kg以上,SpO2 ≤94%(room air)または酸素吸入が必要,eGFR <30mL/min/1.73m2のCKDまたはAKIのある患者,発症10日間未満
・ベースラインで人工呼吸器管理,NIV,ECMO,腎代替療法中のAKIは除外

I:レムデシビル初日200mg,2–5日目100mg(腎機能による調節なしのフルドーズ)

C:プラセボ 
介入群とプラセボ群を2:1でランダム割付

O:29日の全死亡または人工呼吸器管理

早期終了の理由

当初1116人の組み入れを予定していたものの,リクルートが困難になり249人で組み入れ終了しました。
早期終了の理由は有効性や安全性の観点からではなく,多くの研究参加施設で臨床的均衡(clinical equipose)が成り立たないとして,研究の枠組みの外でレムデシビルが投与されることが多くなったのが一因とのことです。
RCTはどちらの治療がよいかわからないことを前提にして,ランダムに治療を割り付けるのことが正当化されますが,これが崩れると,倫理的に問題があるために実施が困難になります。

REDPINE studyの結果

RCTですが,ポスターのTable 1をみると,レムデシビル群の方が65歳未満が多く,固形臓器移植後患者が多くなっていました。
治療関連有害事象(TEAE)は,両群でほとんど差がありませんでした。
ベースラインからの腎機能の悪化,腎代替療法,死亡についても有意差はありませんでした。

プライマリーアウトカムは29日までの全死亡または人工呼吸器管理で,レムデシビル群で30%,プラセボ群で34%(ハザード比, 0.82; 95% CI, 0.50-1.32; P = 0.61),KM曲線をみてもほぼ差がありません。

死亡だけ見ると,レムデシビル群が25%,プラセボ群が29% (ハザード比, 0.83; 95% CI, 0.50-1.39; P = 0.39)でした。予定されたサンプルサイズよりも大幅に少ないので,検出力不足の可能性は高いです。
ポスター発表では,eGFR <30mL/min/1.73m2でも,フルドーズ投与して安全性に差がなかったためか,腎障害による調節は不要と結論付けられていました。


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